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カテゴリ:本
登場人物が多いと必ず、自分は誰に近いかと思いながら読んでしまうけれど、 この作品では私は陶子かな、と思った。 自宅で愛犬クロの丸い頭にキスをしながら、この場所が好きだ、と思う。 クロへのキスはナッチチュウに似てるんだろーな。 ていうか、ナッチがワンコちゃんみたいに 人のそばでじゃれたり眠ったりするし。 陶子の恋の相手はクロの散歩中に知り合った男性。 衿。 衿の彼は奥さんがいて、他に20歳の恋人も。 土屋は「衿といるとほっとする」「衿といると落ち着く」。 衿は私が支持するユキコ道の凪、フェザーな女性のお手本のよう。 「美しい女だ」と思われている。 「ときどき胸のすくような笑顔を見せる」 「それでいて目立ち過ぎなかった」 「土屋はそこも気に入っていた」。 私が憧れていた衿だけれど、最後は突飛な行動に出て驚き、 ちょっと違う、と思ったけれど、でも大体は完璧だった。 衿は土屋が大好き。土屋と「枇杷の木がある家に、 一緒に住めたらどんなによかっただろう。」と思う。 けどそれができないことが分かっているから、 彼にそれを望まない。そうしない。。 全部で9人の女性と3人の男性。 舞台が広尾のお花屋さん中心なので、セレブ間違いなしの人たちですが、 仕事がうまくいっても、家庭がうまくいっても満たされない人たち。 電話、メール、待ち伏せ、ストーカーまがいの行動をしてしまう 桜子の姿は痛いけど、一番若いから、と納得してしまったり 。 江國さんの作品には不倫や浮気も登場するので、 嫌悪感を持つ人も多いかもしれないけれど、 自分のしたいように恋を追いかける姿は、なんか共感。 私は好きだなぁ。 以前、尾崎豊さんのファンには不良はいなくて、 でもその楽曲に共感はする、という話がありましたが、 もしかしたらそんな感じなんじゃないかと思う。 実際、浮気もせず、浮気願望、不倫願望がない人でも なんか共感というか、受け入れてしまうというか。 それに、江國さんの作品にはいつも美味しそうなものが出てきたり、 素敵なお店が出てきたり、お花の匂いや色や形(フリージアがとか ラナンキュラスが、とか)、音楽もコレ(今回はケニー・Gとか、 ボズ・スキャッグスやフレディ・マーキュリー) というのがあったり、お洋服の色や形も語られるので とても臨場感があって映画を観てるみたいな気分になる。 しかも、お花屋さんとか、みんなのおうちとかお部屋とか、 すごくきれいな空気感も伝わってくる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2014.02.02 20:09:28
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