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未音亭日記

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未音亭@ Re[1]:セバスティアン・デ・アルベロ「30のソナタ」(01/15) tekutekuさんへ これまた情報ありがとうご…
tekuteku@ Re:セバスティアン・デ・アルベロ「30のソナタ」(01/15) ジョゼフ・ペインのライナーノーツに関し…
tekuteku@ Re:セバスティアン・デ・アルベロ「30のソナタ」(01/15) ジョゼフ・ペインのライナーノーツに関し…
未音亭@ Re[1]:セバスティアン・デ・アルベロ「30のソナタ」(01/15) Todorokiさんへ コメントありがとうござい…

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July 21, 2013
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カテゴリ:音楽
亭主はバロック音楽演奏を聴いていて、特にこの10年ぐらいの間に「テンポが随分速くなったなぁ…」と思うことがしばしばですが、皆様はいかがでしょうか?

例えばヴィヴァルディの「四季」。ジュリアーノ・カルミニョーラが弾く「夏」の第3楽章(プレスト)はとにかく超高速で、おそらく技術的に破綻なく弾ける限界に近いスピードではないかと思われます。(これぞヴィルトゥオージティ、という感じで、素晴らしい爽快感をもたらしてくれます。未体験の方は是非オススメです。)



これに関連し、最近びっくりしたのがラインハルト・ゲーベル/ムジカ・アンティカ・ケルンの手になるバッハのブランデンブルグ協奏曲の演奏です。

まずは協奏曲第3番の第2楽章(アレグロ)。正確なテンポはともかく、印象としてはそれ以前に聞いたことがある演奏に比べて2倍ぐらいの猛スピードで駆け抜けて行く感じで、「おぉぉっ、これってもしかしてヴィヴァルディかぁ?」。

もう一つは第6番の第1楽章で、こちらはもともと作曲者による速度記号がない、というものです。亭主がそれまでに知っていた演奏は、皆「モゴモゴモゴモゴ…」という印象なのに対して、ゲーベルのそれはやはり倍位のスピード感で、曲の印象がまるっきり変わってしまいました。



これらの演奏、録音されたのは1986-7年で、当時まだゲーベルも30歳代と若く、バッハの演奏としてはおそらく「異端」扱いされたのではないかと想像しますが、今聴いてもとても新鮮なのと、バッハが如何にイタリア音楽の影響を受けたかを「耳」で理解できる演奏だと感じられます。

ライナーノートにあるゲーベル自身の解説によれば、「当時の演奏習慣」として現代まで(実証的に)伝わっているのは1750年以降の音楽についてであって、それ以前の演奏習慣がどういうものだったかは必ずしも明らかではない、ということです。

1750年というのは言うまでもなくバッハが没した年ですから、ゲーベルの意図は「バッハ演奏にはもっと自由度があるはずだ」ということでしょう。

もう一点、彼が強調していることとして、ブランデンブルグ協奏曲が作曲された当時(1721年頃?)のバッハ自身の年齢がやはり30歳代前半と若かった点です。

ヴィヴァルディの「四季」を含む曲集が出版されたのは1723-5年頃ですが、それに先立って「調和の霊感」(1711年)、「ストラヴァガンツァ」(1714年)と、ヨーロッパを席巻した彼の音楽が若いバッハに大きな影響を与えていたことは確実で、ブランデンブルグ協奏曲もそれ風に演奏するほうがバッハ自身の意図にも近いだろうことは容易に想像がつきます。ゲーベルは実際にそれをやってみせた、というわけです。

19世紀以来の「大バッハ」という偶像化と、それに付随した「重々しい」演奏習慣から彼の音楽を最初に解放したという点で、ゲーベルはバッハ演奏の歴史に一線を画した音楽家と言えそうです。






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Last updated  July 23, 2024 02:56:00 PM
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