BOSSの備忘録。

2010/05/21(金)14:51

熱海殺人事件

演劇(288)

北区つかこうへい劇団 番外公演 「熱海殺人事件~友よ、いま君は風に吹かれて」 作/つかこうへい 演出/川畑博稔 出演/川畑博稔、川上賢嗣、那須野恵、古谷太朗。 5月20日木曜日 19時開演の部 北とぴあ ペガサスホール  全席自由席 入場料金1,000円 初めて紀伊國屋ホールで「熱海殺人事件」を観たときの衝撃は今も忘れない。 三浦洋一さん、平田満さん、加藤健一さん、井上加奈子さんの出演だった。 世の中にこんな面白い芝居があるのだろうか、と思った。 芝居に対する考え方が根底から変わった。 初日が開いてから三日目くらいに当日券に並んで観た。 あまりの面白さにその公演の千秋楽まで毎日通い続けた。 それほど衝撃的だった。 で、所謂、「つか世代」になった。 あれから30年と少し経つのだろう。 私の弟子たちが「熱海殺人事件」を観たいと云うので付き合いで観に行った。 「千円劇場」と云う入場料の安さも彼らを動かすには充分の動機だったのかもしれない。 それ以前に「飛龍伝」の面白さもかなりの影響力だったらしい。 私は正直、つかさんの演出でないつかこうへい劇団の「熱海殺人事件」を観ることにいささかの抵抗があった。 前記した初めての「熱海殺人事件」の感動がどうしても忘れられないからだ。 作品もオリジナルヴァージョンに近い内容だという。 が、久しぶりに観た「熱海殺人事件」は懐かしかった。 木村伝兵衛部長刑事の台詞も七割は記憶していた。 機会があって三度ほど演じさせて貰ったことがあるし、何度か演出させていただいたこともあるからだ。 今公演の「熱海殺人事件」は初演のそれに近かった。 出演者のエネルギーが凄まじい。 弟子たちはそのことに感動していた。 私は懐かしかった。 何しろここからスタートしたのだから。 個人的に心配だったのは、オリジナルに近いこの「熱海殺人事件」が今の観客に届くかどうかと云うことだった。 作品の射程距離の問題である。 つかさんだったら観客との距離を考えて作品の中身をドンドン変えてくるだろう。 が、今回はオリジナル版とほとんど同じだ。 が、私の心配をよそに芝居は受けていた。 つまり、観客に届いていると云うことだ。 何故か、少し、安心した。 まだまだ行けるぞ、「熱海殺人事件」ッ!! これが千円なら安いもんだッ!! て、これ以上の入場料をとっている人たちはもっと頑張らないとね。

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