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2019年06月09日
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カテゴリ:美術
先月半ば、上海に先立って1週間のバンクーバー出張が入ったのですが、その際に成田空港の書店をぶらついていて目に入ったのが表記の文庫本です。この本、3年ほど前(2016年)に単行本として出版されて以来気になっていたものですが、いつの間にか(奥付を見ると昨年)文庫化されていたというわけです。



旅のお供に読みさしの文庫本を1冊入れていたものの、往復の長距離フライトでいずれは時間を持て余すと踏んで読み物を探していた亭主、早速書棚から取り出して中身拝見。例によって巻末のページに目をやると、「解説」を書いているのは何と著名なジャーナリストである池上彰さんであることにびっくり。

それもそのはず、この小説は2001年の米国同時多発テロを主要な背景として展開する作りになっており、そのメッセージは米国第一を唱えて大統領となったトランプの米国とも響き合うものが少なくない、というわけです。

というわけで、当の文庫本はそのまま亭主の旅の道連れとなり、帰路の機中で堪能することに。原田マハさんの美術に取材した作品としては「楽園のカンヴァス」、「ジヴェルニーの食卓」以来です。

表題からも明らかなように、この小説の主題はもちろんパブロ・ピカソの著名な作品の一つである「ゲルニカ」です。一方で、小説そのものは「ゲルニカ」を製作する前後のピカソと彼に関わった人たち(架空の人物も含む)を中心に回る歴史小説的な部分と、それから60余年を経た21世紀の米国とヨーロッパを舞台に、「ゲルニカ」を展覧会の目玉にしようと奮闘するニューヨーク近代美術館(MoMA)のキュレーターを巡って起きるドラマを描いたフィクションが交互に現れる二重構造になっています。

よく知られているように、この巨大な壁画は、スペイン内戦(ファシストであるフランコが共和国政府に仕掛けた戦争)のさなかにナチスがスペインの小都市ゲルニカを無差別空爆し、多数の市民が犠牲になった、という一報をパリで受け取ったピカソがものした作品で、亭主もその昔、世界史の教科書で写真を目にした覚えがあります。

とはいえ亭主、白状すれば、この小説を読むまでは「ゲルニカ」が現在どこに展示されているかも知りませんでした。(池上彰さんの解説でも、その点をいきなり突っ込まれる感じです。)そこで、小説を読む傍らネットで色々と「ゲルニカ」を巡る歴史をたどることに。例えばウィキペディアの記事を読めば、作品の製作過程から始まって、それがどのような運命をたどるのかについて、一通りの知識は得られます。が、原田マハさんによる主人公の流麗な語りによって、そのような歴史的事実が眼前に生起しているかのような臨場感を楽しむことができます。

一方、同時多発テロ(といっても小説の上ではこれもフィクション)を契機に、「ゲルニカ」を狂言回しとしてアートと政治の攻防をサスペンス仕立ての小説にした部分は、何処とはなく前作「楽園のカンヴァス」に似ている感じです。実際、登場人物も主人公が女性キュレーターである点、さらにはMoMAのティム・ブラウンなど再登場する人物もいるなど、シリーズ物的な印象を受けます。

何れにしてもこの「アート小説」、先行作品と同様に元気な女性が大活躍する点が痛快なだけでなく、様々な事柄が女性の視点で見るとどう見えるのか、という点でも亭主によっては新鮮で、大いに楽しませてもらいました。(おかげで復路9時間を退屈することなく過ごすことができました。)

なお、読みながら一つだけ気になった点として、21世紀サイドの主人公である女性キュレーターの幼少時についての年代設定が、後述の部分から想像される彼女の年齢と辻褄が合わないように思われました。細かいこととはいえ、フィクションもそれなりに首尾一貫している方が「リアリティ」がある?








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最終更新日  2019年06月09日 22時22分28秒
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