広島人文芸

「これは愛なんだ、これは愛なんだ」
　マリコは見も知らぬ男の愛撫を受けながら、自分に言い聞かせるのだった。そいしないと自分の気持ちがおさまるらないし、自分で自分のしている事に対する、
「理由付け」
　が必要だったのである。
男の愛撫の一挙一動に大げさに反応して見せるのだった。
「あ、あ、あ、あ、・・・・・」
　大げさに声を出さずにはおれなかったのである。
このマリコの声を聞いて男も興奮するのか、
「うー、うー・・・・」
　と声を出し始めた。
やがて男の動きが一段と激しくなった。恋の儀式のクライマックスにさしかかったのだ。
「気持ちいいかい」
　男がマリコにこう聞いた。
「とっても」
　マリコはあえぎながらこう答えるのだった。