2007/01/09(火)00:42
エンロン-巨大企業はいかにして崩壊したのか?
朝出勤したら、会社が破綻したから、荷物をまとめてすぐに出て行ってくれと言われたら。
退職直前に、自社株購入で積み立てていた年金が紙切れ同然になったら。
エンロン-巨大企業はいかにして崩壊したのか?
この映画は、エンロンの元幹部や、
フォーチュン紙の記者、アナリストらの証言によるドキュメンタリー。
内部の視点による生々しい心理状態や、この大きな企業に煙に巻かれていた、
外部の視点などが取り入れらており、引き込まれてしまった。
エンロン社のキャッチフレーズは「Ask Why」。
既成の概念を疑い、常に知恵(と金と権力)を絞って売上げを上げてきた。
業績が上がると社内は生き生きと活気付く。
一方、会社に貢献しないと判断された人が年に15%も解雇される人事制度や、
モラルより売上げ、安定より冒険を重視する姿勢があり、
社内も弱肉強食、マッチョカルチャーとなっていたそうだ。
映画の中でカリフォルニアの停電の話が出てくるのだけれど、
(参考記事:エンロンが仕掛けた「自由化」という名の金権政治)
惨事を見てトレーダー同士が交わす会話に背筋が凍る。
皮肉なことに「Ask Why」は社内では行われなかった、
または気付いた人は辞めてしまったのかもしれない。
嘘がゆきだるま式にふくらみ、
嘘に対する感度が回数を重ねるごとに鈍っていく。
一方、人はやっていることと言っていることの矛盾に、
精神が支障をきたしてくる。
人は誰でもこのような心理状態に陥る可能性があるということ。
人ごとではないと思う。