あんどうりす の りす便り

2011/06/13(月)20:56

ここは地盤が堅いから安全という安全神話がかえって増えている?!

以前から、防災について講演していたときから、地元地域自慢の、 「ここは地盤が固いから大丈夫」という話、どこでも少なからずありました。 しかし、震災後、かえってこの安全神話が増えているような気がするのです。 震災後、みな防災についてしっかり対策をするのかと思ったら、 神話のほうが定着している地域もあるので、とても驚かされると同時に、 安全であってほしいと強く地域の人が願う気持ちは、かくも簡単に神話を 生んでしまうのだと実感させられているこのごろです。 この神話、いろいろな場所で聞くのですが、共通のパターンがあるように 思えています。 何故、地盤が堅いと思うの? という問うと、 「ここには国の重要施設の●●があるから、地盤が堅いはずだ」 と答えていただけるパターン、結構多いです。 その施設が、まゆつばっぽい秘宝みたいな伝説から、 それなりの近代的建物だったり。。。 阪神地区も、地盤が堅いから安全といわれていた神話があったくらいですし、 隠れた断層がごろごろあるという日本で、たとえ伝説の秘宝があったとしても 根拠としては、弱い。。。 と、推測できそうなものですし、 調べれば、新聞記事や著名な教授たちも危険性を指摘しているサイトが、 すぐヒットするのですが、 それでも、そんな不安なものより、安全を言ってくれる人のほうが、 ステキな人に思えてしまうし、 「実はこの地域はさ」~というのは、 隠された秘密情報のように思え、 口コミ、ツイートネタとしては最適だし、 なんていい情報を聞いたんだ!といううきうきした気分を誘い、 幸せな気持ちを運んできてくれます。確かに! かくして、真面目な危険への警鐘は、話題提供にまでにしかならず、 結論として選ばれるのは、安らぎを与えてくれる(ように思える)神話。 だからこそここにきて、安全神話がかえって各地で 増えているのかも と、危惧しています。 ここには●●があるからというパターンではなくても、 「掘ったとき見たら固かった」「俺もみた!確かに固かった!」 とかいろいろあるのですが、 太平洋の周辺はどこも、他の大陸に比べると格段に地盤が弱いのですから。。。 静岡や東海地区で講演していてつくづく思うのは、防災に対しての 意識が日常にしっかり定着していて、対策もきちんと とられているということです。 将来地震が来るといわれていても、個人の自助レベルからしっかり対策がとられている地域と 神話を信じ、何もしない地域と。。。 その地域にしかいないと分かりにくいので、やむをえない事情は あると思うのですが、前者のほうが、圧倒的に安心な街作りを しようとしていることが、みてとれます。 神話が近所で聞こえはじめたら、神話が真実であればもちろんラッキーですが、 本当に災害に強いところは、神話だけでなく、きちんと予防措置をとった場所なのだということ、 頭の片隅で思い出していただけると嬉しいです。 安全だと信じたい気持ち。。 それは、災害時とっさの判断を遅らせる いつもどおりであってほしいという  正常化バイアスといわれるものでもありますし、 やはり逃げ遅れの心理である、他の人もそうしているからそうしよう という多数同調バイアス と同じなのでしょうね。 地震。。に限らずいろいろな場面で、この願望のバイアスには 気をつけないといけないなと思うこのごろです。 インフォメーション ナイフマガジン 6月号 編集後記でちんまり紹介されています(笑) 6月号特集は「災害時に役立つナイフとその使い方」 ナイフマガジン。。なかなか奥が深いです ワ-ルド・フオト・プレス (ナイフマガジン)【年間購読】ナイフマガジン

続きを読む

総合記事ランキング

もっと見る