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2018年05月06日
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カテゴリ:音楽
東京で開かれていた音楽祭「ラ・フォル・ジュルネ」での表記2回目のリサイタルに連れ合いと足を運びました。開演は21:00と遅く(普通の演奏会なら終演の時刻)、演奏曲目についてもドメニコのソナタという以外は事前に全く情報なし、という異例の演奏会ですが、諸事情により休み中でも遠出できない身には意外にフィットする催しです。(前日に行われた1回目の開演はこれよりさらに1時間遅く、こちらについてはさすがに帰りの足を気にしてご遠慮させて頂くことに。)



とはいえ、ラ・フォル・ジュルネに出かけるのも初めてなら、このような時間帯に東京に「遊び」に出かけるのもン十年ぶり。お上りさんよろしく用心して早めに向かったところ、夜の有楽町駅前に多少まごついたものの、会場には1時間以上前に着いてしまいました。仕方がないので東京国際フォーラムの会場や周辺を物見遊山とばかりにぶらつくことに。連休の中日の東京都心、しかも日没後ということで、人で溢れる感じではありませんが、好天に恵まれたこともあってかそれなりの賑わいです。



ところで、この演奏会のもう一つの不安材料だったのが、会場になったホールの作りや座席配置で、こちらも事前のチケット販売時には何の情報もなく、購入時に当てがわれた座席番号が何を意味しているのかも不明という有様でした。(この辺り、この音楽祭のコンセプトである「安さ・手軽さ」と引き換えの不便さ、ということなのでしょうか。)何しろハープシコードは音量が小さいので、大きな会場で後方隅の席に当たると楽しみも半減します。

実際に会場に着いてみると、件のホール(B5)はかなり横長の長方形をしており、その長辺中央近くの壁の前に膝下ぐらいの高さの臨設舞台が設けられ、250席ほどの椅子が横長にぐるりと取り囲む配置になっていました。一番遠い席でも楽器との距離が大きくならないよう配慮された結果と思われます。また、このホールには専用の楽屋スペースがないようで、舞台側の壁の両端にある2ヶ所の会場出入口の一方が閉鎖され、そのロビー側を衝立で囲ったスペースが俄仕立ての楽屋になっていました。ちなみに、当日会場はほぼ満席(事前販売のチケットはもちろん完売)という盛況ぶりでしたが、蓋を開けてみると亭主共の席は舞台袖の前から4列目、この楽屋出入口の傍近くとまあまあの位置で、音響的には満足できる感じでした。

それにしても、会場に行けば演奏曲目を刷った簡易プログラムでも配ってもらえるかと思いきや、それもなし。開演時間になったところで舞台に現れた主催側担当者と思しき女性は、事前にプログラムが知らされないことについて「スカルラッティのソナタは555曲もありますので…」と思わず吹いてしまいそうな釈明のアナウンス。アンタイ先生の今回の流儀については主催側も事前に十分には掌握していなかった(?)フシがあります。こうなって来ると、聴く側としても出たとこ勝負(何が?[笑])という感じで、緊張感が高まってきます。

さて、アナウンスが終わるのと入れ替わりに颯爽と登場したアンタイ先生、弾き始めたのはスカルラッティのソナタ中でも最も悲歌風の曲調で知られるK. 213のソナタです。この曲、通常は音の減衰が早いハープシコードよりもピアノで弾く方が遥かによい感じで響くのですが、当夜のアンタイの演奏は不思議にもピアノをも凌ぐかと思われる余韻で会場を満たし、亭主共を18世紀の「アランフェスの宵」へと一気にタイムスリップさせました。

アンタイの演奏の特徴を手短に言えば、特に近年は装飾音が華麗になり、スカルラッティの譜面には現れないターンやその派生形を随所に散りばめて弾いています。また、時には「通奏低音奏者の自由」を駆使して左手パートにも和音の充填などを行っているようで(例えば今回のK. 443の演奏、これにはプレトニョフのピアノ版演奏を思い出させます)、高度な即興性と名人芸的な演奏を追求しているという印象を持ちます。テンポの取り方についても速い曲はより高速に、アンダンテやカンタービレの曲はよりじっくりとした演奏になる感じでしょうか。亭主からみると、このような演奏スタイルは、バッハのような「数学的思考」というよりは「指と鍵盤の対話」から生まれたスカルラッティのソナタの性格に沿う感じです。ちなみに、今回も取り上げていたK. 208は、これまでに出ているCD 5巻の中で(10年以上の間をおいて)2度録音しており、両者を比較すると上記のような変化を実際に確かめることができます。

以下にあるのは翌日のLFJ公式ツイッターに出ていた演奏曲目ですが、亭主はこの演奏会をiPodのプレイリストで再現すべく、CDにあるアンタイの演奏を並べ始めました。すると、*印をつけたソナタはまだ未録音であることが分かり、今更ながらもう一度聴けたらなあと慨嘆すること一頻りです。

それにつけても、K. 253後半の頭がクラクラするようなvampセクションといい、K. 492やK. 175の叩きつける嵐のようなアッチアッカトゥーラといい、思い出すだに文字通りスキップ・センペが言うところのヴィルトゥオージティの極みです。ノリノリのアンタイ先生、完全にアッチ側に行ってしまっており、予定の終演時間など完全に頭からフッ飛んでいる様子。K. 175を弾き終わってようやく我に帰ったところで、今度は鳴り止まない拍手にアンコールまでサービス。終わってみると予定を30分以上もオーバーしていて、こちらも帰りのバスを1本遅らせることに。

とは言え、「スカルラッティのソナタだけでハープシコードリサイタルのプログラムを組み、それで会場が一杯になる」日がついに日本にも来たのだ、と大きな感慨と充実感に浸りながらの帰投でした。

5月5日 「ソワレ・スカルラッティ」演奏曲目
前半:
K. 213 D minor Andante
K. 247 D minor Allegro (原典はC-sharp minorですが、当日は明らかに直前のK. 213と同じ調で演奏していました。CD録音でも同様です。)
K. 234* G minor Andante
K. 75* G major Allegro
K. 55* G major Allegro
K. 8 G minor Allegro
K. 249 B-flat major Allegro
後半:
K. 402 E minor Andante
K. 456 A major Allegro
K. 277 D major Cantabile
K. 443 D major* Allegro
K. 492 D major Presto
K. 87 B minor
K. 252 E-flat major Allegro
K. 253 E-flat major Allegro
K. 58 C minor Fuga
K. 3 A minor Presto
K. 208 A mjor Adagio e Cantabile
K. 175 A minor Allegro






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最終更新日  2018年05月06日 20時37分10秒
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