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カテゴリ:音楽
未音亭のホームページ改修作業がようやく一段落しました。(残念ながら記事の更新までは時間切れでできませんでしたが…)
iWebを使ってみて分かったことのひとつは、これで作成したページがInternet Explorer (IE)ではしばしばうまく表示出来ないことです。WindowsにはIEがシステムの一部として組み込まれていて、ほとんどのWindows利用者はわざわざ他のブラウザをインストールして使うようなことはしないとのこと。とはいえ、IEはworld-worst browserの異名を取るぐらいですので、これに合わせて手間をかけるのもシャクですのでこのまま放置することに。(皆さんもFirefoxやGoogle Chromeを使いましょう!) ところで、亭主はルイ・クープランの作品をとりあえず全部音で聞いてみたいと思い、リチャード・エガーのCDを購入、この週末にかけて聞き入っています。 このCDではエガーによりルイの作品130曲が21の「組曲」にまとめられ、ハ長調から調性の昇順に並べられています。もちろん、作品の数は調性や舞曲の種類によってかなりのばらつきがあるので、「組曲」の組み合わせはバラエティーに富んでいます。 エガーの演奏を聴いているとテンポは少し遅め、あたかも一曲一曲をいとおしむような感じで、ハープシコードをじっくり響かせるように弾いています。 用いられたハープシコードは2台で、一台はおそらく未音亭の楽器がモデルにしているのと同じ1638年製ルッカース、もう一台は17世紀初期の「パリ風」楽器。いずれもよく響く楽器ですが、何とピッチはa’=392 Hz、いわゆるヴェルサイユ・ピッチです。 エガーの演奏が気に入った亭主は、少し迷いましたが思い切って未音亭の楽器をヴェルサイユ・ピッチ、音律もヴェルクマイスターに調律してルイの作品を弾いてみました。 結果はびっくりの大満足!不思議なことに何だか亭主の楽器もより響きが豊かになった感じで、今まで以上にルイの作品ばかり弾くようになりました。 ところが、試しに鍵盤を右にシフトして半音上げ(a’=415 Hz)、スカルラッティのソナタを弾いてみたところ、今までと全く違う感じでこれまたびっくり。ただし、こちらは全く今ひとつで、数曲弾いたところで鍵盤を戻してしまいました。(ヴェルクマイスターのせいでしょうか?) ちなみに、エガーはルイ・クープランに対する思いのほどをライナーノートの結語(Enfin)の部分で次のように宣言しています。 西洋音楽の歴史においても、一人の作曲家が自ら選んだ楽器と完全な共生関係に到達するといった至福の瞬間は限られていた。ダウランドとリュート-歌曲、ショパンやラフマニノフとピアノ、ビバーやイザイとヴァイオリン、ボビー・マクファーリンと声、等。ルイ・クープランもまたこのリストに加えられるべきものだ。彼の音楽は絶対的に、そして純粋にハープシコードのためのものである。我々があのようなテクスチュア、ソノリティ、ニュアンス、そして斬新な和声の試みに対する完全な理解というものを次に見出すことになるのは、おそらくドビュッシーという鍵盤音楽作曲家の中においてであろう。私はグローブ音楽辞典の中にある以下のような記述に同意出来ない。曰く「彼はクープラン一族の中でフランソワ(「大」クープラン)に次いで偉大であり、17世紀における最良の鍵盤音楽作曲家の一人である。」私はルイこそがクープラン一族中で最も偉大であり、またあらゆる時代を通じて最も偉大なハープシコード作曲家であると主張したい。最大の悲しみは、彼の天才が(モーツァルトやパーセルと同じく)三十代半ばという短さで断ち切られてしまったことだ。 亭主はこのごろ時々ハープシコード音楽とピアノ音楽の歴史を併置して眺めることがあります。例えば、ドメニコ・スカルラッティがショパン(リスト)、フレスコバルディがベートーベンと同じような位置にあるとするなら、ルイ・クープランは誰でしょう。上記のエガーの主張とはすこしずれますが、亭主はさしあたりシューベルトぐらいかなぁ、などと感じています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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