BOSSの備忘録。

[演劇] カテゴリの記事

全288件 (288件中 151-200件目)

< 1 2 3 4 5 6 >

• 俳優の専門学校って？

  機会があって、いわゆる、「俳優の専門学校」というところの卒業公演を観た。名誉のために名前は明かさない。以前から、いわゆる、「俳優の専門学校」（以下、専門学校）の卒業生の面倒を見ることが多く、二年も演技の勉強をしているはずなのに、何故、こんなにも何もできない、のか不思議だった。が、その謎が解けた。「演劇」と銘打っているがその実際は「学芸会」である。制作者側に「演劇」とは何か？　「演技」とは何か？　ということをキチンと理解している人がいないのであろう。または、生徒をバカにして、この程度でヨシ、としているのであろうか？可哀想なのは生徒である。これが、「演劇」だ、これが、「演技」だ、と教わって、例えば、私の所に来て、「何それ？」といわれるのだ。「演劇」とは、人間関係の芸術だ。「演技」とは、真実を再現することだ。私は、そう思っている。が、彼らが教わっている「演劇」と「演技」には、それらの欠片もない。無論、生徒にも責任はあるだろう。その「専門学校」を選んでしまった、という責任である。調べれば、多くの優秀な「俳優養成所」があるはずだ。もちろん、全ての「専門学校」が上記のようだとは云わないが、そういう学校があることも事実だ。私は、俳優になりたいという人の希望をなるべく叶えてあげたいと思っている。そのことで日々、その方法論について研究し、自身の持つ場でも実験、実践している。もちろん、実績もあげている。そんなわけで「いい加減な俳優養成」には怒りを覚えるのだ。以前、オーストラリアの高校生専門のワークショップメニューを試したことがある。が、たったの一ヶ月で中止せざるを得なかった。専門学校を卒業したという彼らがまったくもって付いて来れなかったからだ。これが、中学生メニュー、ひっとしたら、小学生メニュー、（実際、私は、時々試す）でも、付いて来れないかもしれない。まあ、その程度と云うことである。新学期シーズンですでに「専門学校」に入ってしまった人もいるかもしれない。が、諦めることはない。あなたが求めればいいのだ。受動的ではなく、能動的に。「演劇」とは何か？「演技」とは何か？頑張れ、専門学生ッ！！

  2008年04月06日

  コメント(0)

• 

  レッスン、行ってきました。

  対決5 井上和彦VS内海賢二 ー俺とチワワースクール・デュオ、アッパークラスのレッスンが始まりました。私の担当は6月からなのですが、この日（4/4）初めて、アッパークラスに残ったメンバーを知ることになります。私の場合は一本お芝居を作るので、とにかく、みんなのことを知っておきたい、という思いがあって、何時もこの初日に参加させてもらっています。ちなみにこの日のレッスンの担当は保科耕一さん。テアトル・エコーの演出家の方です。帰りに保科さんと飲みに行っていろいろとお話ししたんですが、方法論は違えども、芝居に対する、または役者に対する、想い、のようなものは根本的に一緒なんですね。冗談で、「外資系の劇団ができるといいよね」という話になりました。今、外資系の企業の一部では、社員のコミュニケーションの円滑を計るために、飲み代、が別支給されるそうです。まあ、つまり、稽古の帰りの飲み代がでるといいよね、という話です。では、また。

  2008年04月05日

  コメント(0)

• 魂を握り潰した男

  劇団クラゲ荘第5弾「魂を握り潰した男」脚本/前田万吉　国井豊作演出/前田万吉出演/劇団クラゲ荘劇団員4/1（火）19時開演ザ・ポケット　自由席知り合いの平河富士雄くんが出ていたので観に行った。結論から言うと出来の良くない芝居である。もちろん、私の目線で観て。私の目線で観て面白い芝居は、例えば、一連の野田秀樹氏の芝居であり、最近で言えば、サイモン・マクバーニーの作品である。さて、先ず、脚本が面白くない。見終わった今でもこの物語の主人公が果たして誰だか不明である。つまり、主人公が誰だか分からない物語は面白くないのである。おそらく、あの二人のどちらかが主人公なのだろう、という推測ができる登場人物は確かにいる。が、W主人公というわけでもない。W主人公というのは、例えば、テレビの「相棒」である。水谷さんと寺脇さんの二人が主人公であるのは、明確に理解できる。明確な主人公が定まらないので物語の視線がシーン毎に変わる。つまり、このシーンは誰の視線で語られているのかがしばらく分からない。結果、シーンに感情移入できない。もうひとつ、主人公絡みで言っておくと、主人公が不明だから、主人公の状況が分からないし、主人公の目的も分からない。つまり、観客は何を観ていいのか分からないまま、二時間少し過ごす羽目になる。詰まらない理由の一端である。さらに、出演者が全員で23人も出ている。23人に少しでも見せ場を作るとなると余分なサブ・プロットが必要になる。その余分なサブ・プロットを余分と感じさせないところが作家の腕の見せ所なのだが、この物語らしきものは、その余分なサブ・プロットが見事に余分なサブ・プロットに見える。つまり、いらないシーンが多すぎるのである。必要なシーンだけで物語を語ったら一時間もあれば語れる物語だろう。さらに、さらに、おそらく、劇団の座付き作者が劇団員に当て書きしていると思われるのだが、その割には出ている役者の魅力が活かされいない。これでは、当て書きしている意味がないのではないか。劇団で芝居を演ることの意味の一端はそこにこそあるのではないだろうか、と思うのだが。だから、当然、声が出てない、滑舌が悪い、身体が動かない等の座付き作家、座付き演出家がカバーすべき点が全て露呈されてしまっている。殆どの出演者が素人に見える。演出は、例えば、役者のセリフが明らかに伝えなければいけないセリフを伝えていない、というところをほうってある、ということで、後は推して知るべしなのではないだろうか。役者は殆どがナルシストである。観客を満足させる前に自分が満足してしまっている。まあ、料金を取って見せてはいるけれど、演っていることはアマチュアなのだ。芝居が恐ろしいのは実はそこである。他のプロのメディアと比べてチェック機構がないのである。小説やマンガには編集者がいるだろうし、映画にはプロデューサーがいるだろう。だから、どんなにレベルの低い作品でもある程度の線引きはされているのだ。が、芝居にはそれがほとんどない。演ろうと思えば誰でもできてしまう。もちろん、それが新しい才能の出てくるキッカケにもなっているので、一概に悪いというわけでもない。ただ、観客には芝居にはピンからキリまであって、ひとつの出来の良くない舞台を観て、芝居って面白くないよね、って思ってもらいたくないのだ。散々、批評したが、もし関係者がこれを読んで「くそー」と思ったら、面白い芝居を創ってくれればイイだけの話だ。

  2008年04月02日

  コメント(0)

• 0FFICE冒険物語

  この4月から新しい企画で芝居作りに取り組む集団を結成します。それに伴ってホームページもリニューアルしつつあります。良かったら、そちらにも遊びに来ていただければ幸いです。http://www003.upp.so-net.ne.jp/bouken/

  2008年03月29日

  コメント(0)

• 0FFICE冒険物語

  この4月から新しい企画で芝居作りに取り組む集団を結成します。それに伴ってホームページもリニューアルしつつあります。良かったら、そちらにも遊びに来ていただければ幸いです。http://www003.upp.so-net.ne.jp/bouken/

  2008年03月29日

  コメント(0)

• 

  恐れを知らぬ川上音次郎一座

  WOWOWで観ました。前売りも取れず、公演期間中は多忙で、遂にテレビでの観劇となりました。さて、シアタークリエと言えば、芸術座からの延長線上にある商業劇場です。三谷さんは商業劇場の定義を「観客が役者を観に来る所」と定義しました。つまり、「役」優先ではなく、「役者」優先の舞台を作ったそうです。それは、「コンフィデント・絆」と比較すればよく分かります。「コンフィデント・絆」は「役」優先。役者にとって第三者である「役」を役者さんが演じている舞台です。例えば、ゴッホを演じる、生瀬勝久。この作品はその逆で、例えば、ユースケ・サンタ・マリア演じる、川上音次郎。と、いうわけです。まあ、言われればその通りなのですが、案外、役者側も観客側もこのことが分かっていないような気がします。例えば、商業劇場サイドから芝居を観る人は常に「役者」が演じる「役」という視線で芝居を観ているのでしょうし、その逆の場合は「役」を演じる「役者」という視線で芝居を観ているのでしょう。つまり、単純に一方向からの批評は案外困難ではないか、ということです。果たしてその作品はどちら方向から観るべきなのか？　ということで、作品並びに役者の評価も変わってくると思います。ですから、「コンフィデント・絆」が07年度の演劇各賞を受賞したのは、その辺りの象徴とも思えます。で、本題に戻りますが、この作品は三谷さんの定義に従った商業劇場の芝居作りで大いに客席を沸かせます。三谷さん曰く、観客参加型ドタバタコメディが実にうまく機能しています。何しろ、「舞台」が「舞台」なのです。つまり、シアタークリエの舞台が芝居の舞台の明治32年のボストンの劇場の舞台というわけです。ですから、観客もシアタークリエの観客でありながら、劇中のボストンの劇場の観客の役割も果たすわけです。内容は三谷さん得意の(と、私が思っている)ショー・マスト・ゴー・オン物です。明日に本番を控えた川上音次郎一座が数々の難関を乗り越えて本番をやり通す、というあのパターンです。ですから、つまらないわけはありません。客席は爆笑の嵐です。ああ、劇場で体験したかった。そんなわけで個人的には再演を強く希望します。が、単純に「コンフィデント・絆」との比較で言えば、個人的には「コンフィデント・絆」に於けるスタッフ・キャストのチャレンジ精神が私は好きです。

  2008年03月26日

  コメント(0)

• 

  春琴

  「春琴」演出/サイモン・マクバーニー出演/深津絵里他2月21日（木）世田谷パブリックシアター　19時開演の部1階　N列1番もっと早く書いてもっと多くの人に観てもらいたかった舞台です。鬼才サイモン・マクバーニーが送る谷崎潤一郎の世界です。これこそが「演劇」というのでしょう。「演劇」というジャンルの可能性を目の当たりにさせてくれます。刺激的です。実に刺激的です。スタッフ・キャストが共同でしかも全力で作品に取り組んだであろうことが容易に想像できます。実に上質の舞台です。正直、その素晴らしさをどう表現していいのか分かりません。演劇というジャンルでしか成立しない表現の素晴らしさ、とでもいったらいいのか？この作品を体感するには劇場に足を運ぶしかないのです。そして、作品に参加するしかないのです。傍観者でいてはいけないのです。「コンプリシテ」とは日本語で共犯者を意味します。観客をも創造のまたは想像の共犯者に仕立てないとサイモン・マクバーニーの作品は成立しないのです。演劇的、とはこういう作品のことをいうのです。

  2008年03月11日

  コメント(0)

• なるべく派手な服を着る

  MONO第35回公演「なるべく派手な服を着る」作・演出/土田英生出演/水沼健・土田英生他3月6日（木）　19時30分開演の部ザ・スズナリ　B列9番今頃気が付いたのですが、小説に「私小説」があるように芝居にも「私小説」みたいな芝居があるんですよね。で、それは、大概、「写実的」な表現で行われているんですよね。例えば、本谷有希子さんの作品はそんな感じだと思います。だからってわけでもないんでしょうが、本谷さんの芝居はそのまま、小説、になったりします。ちなみに欧米には「私小説」という呼び名はないそうです。「私小説」というのは、日本独特の表現形式らしいです。作家が自分のことを書くときは欧米では、「自伝」という呼び名になるそうです。そんなわけで、欧米には「私小説的」な芝居がないんですね、きっと。逆に「私小説的」な芝居が存在するのは、日本だけ、ということになるのでしょうか？でも、このMONOの作品が「私小説的」というわけではないんです。ですが、写実的な表現をもちいることで、それは、「私小説的」な見え方に見えたりする、ということに気が付いたんです。つまり、表現として「演劇的」ではない、という意味です。で、「演劇」を演っているのに、何故、「演劇的」に拘らないんだろう、って、常々、思っていたんです。が、小説のスタートが「私小説」からスタートした人はそれこそが小説のスタイルだと思っているわけですよね。で、それに最も相応しい表現方法が写実的な表現方法だと。（例えば、田山花袋の「蒲団」です）同じ理屈で言えば、「私小説的」な演劇からスタートした人はそれこそが演劇のスタイルだと思っているわけですよね。故にその表現も写実的にならざるを得ない、ということですよね。小説家にも田山花袋のような人と筒井康隆みたいな人がいるということです。演劇人も同様なんですね、きっと。田山花袋みたいな演劇人はきっとそれこそが演劇だと思っているのでしょうね。で、筒井康隆みたいな演劇人はきっとそれこそが演劇だと思っているのでしょう。何か納得しました。田山花袋のような作家は筒井康隆のような作品を書かないだろうし、筒井康隆は田山花袋のような作品を書かないのでしょう。でも、小説として両者が存在することが小説というジャンルの幅の広さなのでしょう。と、言うことは、演劇も同じですね。「これぞ、演劇ッ！！」というスタイルが無数に存在する方が演劇というジャンルの広さに繋がるのでしょう。だから、こんな表現は「演劇じゃないッ！！」なんて決めつけないで、「ああ、演劇にはこんな表現もあるのか」と感心しましょう。でも、この作品を書いてる土田英生さんはテレビの脚本も書いたりしているそうです。でも、野田秀樹さんは絶対テレビの脚本は書きません。まあ、そういうことです。

  2008年03月11日

  コメント(0)

• 

  黄昏れて、途方にくれて

  劇団東京ヴォードヴィルショー創立30周年 その場しのぎの男たち(DVD) ◆20%OFF！「黄昏れて、途方に暮れて」作家、松原敏春氏の追悼公演。NHKBS-2で観た。今観ると実に演劇的な作品だということを感じる。東京ヴォードヴィルショーのいつものノリとは一味も二味も違う。作・演出の違いでこうも劇団のカラーが変わるモノなのだろうか？出演者も一所懸命作品に取り組んでいて好感が持てる。劇団と作家、演出家との幸せな出会いを感じ取れる幸福な作品に思えた。

  2008年02月17日

  コメント(0)

• ウラノス

  青山円劇カウンシル♯1～RISE!～「ウラノス」作/前川知大演出/青木豪出演/酒井美紀/川村ゆきえ/他2/14（木）19時　青山円形劇場　Gブロック18番当日パンフレットの「宣誓!!!　青山円劇カウンシル十訓」の二番目に「一、進取の精神と芸術性に溢れ、尚且つ皆様に喜ばれる作品を創造し、妥協せず、中途半端なものは一切世に送り出しません!」とある。さらに、三番目に「一、気概溢れる新進劇作家を積極的に起用し、演劇界に新風を吹き込むべく常にチャレンジャーの立場で挑戦します!」とある。確かに作品の出来は水準までいっている。が、「進取の精神」と「演劇界に新風を吹き込むべく常にチャレンジャーの立場で挑戦します!」は果たしてどうなのだろう。見終わった直後の私の感想は「だから、どうなの？」である。全てにおいて、どこかで観たこと感があるのだ。ホンだって、今、そのネタ演ってどうすんだよ？　と思った。演出も確かに丁寧に演出しているけれど、だから、どうなの？　と思った。これを新しいぞ!　凄いぞ!　と、どうやったら思えるのだろう？その昔、野田秀樹氏の作品を観た時、大人達はなんだこれ!？　と思ったはずだ。今だって、それなりの作品が出てくれば、大人達だってなんだこれ!？　と思うはずだ。もちろん、イイ意味で。が、これはどうなんだろう？それとも多くの人たちはこの作品を観て「衝撃」を感じているのだろうか？私の感覚が麻痺してしまったのだろうか？エンタテインメント作品ならまだしも「演劇界に新風を吹き込むべく」作品がこれでいいのだろうか？私は甚だ疑問である。

  2008年02月17日

  コメント(0)

• 二人の約束

  「二人の約束」作・演出/福島三郎出演/中井貴一/段田安則/りょう2008年2月8日金曜日　19時開演の部パルコ劇場　C列8番中井貴一と段田安則の自称「劇団ふたり」の公演。おそらく二人の意見がかなり芝居作りに反映されているのであろう。福島三郎の作・演出はふたりが普段（テレビや映画または他の舞台）演じている役柄とはちょっと距離を置いたところでふたりの魅力を引き出している。特に中井貴一が演じる役柄にはその特徴が顕著でこの「場」でしか観られないであろう役作りが充分に楽しめる。作品自体はテレビにも映画にも変換できる。いわゆる、演劇的な作品ではない。が、この二人が演りたいことを演るにはやはり演劇でなければならなかったのだろう。それは、中井貴一、段田安則の舞台上でのワクワク感から伺い知ることができる。二人は実に楽しそうなのだ。作品の完成度も高い。ただの頼まれ仕事でなく自分たちの思いが反映しているからであろう。ゲストのりょうも良かった。舞台で観たことないな、と思っていたら初舞台だった。商業演劇だと正直、やっつけ仕事、的な舞台も多々ある。ビジネスライクな舞台というか。でも、この作品は違う。スタッフ・キャストの思いが込められているのが伝わってくる。手作りで丁寧に丁寧に作っているのが理解できる。できれば全ての舞台作品がこのような取り組み方でできあがるとうれしいのだが。

  2008年02月11日

  コメント(0)

• 連日稽古、始まりました。

  昨日（1/28）から連日稽古が始まりました。稽古場は久しぶりのベニサンです。私たちは第四スタジオ。下の第三スタジオでは「星屑の街」の稽古をしています。ここに来ると、世の中ではいろんな芝居演ってんだなぁ、と実感します。さて、稽古です。で、この思いは今回だけではないのですが、毎回気になるのが参加者の温度差です。例えば、参加温度（？）100度の人もいれば50度の人もいれば10度の人もいます。で、この参加温度は芝居の技術的なことの評価ではありません。ありませんが、大抵の場合、参加温度の低い人は技術度も低いものです。もちろん、例外もあって、技術面の評価は低いのですが、参加温度は1000度くらいの人もいます。さらに問題はこの参加温度は参加者全員が集まって芝居の稽古が始まってみないと分からない、ということです。で、おそらく、この参加者の参加温度の差が大きいのがアマチュア。参加温度の差が小さいのがプロフェッショナルなのではないでしょうか。これからのシーズン、新たに芝居を始めようという人も沢山いると思います。が、今一度、あなたの芝居に対する思いの温度を再確認することをお勧めします。プロフェッショナルを目指す人は大抵、沸騰、してるものです。

  2008年01月29日

  コメント(0)

• 

  砂利

  砂利～zyari～(DVD) ◆20%OFF！作/本谷有希子演出/倉持裕劇団ダンダンブエノ公演「砂利」悪あがきか？最後の頑張りか？本谷有希子絡みの作品を二本観た。この「砂利」と「乱暴と待機」。で、この「砂利」は以前、NHKで放送した作品を録画しておいたモノ。その番組の冒頭で、本谷有希子氏はインタビューにこう答えていた。「人間関係がどろどろしていることが私にとってのエンタテインメント」と。どろどろした人間関係をエンタテインメントに思える感性。そんな感性の持ち主はあまりいないのではないか。つまり、普通の人とは違う、ということ。「違い」英語で言うと「difference」（ディファレンス）。で、彼女は、私が言うところの「ディファレンス効果」の持ち主である。他人と如何に「違う」かということがその人の評価になる。他人と「違え」ば「違う」ほどその人の評価は高まる。その伝で言えば、本谷有希子氏の評価の高さも納得できる、というもの。この「ディファレンス効果」、アーチスト系の人たちには最も必要なものである。その効果が高ければ高いほど、例えば、作家だったら「作家性」が強調される。映画監督で言えば、ティム・バートン。説明するまでもあるまい。これで、先ず、彼女の評価が何故高いかは理解できた。次は彼女の作る物語の構造。これは、もちろん、推測の域を出ないが、「100から始まって0になる話」ではないだろうか？物語のスタート時、主人公の主に心理状態は「100」（満タン）の状態にある。それが物語が展開するに連れて主人公の心理状態の数値は段々と減ってゆく。100～90～70～50～……。そして、終盤、その数値は「0」を迎える。そして、物語は終了する。普通の物語展開は「0」から始まって「100」で終わる。スタート時、主人公の心理状態は満たされていない。つまり、「0」。物語が展開するに連れて主人公の心理状態の数値は上がってゆく。で、まあ、終盤、満足（100）な状態を迎えて物語は終わる。この「砂利」の主人公も、一見無目的に見えるが、実は何時訪れるかも知れない「復讐者」に対して心理状態は満タンの状態でスタートする。が、やがて、復讐者が現れるのだが、その復讐者はすっかり、復讐を忘れている。その時点で主人公の心理状態の数値は下がり始める。やがて、その復讐者にまったく復讐の意志がないことが判明して、主人公の心理状態の数値は「0」になる。さて、「乱暴と待機」の主人公も復讐されることを待っている（待機している）。が、復讐する側は復讐の動機を忘れていて復讐することができない状態にある。やがて、……。と、両作品はほぼ同じ構造を持っている。結果（100）から原因（0）を探り出す物語といってもいいかもしれない。私たちが今演っている「遭難、」も主人公が何故こんな人間になってしまったのか？　を解明してゆく物語である。つまり、「100」から「0」を探る物語。この構造が理解できていると彼女の作品は分かりやすくなるのではないだろうか。もちろん、構造だけの話で作品全体の話ではない。が、まあ、少しだけれど手掛かりは掴めた。この手掛かりを頼りに進めるところまでは進んでゆこう、と今は思っている。

  2008年01月27日

  コメント(1)

• 

  ブロードウェーを変えた演出家　ジュリー・テイモア

  ライオンキングジュリー・テイモアさんはブロードウェーの演出家だ。有名なのはミュージカル「ライオンキング」。その特集をNHKで観た。で、ジュリー・テイモアさんは、私流に演出の流派でいえば「野田秀樹派」だ。で、この番組を観て一番驚いたのは、そのジュリー・テイモアさんがミュージカル「スパイダーマン」の演出を担当しているということである。先ず、「スパイダーマン」がミュージカルになる、ということに驚くッ！！そして、その演出をジュリー・テイモアさんが担当することに更に驚くッ！！こりゃあ、久しぶりにブロードウェーに行くしかないのだろうか？果たして、日本で上演されるのだろうか？果たして、誰が、イヤ、どこかがか、が演るのだろうか？興味は尽きない。BD スパイダーマン3 ブルーレイディスク版《発売済・在庫品》

  2008年01月21日

  コメント(0)

• カゴツルベ

  少年社中第19回公演作・演出/毛利亘宏08年1月11日金曜日　14時開演の部　J-10吉祥寺シアターウチのメンバーの近藤エジソンくんが出演しているので観に行った。少年社中を観るのは初めてである。話は歌舞伎の「籠釣瓶花街酔醒（かごつるべさとのえいざめ）」という作品を題材にしているとのこと。もとの話がしっかりしている所為か安心して観られた。で、感想を二つ。ひとつは、出演者を含む制作者側が芝居作りを楽しんでいること。10周年記念公演、ということだが、きっと、絶対、いろいろなことがあった、と思う。が、この日の舞台に上がっていたメンバーに関して言えば、おそらく、舞台の上にいることが心底好きな人々なのだろう、ことが感じられた。それは、おそらく、芝居を続けていく上で最も大事なことだろう、と、再確認させられた。もうひとつは、舞台の完成度の高さである。が、この完成度の高さは「両刃の剣」で、今後、この完成度を超える舞台を作れるのだろうか、という予感を感じさせない。次の作品のできもおそらく同等なのだろうな、と思わせてしまう。おかしな物言いだが、「破綻」とか、「隙」がないのである。それは、例えば、野田さんの「The Bee」でも、あの完成度でも次回再演したならばまた別な「The Bee」が現れるな、と思わせる、可能性の部分があるのだ。その可能性の部分を、「破綻」とか「隙」とか呼んでいるのだが、決して悪い表現ではない。現に、「鹿殺し」には「破綻」とか「隙」と呼べる可能性に繋がる部分を多々感じる。何て言うか、小さくまとまろうとしているのだろうか？もちろん、本人達にそんな意識は毛頭ないのだろうが。その点が気になったところでもあり、次回の楽しみでもある。あっ、そうそう、最近の小劇場の役者さんてみんなうまいよね。

  2008年01月11日

  コメント(0)

• 目を見て嘘をつけ

  KAKUTA第19回公演「目を見て嘘をつけ」作・演出/桑原裕子出演/筒井真理子・内海賢二/他08年1月10日木曜日　19時30分開演の部　シアタートラム　G列13番お世話になっている賢プロダクションの内海賢二さんが出演しているので観に行きました。KAKUTAも初見です。と、その前に。この日、この芝居を観る前に、短編ですが、10本のシナリオのリーディングに立ち会ってから行きました。で、思ったのですが、短編（10分程度）とはいえ、10本のシナリオのリーディングはかなりキツいです。今日の想像力、全部、使いました、と思いました。だから、芝居が始まってからしばらくは想像力が舞台に追いつきませんでした。相当、「脳」が披露している、そんな感じでした。お話しは地方都市の一軒のお蕎麦屋さんを舞台に進行します。そのお蕎麦屋さんの家族とその店に集う人たちの「嘘」をテーマにした物語です。今、本谷有希子さんの「遭難、」という芝居の稽古をしている所為か、同時代の女性作家の共通点みたいなモノを感じました。それは、何なの？　と言われるとちょっと困るのですが、今の女性作家の視線、みたいなもんです。渡辺えりさんとは確実に違う、視線。好感が持てたのは、出演者を含む制作者サイドが芝居を創ることを楽しんでいること。最近ちょっと、役者として売れるとか売れないとか、の話に付き合わされることが多かったので、純粋に芝居作りを楽しむ姿勢を目の当たりにして、正直、感動しました。芝居って、こういう人たちと演らないといけないんですよね。出演者では筒井真理子さんが圧倒的に良かったです。ネタバレになるのであまり詳しくは書けませんが、難しい役を丁寧に演じていたと思います。内海さんは最近縦横無尽に小劇場界を席巻している感じがします。ちょっと理想的ですよね。この際ですから、もっともっとあっちこっちの小劇場にでてくれるとうれしいです。

  2008年01月10日

  コメント(0)

• キル

  野田地図第十三回公演作・演出/野田秀樹「キル」先ず、そのパンフレットから野田秀樹氏の思いをまんま引用させていただく。「富士山を太平洋にブン投げる」から私は、大風呂敷を広げて、大嘘をまことしやかに作り上げることに、全身全霊を傾ける類の作り手だ。「富士山を太平洋にブン投げたい」し、「紅葉の葉脈の迷路に迷い込んだり」「朝の光をむしゃむしゃ食べる」ようなことが、作家の書くべきことだと思っている一派の人間である。近頃、この一派が減った。激減している。我々の敵は、「等身大の人生を描く」とか言う一派である。ちまちました職場の悩みとか、学校の教室でうんたらかんたらとか、家庭内でああだこうだ、みたいなのを作っている一派だ。たった一人の人間の人生を描こうとすると、一人という人間のスケールからはみ出すことができない。或いは、その人間よりももっと小さな世界に入っていくこともできない。だって、ひとりはひとりだから。みたいな？結局自分探し、みたいな？わざわざ世界中を回っているのに、自分探しかよ、中田ヒデ、みたいな？わたしは、そうした「等身大」の物語が大嫌いだ。結局、この趣味の違いは、金を払って、絵空事の些細な現実を見たいか、まことしやかな壮大な嘘を見たいか。というところに行き着くのだと思う。そこに、たったひとつの言葉とちいさなスペイスがあれば、たった一人の人間が、その小さな足の裏で、「火星を踏み潰す」こともできる。それが劇場の素晴らしさだと、私は確信している。そして今宵この劇場で、行ったこともない「モンゴルの草原の熱い風と光の中に」人々を誘うことが、この世に少なくなってきた大法螺吹きの役目だと思っている。野田秀樹そして、わたしは、九割九分、野田秀樹一派だ。

  2008年01月10日

  コメント(2)

• 

  脳と演劇

  脳を活かす勉強法昨日（1/8）から「遭難、」の稽古が再開しました。で、今日のテーマは「脳と演劇」です。先ず、「脳を活かす勉強法」にある、茂木健一郎先生の説。●「人間の脳の中は〈ある行動をとったあと、脳の中で『報酬』を表す物質が放出されると強化する〉という性質を持っているのです。つまり、報酬を得て喜びを実感できた行動を再現し、繰り返したくなる。結果、その行動に熟練していくというわけです。そのカギを握っているのは「ドーパミン」という物質です。ここでいう報酬とは、何かを成し遂げることによる達成感や、他者からほめられること、自分の知識欲を満足させることなどを指します。どんなものを報酬（喜び）と感じるかは、人それぞれでしょう。●ドーパミンは神経伝達物質のひとつで、「快感」を生み出す脳内物質として知られています。この分泌量が多ければ多いほど、人間は大きな快楽・喜びを感じることが分かっています。●ドーパミンが放出されるのは、「やさしすぎず、難しすぎない」課題や問題に取り組んでいる瞬間です。簡単な問題だけを解いているときは張り合いがなく、やがて退屈になってしまいます。一方、手に負えない難問に取り組んでも、どこから解決していけばよいのか分からず、嫌になってしまいます。厄介なことに、難易度の基準は一定ではなく、同じ人でもその時々の体調や状況によって常に変わります。脳に最適な負荷をかけるには自分の身体や脳がどんな状態にあるかを的確に把握し、それに合わせて難易度を調節する必要があるのです。最適な負荷の量は、残念ながら他人が教えることはできません。常に自分との対話を行いながら、調節法を体得するしかないのです。上記の説を芝居を演ってる人に置き換えて考えてみました。何故なら、「やる気」はあるのに極端に芝居のできない人が結構いるからです。それはその人の芝居に対する「想い」だと思っていました。「想い」が足りてるとか足りてないとか。しかし、そうではなく、「脳」の問題だったんですね。今できない人は、今取り組んでいる課題が、その人にとって「難しすぎる」のだと思います。「難しすぎる」から楽しくない。楽しくないからドーパミンが放出されない。ドーパミンが放出されないから「快感」を感じられない。だから、嫌になる。嫌になったから続けられない。だから、やめる。おおッ！！これが「やる気」はあるのにやがて芝居をやめてしまう人の理由です。逆に「難易度」が丁度いい人は、楽しいのでドーパミンが大量に放出される。だから、「快感」を感じる。「快楽」を感じられるので何時までも続けられる。続けているウチに、まあ、うまくなる。うまくなったから、更に「難易度」をあげて、まあ、結果、更にうまくなる。つまり、今、「やる気」があるにも関わらず「芝居」が楽しくない人は、「難易度」の基準がその人にあっていないんですね。では、どうするか？やはり、先ず、自分を知ることでしょうね。そして、今演っている課題が難しすぎると思ったらもう少し易しい方へ課題を修正する。逆に易しすぎたらもう少し難しい方へ課題を修正する。常に自分の難易度を知ることが芝居を続けていくコツでしょう。ただし、どの難易度でも楽しさを感じることができないとしたら、芝居というジャンルがその人に向いていないと言うことだと思います。稽古しながら、そんなことを考えていました。

  2008年01月09日

  コメント(0)

• 

  コンフィダント・絆

  三谷幸喜脚本によるシリアス・ドラマ！織田裕二の外科医が印象的で映画版「白い巨塔」の田宮二郎の再来を感じさせる！DVD未発売。■振り返れば奴がいる＜全4巻セット＞■録画したまま未見だった三谷幸喜作・演出の「コンフィダント・絆」を観る。何の予備知識もなく観た。で、始まってすぐに違和感を持ったのが客席に観客がいないことだった。そう。舞台中継なのに客席に観客がいないのだ。つまり、観客の反応がないのだ。これは作品終了後の解説で三谷さんが説明しているのだが、生の舞台でもなく、映像作品でもない舞台中継とはなんだろう？　という疑問から三谷さんが発想し、企画、実行されたものらしい。つまり、今までの舞台中継は生の舞台より面白くない。さらに映像作品より面白くない。中途半端なポジションにあったのではないだろうか？では、独立した舞台中継としての面白さとは何だろうか？と、企画されたらしい。当たり前の舞台中継だと思っていた私は先にも書いたように当然あるべき観客の反応のなさに違和感を覚えたわけだ。で、これは不思議な感覚だった。映像作品ならば当たり前だが観客の反応などなくてもなんの違和感も感じない。が、舞台中継だと、観客の反応がないことにとても違和感を感じる。コメディなら尚更だ。が、この違和感も時間を増すごとになれて行く。エンドロールで数えたのだがカメラが20台以上入っていた。イヤ、もっとかもしれない。つまり、舞台作品をカメラで切り取り映像作品として提出するというまったく新しい試みなのだ。結果はまだまだ試行錯誤中というべきであろう。が、それを試みたスタッフ・キャストには敬意を払う。何事も新しい試みには賛否が付きまとうものである。私見だが、何れは映像作品として提出するときの演出力が問われるのではないだろうか？三谷さんの演出した舞台中継が観てみたいと思った。作品の内容に触れられなかった。何れまた。※紹介したのは幻の三谷作品である。興味のある方はどうぞ。

  2007年12月17日

  コメント(0)

• 

  ザ・ニュースペーパーpart72

  社会風刺劇団 ザ・ニュースペーパー DVD 笑国日本 ～I Laugh Japan～(DVD) ◆20%OFF！「スーパー・ニュースペーパー　2007！　年末公演　今年を笑う」作/ザ・ニュースペーパー　演出/寺田純子出演/渡部又兵衛・竹内康明・他銀座・博品館12月14日（金）15時開演の部L列6番メンバーの竹内康明君は劇団の後輩である。劇団退団後もしばらく一緒に芝居をしていた時期がある。そんな竹内くん、通称、ヤー坊がザ・ニュースペーパーに参加して何年経つのだろうか？今ではもうすっかり古株になってしまった。知り合いが活躍しているのを観るのは気分がいいものである。仲が良ければその気分も倍増する。さて、ご存じないか方もいるかもしれないが、ザ・ニュースペーパーはいい意味で危ない集団である。何が危ないって、扱っているネタ、がである。とてもテレビじゃ出来ない。それがいいのである。主に政治ネタだがたまらなく面白い。もとネタのことを知っていれば知っているほど面白い。ザ・ニュースペーパーを面白がるには政治を政治家を知らなければならない。そんなわけで彼らは国民が政治に関心を持つきっかけにもなっている、と思う。実際、私は、ザ・ニュースペーパーの公演を面白がるために国会中継、政治関連のニュースをよく見るようになった。もっとも最終表現はコントなので気軽に楽しめる。私が観劇したこの日も、某政治家が観に来ていた。自分の所属する政党や派閥がどう扱われていて、観客がどう反応するかが気になるらしい。偉いぞ、某政治家！！12月21日の「徹子の部屋」にゲスト出演すると言っていたので、彼らの正体の一端を知りたい人は是非どうぞ。が、彼らの真の姿は舞台でしたか観られません。応援の程、よろしくお願い申し上げます。頑張れ！！　ヤー坊！！「お前もな！！」と言っているヤー坊の声ももちろん聞こえています。

  2007年12月15日

  コメント(0)

• 

  ハロルド&モード

  ミュージカル「ハロルド&モード」作/トム・ジョーンズ　原作/コリン・ヒギンズ　音楽/ジョゼフ・サルキン演出/翻訳/訳詞/勝田安彦出演/大方斐紗子/三浦涼介/旺なつき/杉村理加/立川三貴/他2007年9月29日土曜日　13時30分開演あうるすぽっと　I列7番原作の舞台を30年くらい前に観たことがある。フランスから来たジャンルイ・バロー劇団の公演だったように記憶する。間違ってたらごめんなさい。随分と透明度の高い舞台だったように記憶している。抽象的か。何だろう、ドラマの本質部分のみを演じていたといったらいいか？今回の舞台はそのミュージカル版。透明度の高い印象の舞台が極彩色の印象の高い舞台に変わっていた。おそらくミュージカルになったせいだろう。善し悪しの問題ではなく、表現の差の問題だろう。テーマ的には今日的な気がした。生きる気のない若者と生きる気満々の老人の恋物語。で、気になったことが一つ。出演者の一人が今を生きていないように見えたことだ。現実の世界できちんと生活していない人が舞台の虚構の世界の中だけで生きている、と言ったらいいか。だから、演じてる役に現実感がない。今日的なテーマが観客に迫ってこない。これが非現実的な世界を舞台にした物語だったらそんなに気にならなかったのかも知れない。が、制作者側の意図は日本の老人問題の未来を見据えての上演だと推測する。テーマ的には結構切実な問題なのではないか。それが役者の演技によって切実な問題として迫ってこないことこそが問題なのではないか。まあ、そう思ったのは私だけかも知れないが。少なくとも私はそう思った。作品の世界観やテーマも考えてキャスティングするべきなんだな、と。で、この「あうるすぽっと」は池袋に出来た新劇場である。有楽町線の東池袋の真上にある。便利だ。中は少し新国立劇場の小劇場に趣が似ている。キャパは301名。私の席はかなり観やすかった。ただし、ピンスポットの灯りのこぼれが少々気にはなった。これからどんな劇場に育っていくのか楽しみだ。確か、柿落としの公演に出演するかまたは観ると長生きする、という言い伝えがある。どっちだったか。両方だったか。まあ、私は両方経験しているので長生きすると思う。さらに、まあ、ただ長生きすればいいってもんじゃないけど、とも思っているから。あっ、上のDVDは出演者の三浦涼介氏が出演しているらしい。三浦くんは今回初めて知った役者さんだったが、結構、良かった。今後を期待します。

  2007年09月29日

  コメント(0)

• 

  天の魚

  ひとり芝居「天の魚」石牟礼道子「苦海浄土」より潤色・演出・出演/川島宏知観客が作品を選ぶ場合もあれば、作品が観客を選ぶ場合もある、と思う。この作品に私は選ばれなかったように感じた。テーマも理解できるし、表現方法も理解できるが、どうしても私の心には突き刺さってこなかった。日本のどこかにはこの作品のテーマ、表現が見事に突き刺さり、心揺さぶられる人がいるに違いないと信じている。観客と作品の出会いの難しさを感じた。

  2007年09月20日

  コメント(0)

• 

  へそのはなし

  新宿芸能社第10回公演「へそのはなし」作・演出/羽原大介出演/北島義明、福下恵美他新宿シアターブラッツ　9月19日（水）19時30分開演の部　全席自由席知り合いの北島君が出演している新宿芸能社第10回公演。作・演出はあの「フラガール」の羽原大介氏。今回は、日本の中心はどこか？　というお話し。つまり、日本のへそのはなし。相変わらず着想がユニークだ。日本には、ここが日本の中心だ、という地点が60箇所以上あるらしい。そんなバカなと思われるかも知れないが、条件によってはそうなるらしい。で、この芝居のお話しは、我が村が日本の中心と主張して地図に掲載して貰い、観光客を誘致しようというのが主筋。その思惑に各登場人物の個々の思惑が絡むのが脇筋でドラマが進行する。羽原氏の演出は相変わらずワイルドだ。さすが、つかこうへい氏の門下生。ゲストでは福下恵美さんが気になった。私は知らなかったが、どうやらアイドル予備軍らしい。芝居もしっかりしていたし、輝いていた。新宿芸能社は羽原氏が主催する劇団だ。羽原氏は「フラガール」の他「パッチギLOVE&PEACE」「ゲゲゲの鬼太郎」などの脚本を書いている。もう少し評価されてもいいと思うのだが、映画と芝居の評価はやはり別物なのだろうか？　

  2007年09月19日

  コメント(0)

• 

  狼少女伝説TOH！！

  伊東四朗一座で公演ができない時の集団名が熱海五郎一座だ。伊東でなくて熱海。四郎でなくて五郎。三宅さんがカーテンコールでそう言っていた。脚本は妹尾匡夫氏。構成、演出は三宅裕司氏。07年6月3日/東京、天王洲銀河劇場での録画。出演は渡辺正行、ラサール石井、小倉久寛、南原清隆他昨日も書いたけれど、三宅さんが演出すると実に三宅色になる。作家名を隠してこの作品と「社長放浪記」を見せたら、すぐにはどちらが三谷さんの作品か答えられないだろう。おそらく、もとのホンをベースにどれだけ笑わせることができるか、ということに腐心しているのだろう。出演では、渡辺さんとラサールさんのコンビのシーンがファンにはたまらなく面白い。赤信号時代の秘話をアドリブで双方が語り合う。また、赤信号時代の懐かしのネタも披露する。意外だったのは南ちゃんこと南原清隆。役者としてもうまくないし、コメディアンとしても面白くない。この種の作品に馴染まないのだろうか？もっともっと面白い人だと思っていただけに意外だった。

  2007年09月15日

  コメント(0)

• 

  社長放浪記

  伊東四朗生誕？七十周年記念「社長放浪記」作/三谷幸喜演出/三宅裕司出演/伊東四朗、中村メイコ、佐藤Ｂ作他07年7月10日本多劇場録画。気のせいか、いわゆる軽演劇を復活、再生、持続させようという公演が増えているような気がする。先の新感線の「犬顔家～」もそうだった。80年代のSETや東京ヴォードヴィルショー、東京乾電池も小劇場というジャンルで括られていたが、その当時の軽演劇であった。時代が再びそちらを向き始めたのだろうか？さて、この作品は三谷さんの書き下ろしだが演出が三宅さん。いつもの三谷さんの作品とは随分と趣が違う。三宅さんの演出のせいだろう。三谷さんの作・演出作品はどこか都会的でスタイリッシュだが、三宅さんの演出はその反対だ。だからと言って悪いわけではない。笑いをとれるところは確実にとっていこう、という心意気が感じられる。非常に良くできたホンで三谷さんの演出でも観てみたい。伊東四朗さんの為に書き下ろしたということで伊東さんの魅力が爆発している。役者の芸で見せる面白さも堪能できる。中村メイコさんとの絡みはNHKでのコント番組を彷彿とさせる。もちろん、良い意味で。Ｂ作さんと三宅さんの初めての共演も楽しめる。是非、再演を希望する。WOWOWは最近芝居を結構やってくれるようになった。観られなかった公演をテレビでもいいから観られるようになったのは非常に喜ばしいことである。さらに多くの話題作を放送してくれることを希望する。

  2007年09月15日

  コメント(0)

• 

  天使はブルースを歌う

  不勉強で山崎洋子という推理作家を知らなかった。女性アナウンサーのグループSuimmyとコンポーザー&ピアニストの鬼武みゆきさんとの「朗読と音楽で紡ぐ物語の世界」という朗読会に行った。知り合いの浅木勝氏が出演していたからだ。音楽は鬼武みゆきさんのピアノとグレッグ・リーさんのベース。音楽が朗読のBGMというわけではなく、朗読が主張する瞬間もあれば、音楽が主張する瞬間もある。まさにコラボレーション。こういうスタイルの朗読会は初めてだったが、非常に楽しめた。三部構成のラストが山崎洋子さん作の「天使はブルースを歌う」。朗読のための書き下ろしだそうだ。朗読のための書き下ろしというスタイルも珍しいのではないか。大抵は既存の小説などを読むというスタイルが殆どだろう。書き下ろしなので、読む人を想定しているのか、非常に聞きやすかった。聞きやすいように地の文より主に登場人物のセリフで構成されていた。物語のテーマは戦争の悲劇である。それを推理作家らしい構成で聞かせる。推理小説は基本的に推進力があるので朗読向きかも知れない。読者を飽きさせないテクニックは同時に聴衆者も飽きさせないと言うことである。プロのミュージシャンとプロの朗読者。存分に作品世界を楽しむことが出来た。

  2007年09月11日

  コメント(0)

• 

  ロマンス

  こまつ座&シス・カンパニー公演「ロマンス」作/井上ひさし演出/栗山民也出演/大竹しのぶ、松たか子、段田安則、生瀬勝久、井上芳雄、木場勝己07年9月5日（水）13時30分開演の部世田谷パブリックシアター　2階Ｂ列3番チェーホフの物語である。チェーホフの評伝形式を取り入れながら最終的にはチェーホフがどういう考えを持って数々の作品を書き記したかが分かる仕組みになっている。非常に刺激的で完成度の高い舞台である。先ず三島由紀夫も「サド侯爵」などでやっていたが、日本独特の新劇スタイルを逆手に取った日本人が外国人（この場合ロシア人）を演じるという、いわゆる赤毛モノスタイルを取っていると言うこと。チェーホフという人物を年代別に四人の俳優が演じるということ。形式にヴォードビル形式を取り入れていること。圧巻は二幕目のチェーホフ対スタニスラフスキーの対決だろう。それは作家対演出家の対決でもある。チェーホフの意図を如何にスタニスラフスキーが理解しなかったか。ホントはヴォードビルとして書いた作品が何故悲劇と呼ばれるようになってしまったか。他者の書いた作品を演出する身には耳に痛い言葉が延々と続く。それは作者自身の言葉かも知れない。この芝居を観る限り私のチェーホフ作品に対する考えが間違っていなかったことも確認できた。それはチェーホフの考える、ドラマ論、として語られる。もっとも意外だったのはチェーホフがヴォードビルの大ファンでヴォードビル形式の芝居を幾つも幾つも書き残していたと言うこと。今あるチェーホフの作品上演にはチェーホフの作品のみからの分析上演ではなく必ずスタニスラフスキーの演出意図が潜んでいると言うこと。出演者はみんな素晴らしい。六人のアンサンブルが見事だ。演出も実に丁寧。是非観劇をお勧めする。

  2007年09月05日

  コメント(0)

• 

  腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

  1979年7月14日生まれだから、今、28歳。ありきたりの言い方で申し訳ないが、才能、があるのだろう。本谷有希子。2004年の青山円形劇場での公演をDVDで観た。既に明確な世界がそこに存在している。どんなクリエーターもそのクリエーター独自の世界がなかなか構築できずに苦しんでいる。それなりに評価されているクリエーター達を見るがいい。みな、独自の世界を構築しているはずだ。そして、独自のキャラクター造形と人間関係。作者の目には人間がそう見えるのだろうし、人間関係がそう見えるのだろう。もちろん、笑い、も忘れていない。その状況とセリフのユニークさ。まだまだ面白いモノがいくらでも作れそうだ。そんな予感をさせる。是非一度劇場で観てみなければ。

  2007年09月04日

  コメント(0)

• 

  行商人ネモ

  深夜のテレビで観た。秋に再演があるそうだ。唐さんの芝居は十代の頃から観ているがその面白さを表する言葉を未だに持ち得ない。一般の脚本論や演出論、演技論などは唐さんの前では役に立たない。その素晴らしさ。やはり現場で観て貰うしかその素晴らしさを伝える方法はないのではないか？テレビを観ながら、そう思った。上のアンバランスに唐さんが出演している。素敵なキャスティングだ。

  2007年09月02日

  コメント(0)

• 

  シェイクスピア・ソナタ

  「シェイクスピア・ソナタ」プレヴュー公演8/30木曜日　19時開演パルコ劇場　G列　10番作・演出/岩松了出演/松本幸四郎/高橋克美、緒川たまき、松本紀保、長谷川博巳、豊原功補、岩松了、伊藤欄演劇が「人間関係の芸術」ならば、この作品は確かにそうだ。で、その関係は表に現れたり現れなかったりと複雑に交差する。好みは岩松了氏の作劇と演出を好きか嫌いかで分かれるだろう。チェーホフが好きかシェイクスピアが好きかでも分かれるかもしれない。私は正直あまり好みではない。が、だからといってこの作品を楽しめなかったわけではない。あくまでも好みの問題。私の好みは野田秀樹氏であり、サイモン・マクバニーであり、ピーター・ブルックであり、要はその路線だ。人間関係をじっくり描きながら人間をじっくり描く。そんな作風が好みの方にはお勧めだ。出演者は全員悪くない。プレヴュー公演だったので、ややセリフのつまずきなどもあったがほぼ完璧。相当稽古を積んだのだろうな、と推測できる。うまさはやはり幸四郎さんがダントツ。ひとつひとつのセリフやアクション（行動・行為）の表現ももちろんそうだが、それがキチンとまとまってひとつの役柄を構成している。これから回を重ねるごとにもっと奥深くなっていく予感を感じさせる。さて、劇場でケラさんを見掛けた。ひょっとして次はケラさんの作・演出だったりして。凄いぞ、松本幸四郎！！あっ、上の古畑任三郎は幸四郎さんがゲストで出演していた作品です。

  2007年08月31日

  コメント(2)

• 

  犬顔家の一族の陰謀　金田真一耕助之介の事件です。ノート

  サンシャイン劇場8/15水曜日　6時開演の部　1階20列18番作・演出/いのうえひでのり出演/古田新太、宮藤官九郎、橋本じゅん、高田聖子他劇団☆新感線の「ネタモノ」公演。三年に一度は「ネタモノ」公演を演っているそうだ。あまり区別なく観ていたので、気にしていなかったのだが。作・演出のいのうえ氏もプログラムに書いていたが、ホント、最近はこの手の小劇場公演がさっぱり見あたらなくなった。80年代の小劇場はどの公演を観に行っても必ず「笑い」が伴っていたものだ。これこそが現代の軽演劇の姿なのではないだろうか？観客を「笑わせる」ためだけの作品である。いささかもその目的から外れない。実に潔い。話はまた80年代の小劇場に戻るが、その当時、例えば、東京ヴォードヴルショーや東京乾電池は観客を「笑わせる」ためだけの公演を打っていた。小劇場には「笑う」ために行った。そんな時代だった。まあ、その善し悪しは別にして。今、「笑い」はお笑い専門の人たちのものの感が強い。では、小劇場は今、「何」をしているのだろうか？そんなことも思った。作品はただ観て笑っていればいいが、映画の「金田一耕助シリーズ」を観てから行くと数倍楽しめると思う。「犬神家の一族」は必見だ。役者さん達が舞台で遊んでいるのを観ているのも楽しい。またまた昔の話だが、そんな舞台も多かった。三年に一度と言わずもっともっと演ってくれてもいいような気がする。あっ、6月の初旬頃だったか、いのうえひでのり氏が新宿のトップスという喫茶店で何か書き物をしているのを発見した。一体、何を書いていたのだろう？

  2007年08月20日

  コメント(0)

• 

  フラガール

  大盛況のウチに無事？　「フラガール」が終了しました。観客動員率125%だそうです。声優業界では知る人ぞ知る超優良養成所です。ちなみに入学時の競争率は10倍程度らしいです。今回もラッキーなことあり、アンラッキーなことありと、正にドラマを地でいく芝居作りでした。が、出演者はよくがんばりました。養成所に入って約一年三ヶ月。イヤと言うほどプロになるための洗礼を受けたと思います。あとは彼らの今後の活躍を祈るばかりです。スクールデュオ8期生に栄光あれ！！あっ、ちなみに上で紹介している小説は今回の公演のベースとさせていただいた小説版「フラガール」です。各々の役の心理描写を理解するのに小説版はかなり役だったと思います。ノベライズも利用の仕方によっては面白いことが出来るかもしれないという予感を抱かせていただきました。思いも寄らぬ作品が舞台化できればと画策&思案しています。

  2007年08月09日

  コメント(0)

• 

  フラガール

  スクールデュオ8期生公演「フラガール」絶賛上演中です。お問い合せは03-5459-6558スクールデュオ迄本日8/8水曜日15時&19時で終了です。そんなわけで大忙しです。

  2007年08月08日

  コメント(0)

• 

  蜷川幸雄

  NHKの蜷川さんの特集番組をチラッと観た。チラッとしたか観られなかったのは、まあ、連日稽古で帰宅時間が遅くなったからに他ならない。が、チラッと観た蜷川さんは凄かった。エネルギッシュだった。とても71歳とは思えない。相変わらず稽古場で吠えていた。それで安心したりもした。最近の蜷川さんはやさしくなったと聞いていたから稽古場でも吠えなくなってしまったのかと思ったら、相変わらず、イヤ、以前より、吠えていた。あの稽古場のエネルギーの発散の仕方が確実に本番の舞台にも反映しているのだろう。吠える演出家が少なくなってしまった今、蜷川さんには吠え続けて欲しい。エネルギッシュな芝居を作り続けて欲しい。チラッと観てかなり元気を貰えた。そんな芝居を作り続けなくてはとも思った。

  2007年08月01日

  コメント(0)

• 

  夏の夜の夢

  7/19木曜日　18時開演の部　東京グローブ座　2階C列49番恒例、子供のためのシェイクスピア、今年は新作「夏の夜の夢」である。この企画はおそらく脚本・演出の山崎清介氏があの表現方法に至ったことでおそらく成功を約束されていたに違いない。まさに子供のための表現方法であるが、充分大人も刺激する。観客サイドの想像力が作品の評価を決めかねない。が、制作者側は観客を信じている。素晴らしい。子供の頃からこのような表現方法とシェイクスピアの作品に出会えるなんて、何と幸せなことだろうか？初めて出会うシェイクスピアは結構重要だ。私がシェイクスピア嫌いになったのも初めてのシェイクスピアが面白くなかったからに他ならない。制作者側の責任を問いたいくらいだ。その後数多くのシェイクスピア作品と数多くの表現方法に出会い、何とシェイクスピアは面白いものだ。自由なものだ。と思えるようになったものの、最初のトラウマはやはり残る。もし、まだ、シェイクスピアを未経験の方がいらしたら、この子供のためのシェイクスピアから入ることをお勧めする。シェイクスピアの面白さを存分に知ることが出来る。紹介したDVD は東京乾電池の「夏の夜の夢」。これも傑作でした。

  2007年07月19日

  コメント(0)

• 

  THE BEE

  「THE BEE」ロンドン・ヴァージョン7/18木曜日　シアタートラム　16時開演の部　D列9番作品の出来上がった順番でいえばこちらが先だ。ロンドン・ヴァージョン→日本ヴァージョン。が、観た順番は逆だ。日本ヴァージョン→ロンドン・ヴァージョン。てなわけで、ロンドン・ヴァージョンには日本ヴァージョンにおける原形質の部分を多々発見することが出来る。ここがもとになって、発展して、あれになったんだな、とか。が、美術などの違いもあって芝居の印象は結構違う。無機質でおしゃれな感じがする。が、一番の違いはキャサリン・ハンターの出演だろう。この圧倒的な存在感は何だ！！プログラムにイギリスの怪物女優と紹介してあったがまさにその通りだ。圧倒的に上手い。上手すぎる！！身体能力も抜群だ。経歴を見ると、「RADA（英国王立演劇アカデミー）」出身。「テアトル・ド・コンプリシテ」などのカンパニーに参加している。この公演の後の予定がピーター・ブルックとのベケット芝居、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーでの演出とある。まさに何者じゃ、あんた！？　ってな感じである。この作品はキャサリン・ハンターを観たことで充分その価値はある。わが家ではデュディ・デンチに続くMはキャサリン・ハンターで決まり、というもの凄いキャスティングをしてみた。

  2007年07月18日

  コメント(0)

• 

  ディズニーランドで本谷有希子

  本谷有希子氏の「遭難、」という作品の演出を依頼された。先ず、依頼したメンバーで出来るかどうか下読みしてください、と台本を渡された。で、今日、7/17日、試しに本読みをする予定になっている。が、先週は猛烈に忙しかった。演出中の作品あり、レッスンあり、ホン書きあり、約束あり、と。で、その約束が妻とディズニーシーに行くことであった。もともと、小旅行に行くはずだったが、友人の一人が行けなくなったのでキャンセルした。その代わりのディズニーシーである。それが7/16日。つまり、昨日。私は今日のためにディズニーシーで台本を読むことになった。でなければ間に合わない。邪道もいいところだ。下読みとしても邪道。ディズニーシーを楽しむとしても邪道。が、時間がない。私は台本を手にしてアトラクションに並んだ。アトラクションの順番が来るまでが下読みの時間だ。やがて、すべてのアトラクションを制覇し、台本も読み終わった。今後、この作品を演ることになれば、稽古する度にディズニーシーの記憶が蘇ってくることだろう。で、本谷有希子氏の「遭難、」という作品は今現在、ディズニーシーの記憶とともに私の頭の中でまさに「遭難」しているのだ。

  2007年07月17日

  コメント(0)

• 

  The Last Laugh

  7/11水曜日　19時開演パルコ劇場　H列25番作/三谷幸喜脚色/リチャード・ハリス演出/ボブ・トムソン出演/作家=マーティン・フリーマン　検閲官=ロジャー・ロイド・パック三谷幸喜氏の「笑の大学」イギリスヴァージョン。先ずは演劇の国イギリスらしく、そのリアリティを重んじたアプローチに感心する。脚本、演出、演技、美術、衣裳等々。それらがこの作品をよりイギリス演劇らしくしている。大筋は変わらない。戦時下に喜劇作家が検閲官の元に自身の書いたコメディの上演許可を貰いに来る、という話。が、細部は結構変わっている。検閲官はもと軍人で左手を負傷して義手であること。その検閲官に二人の子供がいることなど。これらの設定変更がやがてドラマを重層にしていく。時代、場所とも明確には限定していない。が、おそらく、第二次世界大戦のドイツ（それらしい衣裳なので）を想像させるように設定してある。で、観ていて面白いことに気が付いた。「笑の大学」は作家と検閲官が丁々発止のやりとりをしているうちにひにくにも作家の台本がどんどん面白くなる、という話だが、この作品自体、三谷さんの脚本をイギリスの脚本家、リチャード・ハリス氏が脚色してさらに面白くなってしまっている、という点だ。正直、三谷さんは驚いていると思う。ちょっとした細部を変更しただけなのにドラマとしてはかなり面白くなっているのだから。特にラストシーンに関してはコメディが一瞬にして悲劇に変わるという見事な作りになっていた。三谷さんは笑わせるためにこの喜劇を書いたのでその必要はなかったのかもしれないが、検閲官のキャラクターとラストシーンを直したことでかなりハイグレードな演劇作品になったことは認めざるを得ない。ただし、それがこの作品にとって良いのか悪いのかはまた別の話だ。もうひとつ。役者の演技の的確さ。作家役のマーティン・フリーマンは「銀河ヒッチハイクガイド」で主演している人。検察官のロジャー・ロイド・パックは「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」にバーティ役で出演していた人。もちろん、二人とも演劇出身だ。キチンとした演技のサンプルとして役者志望者は絶対に観るべきだろう。そして、演出。その的確、丁寧な芝居作りに感嘆する。せっかく演劇の本場イギリスから超一流のスタッフ・キャストが来日しているのだから、是非、ごらんになることをお勧めする。さらに、野田さんの「THE BEE」も今日からロンドンヴァージョンが始まります。こちらも是非どうぞ。まさか日本にいてこんなにイギリスの芝居が観られるとは思わなかった。演劇的に見ると最近の日本て凄いかも。

  2007年07月12日

  コメント(0)

• 

  THE BEE

  「THE BEE」原作/筒井康隆「毟りあい」より脚本/野田秀樹&コリン・ティーバン演出/野田秀樹6/27水曜日　16時開演の部シアタートラム　K列7番野田さんの舞台はいつ観ても刺激的だ。おそらく、自分で作ったスタイルも「型」扱いして、常に「型破り」の状態を目指しているように見える。これは凄いことだ。テーマは偶然か故意か判断しかねるけど「ロープ」と同様「暴力」である。それも一般の人の一般の家庭に於ける暴力である。「ロープ」が戦場での戦士による暴力ならば今回は家庭に於ける家庭人の暴力である。設定が身近な分、恐怖が増す。原作に寄るところ大なのだろうが、ストーリーの設定が先ず意表を突く。あとは実に演劇的な表現で暴力的なストーリーが展開していく。「演劇的な表現」と書いたが、最近、演劇なのに演劇的な表現に拘りがない演劇が多いように思う。そこに演劇的な意味はあるのだろうか？映画でもいいじゃないか。テレビでもいいじゃないか。と思ってしまう。ちょっと話は逸れるが、それは、映画の表現者もテレビの表現者も同様で、映画じゃなくてもいいじゃないか。テレビじゃなくてもいいじゃないか。と思う表現に随分と出会う。演劇じゃなきゃいけない表現。映画じゃなきゃいけない表現。テレビじゃなきゃいけない表現。それぞれの表現者はそれぞれの表現にもっと拘って欲しい。その拘りが少なすぎるように思う。戻って。野田さんの次回公演は「キル」の再演だそうだ。この作品にも大きな「暴力」が横たわっている。で、当たり前だが、暴力をふるうのもふるわれるのも「人間」だ。野田さんは「人間」に何を見ようとしているのだろうか？ロンドンヴァージョンのチケットがまだあまっているそうです。日本ヴァージョンとはまた随分と違うそうです。良かったら、是非、どうぞ。とのことでした。面白いことは保証します。

  2007年06月28日

  コメント(0)

• JUMP

  「JUMP」6/20（水）シアターアプル　19時開演の部　11列26番チラシには「コミック・マーシャル・アーツ・パフォーマンス」とある。観劇後の感想は「圧倒的に凄い舞台を観た!!」なのだ。が、その良さがチラシを通しては伝わっていないような気がする。ジャッキー・チェンのアクション＋ドリフターズの「8時だよ!　全員集合!」のコント、をイメージしてもらうと分かりやすいと思う。「全員集合」で行われるスケールの大きなコントをジャッキー・チェン（と、その仲間たち）が演じている感じである。とにかく凄いのだ。出演者がみんな凄い技を持っているのだが、技を技として見せつけるのではなく、うまくストーリーに紛れ込ませて見せている。これがうまいところだ。逆に技を技として見せるところはちょっと飽きてしまう。類型のパフォーマンスと比較してしまうからだろう。韓国の役者さんが演じているのだが、基本的に非言語劇である。とにかくアクションで見せまくる。90分間動き放しである。圧巻は壁登り。本当に壁を登って空中回転して着地する。その打点の高いこと。拍手せずにはいられない。結果、人間の肉体の凄さに感動する。機会が在れば是非どうぞ。絶対のお勧めです。

  2007年06月23日

  コメント(2)

• 有能な吊革蛮族

  昔、芝居を教えていたことのある北島宏章くんという子が公演を打った。作・演出/北島宏章「有能な吊革蛮族」5/19土曜日。14時開演の部。ザムザ阿佐ヶ谷。全席自由席。正直私にはストーリーは分からない。大体に於いてストーリーが分からない場合はストーリーを見せたくない場合が多い。つまり、演劇的に他を観て欲しい、という場合だ。例えばそれは舞台上に於ける肉体表現だったりする。初期の夢の遊眠社がそうだった。それでも夢の遊眠社は面白かった。今、舞台で起こっていることを面白がってればよかった。北島くんのこの作品も近いモノを感じた。まだまだ荒削りなところはあるけれどある種の世界観は構築されていた。役者も北島くんの思う世界観を構築しようと懸命だった。好感が持てた。この先どんな芝居を見せてくれるのか楽しみだ。何より続けること。次回を楽しみにしています。

  2007年05月20日

  コメント(0)

• 

  絢爛とか爛漫とか

  赤坂RED/THEATERプロデュースVOL.1「絢爛とか爛漫とか」モダンガール版作/飯島早苗演出/御笠ノ忠次出演/沢樹くるみ、野口かおる、琵琶弓子、中谷さとみ5/16水曜日。19時30分開演の部。赤坂レッドシアター。K列11番。最大の関心事は赤坂にできた新しい劇場を体験したい、ということに尽きる。飯島早苗さんの「絢爛とか爛漫とか」は既に作品としての評価は定まっている。相当読み間違った演出をしない限り、ハズしたりはしないだろう。思ったのは、この企画についてである。新しい劇場が世に劇場の存在を知らしめるにしては妙に地味な企画なのではないか、ということである。ちなみに私は演出の方も出演者の方も存じ上げない。知らないお前が悪いんだろう、という考え方ももちろんある。が、新しい劇場がプロデュースする企画公演だ。もう少し、普通の演劇人が知っている人が関わっていてもいいのではないか、と思う。それが証拠に観客動員も決して順調とは云えない。が、不思議なのはプロデュース第二弾が「真心一座身も心も第二章」であることだ。こちらは相当に関心を呼ぶ。出演者も河原雅彦さん、千葉雅子さんを始め知っている人ばかりだ。この差は一体何なのだろうか？　疑問である。劇場自体はさすがに立地条件もいいし、中身は新宿のトップスをもう少し大きくオシャレにした感じだ。が、肝心なのは中身だ。今後この新しい劇場でどんな芝居が繰り広げられていくのか楽しみである。

  2007年05月17日

  コメント(0)

• 

  LUV

  えーえ。急に仕事が忙しくなりまして、ちょっとお休みしてしまいました。実は益々忙しくなる予定なので、隙を見て、頑張ります。で、今日は、5/12土曜日に観たミュージカル「LVO」の感想です。マレー・シスガル作「LUV」より。台本/ジェフリー・スウィート音楽/ハワード・マーレン作詞/スーザン・バーケンヘッド上演台本・演出/高橋いさを音楽監督/丸山和範訳詞/岡本おさみ歌唱指導/亀淵友香出演/安寿ミラ/森山開次/貴水博之5/12土曜日　13時開演の部　ルテアトル銀座　8列25番以前、高橋いさをさんの台本を上演させていただいた関係で今もお付き合いさせていただいている。その高橋さんから連絡を頂き観に行った。マレー・シスガルの「LUV」は随分と昔に友人が、今は無き、渋谷のジァンジァンで上演したのを観た記憶がある。その時は、あまり面白いとは思わなかった。マレー・シスガルは確か「タイピスト」「虎」を書いた人だと思う。（ちょっと記憶に自信がないが）両作品とも何回か観た記憶があるが、「虎」が一番面白かったと記憶している。さて、出演者で知ってるいる人が誰もいない。私は小劇場系の役者さんはよく知っているのだが、そこをちょっと外れるともう分からない。安寿ミラさんが宝塚出身だということくらいは分かるが。資料によると森山開次さんはコンテンポラリーダンスの踊り手。貴水博之さんは、ヴォーカリスト。ちょっと話は逸れるが、昔、商業劇場系の役者さんは結構手を抜く人が多かった。で、何だよお、と思ったことが何度もある。で、今でも商業劇場系の芝居を観るのが正直怖い。トラウマなのだ。小劇場系の人が関わっている芝居を多く観るのはその辺にも理由がある。彼らは絶対に手を抜かないからだ。で、この芝居は面白かった。出演者三人が懸命だった。森山さんや貴水さんの演技にも好感が持てた。高橋さんはこういう類の芝居の演出があってると思う。オシャレな題材にオシャレな演出があっているのだ。それは出演者にも云える。残念なのは客席が少々淋しいことだ。これは、まあ、制作サイドの問題だろうが、題材と劇場のスケール、入場料金など、ちょっとどうかな、と思った。あっ、上の「星の王子様」は安寿ミラさんと森山開次さんが出演しているのでピックアップしてみました。

  2007年05月12日

  コメント(0)

• 

  笑の大学

  舞台版「笑の大学」をWOWOWで観る。初演（1996年版）を青山円形劇場で観た記憶がある。非常に面白可笑しく優れた舞台だった、と記憶している。出演は西村雅彦と近藤義正。演出は山田和也。そのインパクトが強かったので、2004年版の映画には少々抵抗を覚えた。役所広司はまだしも稲垣吾郎はどうなんだろう、と当時は思った。が、映画は映画でやはり面白可笑しかった。原作の力だろう。ロシアやカナダで上演され今や演劇のメッカ、ロンドンでも上演されている。日本の演劇作品としてはかなり大活躍である。原作の骨格がしっかりしているのでアレンジしやすいのだろう。イギリス版も日本版とはかなりの割合で内容が違うと三谷さんが云っていた。が、まさにドラマである。検閲官と喜劇作家の対決。最初の印象ではかなりな部分に検閲官がダメを出し、それを懸命に作家が直していく、と思っていた。が、見なおして気がついたのは、具体的にピックアップされている部分はそれほどの量でもなく、が、そこを徹底的に面白可笑しくしていく、という過程だった。二人芝居なのでかなり密度が濃い。が、この密度の濃さは役者の力量にかかっている。西村さんと近藤さんは相当いい。三谷さん曰く、西村&近藤ヴァージョンが一番いいと本人達が言い張っているそうだ。さて、この作品には舞台版と映画版はあるが、テレビ版はまだない。あっ、ちなみにラジオ版はある。というかもともとラジオドラマからスタートしたのだ。で、この際だからテレビ版も作ってみてはどうだろうか。全てを見較べて観るのも趣向としては面白いと思うのだが。それともう一つ。もし、舞台版が再演されるなら役所広司さんと稲垣吾郎くんの映画版二人のヴァージョンはどうだろうか。役所さんはもともと舞台出身だし、吾郎ちゃんだって積極的に舞台に出ているではないか。そして、演出は三谷さん。三谷さん、この作品に関しては舞台版も映画版も何故か演出には手を出していないのだ。作・演出/三谷幸喜出演/役所広司&稲垣吾郎お客さん入りますよ、プロデューサーさん！！

  2007年05月05日

  コメント(0)

• 

  若い夫のすてきな微笑み

  「若い夫のすてきな微笑み」作・演出/山内ケンジ出演/深浦加奈子/大沢健/他城山羊の会＋三鷹市芸術文化センター4/28（土）19時30分開演の部　C列20番何とも言えない不思議な味わいのある芝居です。単純に「コメディー」である、とかジャンルを言い切れません。不思議な感覚はそのストーリーの展開にもキャラクターの造形にも伺えます。例えば、主人公の若い夫（大沢健）も観客側の社会常識からいったら非常識な人間です。が、芝居を観ている限り、それでも、憎めない男に造形してあります。（大沢健君好演）それは、深浦加奈子さん演じる若い夫の妻も同様です。感情的には憎んでやまない若い夫を憎みきれません。芝居自体はポップな感じで造形してありますが、登場人物に関しては相当丁寧に造形が行われています。ストーリーで見せるよりはキャラクターで見せる芝居なのかもしれません。まだまだ明確というほどではありませんが、（ひっとしたら、それが狙いかも）作家の世界観は充分に感じ取れます。久しぶりに何か予感させる芝居を観た気がしました。今後の活躍が楽しみです。城山羊の会です。あっ、上の写真は深浦加奈子さんの出ている作品からピックアップしました。何もないと淋しいので。

  2007年04月29日

  コメント(0)

• 

  ロープ

  wowowで観る。何度観ても面白い。二度目だけど。さて、私は、例えば、野田秀樹さんが作る芝居が観劇の基準だったりする。映画と同様、アドレナリン出まくりの芝居が好きだ。で、自身も芝居を演っているので、さらに演劇的表現にこだわっている人が好きだ。で、まあ、長く芝居を演っていると、知り合いも増え、付き合いで観に行ったりもする。観に行ったりもするが、私の観劇の基準は変わらない。イヤ、変わっている。良い芝居を観れば、それが基準となる。今の基準はこの「ロープ」だ。「ロープ」と同等かそれ以上かそれ以下か。で、お付き合いで観に行くお芝居の殆どがそれ以下だったりする。それが辛い。最近特に詰まらない芝居を観るのが辛くなった。気力がなくなってきたのだろうか。で、最近観たそんな芝居の話を二つ。名誉の為に詳細は記さない。一つめ。私の前に四人の集団が座った。男性二人に女性二人。女性は二十代前半、アルバイトで水商売をしてる風、男性は四十代後半から五十代前半、その女性の客らしい。どうやら出演者の誰かと知り合いらしい。開演後一時間、その中の男性一人が携帯電話でメールを確認しだした。その取り出した携帯の画面の時計を見て開演一時間かと私も確認できたわけだ。つまり、この芝居は開演一時間後にメールを確認することをたった一人の男性とはいえ、許してしまう芝居であったということである。つまり、目の前で起こっていることより、いつでも確認できるであろうメールの方に興味がいく芝居だということだ。つまり、つまらない、ということ。私も同感だったので、その男性の行為をとがめる気にならなかった。男性はその後、突如としてやってきた暗転に慌てて携帯を折りたたんだ。そしてその後一時間、退屈に悩まされた。もう一つ。私の右隣に三十代前半と思われるカップルが座った。その女性も男性も久しぶりの再会だったらしい。開演20分前。女性が話し出した。女性は今、タクシーの運転手をしているらしい。男性が驚いた。私も驚いた。そんな風には見えないのだ。どちらかというと外資系の会社でOLをしてる感じ。分かります？で、タクシーの運転手さんというのは、どうやらいろいろな職業の方のストレスを一身に受けるらしい。何故なら、密室で他に話を聞いてる人がいないから好きなことが言える。相手が女性。どうやら世間はタクシーの運転手さんという職業を下に見ているらしく、何を言っても構わないと思っているふしがあるらしい。そして、おそらく、二度と会うこともないので、言いたい放題のことが言える。ので、その女性は数多くのお客さんからいろいろなことを言われるらしい。例えば……。と、耳を澄ませたところで、芝居が始まった。始まった芝居は全120分の30分を過ぎたところでまだ設定の説明をしている。で、私は劇場を出てきた。一日に二本もつまらない芝居を観る気力が私にはもうないのだ。結局、面白かったのは、隣の女性の話の方だった。彼女は話し方がうまかった。状況の設定の仕方から本題への入り方。自身が相手の男性に何を伝えたいかが明確だった。この人は頭良いな、と思った。この女性の話し方の要領のよさが芝居にはまったくなかった。うだうだと30分も状況設定しやがって。二本の、イヤ、一本と四分の一の芝居を観て思ったことは、こうである。自分たちが芝居をすることで完結してしまっているのではないか。つまり、自己満足。例えば、「ロープ」。野田さんは明らかにメッセージを発信している。私は明らかにそれを受け取っている。受け取ったメッセージをどうしようかと、初めて観た時から考えている。芝居は映画や文学と比べて比較的簡単にできる。例えば、映画の脚本の場合、プロデューサーや監督の目に先ずさらされる。吟味される。文学で言えば編集者の目に晒される。自分たちだけで芝居を演っている場合、この機構が働かない。働かないからとてつもなく面白いモノが出現する可能性も認めるが、そうでないものの方が圧倒的に多いのではないか。少なくとももう少し、「観る人」のことを考えてほしい。作る側に回ったら、それは、最低の礼儀だと思う。

  2007年04月10日

  コメント(0)

• 根岸弥生ピアノコンサート

  縁ありまして、根岸弥生さんという方のピアノコンサートに行ってまいりました。この方がどんなに凄い方かは、まあ、ネットで調べてください。敢えて一言で表現するならば、「盲目に近い天才ピアニスト」ということになるのでしょうか。私は、クラシックの世界に明るくなくて、彼女を評する言葉を持っていません。ただただ、「凄い」としかいいようがありません。表現者としての彼女の凄さ、素晴らしさは観ていれば分かります。もの凄い才能を前にしていることは理解できるのですが、それを受け入れる能力が自分にない歯がゆさを感じました。恥ずかしい限りです。なので、彼女の演奏中は緊張しっぱなしです。朗読の伊倉一恵さんが出てくると、あっ、同じ世界の人だ、と猛烈にほっとしたりします。ベートーヴェンの曲を聴いても曲に相応しいイメージがなかなかできません。画が浮かんでこないのです。ああ、なんたる想像力のなさ。欲を言わせていただけるならピアニストの手元がもっとハッキリと見えるようにしていただけると単純にもっともっと驚きが増すと思ったのですが。まあ、素人考えなのでしょうね。ロビーに置いてあったチラシの「伊福部昭音楽祭。三、SF交響曲ファンタジー邦楽器版」の文字にやたらワクワクしました。まあ、そういう奴だということです。あっ、石川鷹彦のチラシにもね。

  2007年04月07日

  コメント(0)

• 明日の幸せ

  アトリエ新派公演「明日の幸せ」作・中野實演出・石井ふく子出演/立松昭二・只野操他4/5（木）18時開演の部。日本橋劇場。2階2列4番。思うに「劇団新派」の勉強会、試演会的な公演だと推測されます。メインの波乃久里子さんたち以外の、つまり、普段、脇に回っていらっしゃる方がメインの役についての公演です。普段の私の路線から行くと、何故？、と思われる方も多数いらしゃるかと思われますが、実は、私は、商業演劇上がりで、その当時に知り合った方々が多数いる、というわけです。で、今回は上記の立松さんと只野さん。で、商業演劇も最近は随分と様変わりしました。何しろ、新橋演舞場で新感線の公演を演る時代ですから。で、例えばそうなると、新派の方の出番はなくなるそうです。昔の（30年以上前）商業演劇だとどんな劇場のどんな出し物でも新派の役者さん達は必要とされていたそうです。つまり、時代が変わってしまったのです。そこで、新派も時代に合わせるためにいろいろな試みをしたようですが、現時点ではうまくいっていないようです。いろいろな試みとは歌舞伎における勘三郎さんの野田歌舞伎のようなことです。つまり、小劇場界の才能を新派にもってきて再生させよう、という試みはしました。が、まあ、それが、うまくいかなかった。そういうことです。で、私は、この芝居を観ながら考えました。この作品、ホンは面白いのです。昭和29年11月に明治座で初演とあります。昭和29年と言えば私が生まれた年です。さらに11月と言えば「ゴジラ」が公開された月です。（11月3日から）逸れました。つまり、52年前のホンなのですが、今で言えば、三谷幸喜さんのホームコメディのようなホンなのです。ホンは多少のアレンジが必要とあっても充分使えます。役者は新派の公演ですから、当然、新派の役者さん達がでます。と、なると、演出です。私がもしプロデューサーで今の時代に沿うような新派の公演をプロデュースしてくれと頼まれたら、やはり、演出家を変えるでしょう。ずばり、ケラさんです。ケラさんの最近の仕事ぶりを見ていると充分いけます。そして、これは、相当の話題になるはずです。ただし、それは、新派を知らない新しい観客に向けて、ということなので、古くからのファンの方が納得するかどうかはまた別の話です。できうるならば、歌舞伎のように時々は活性化の試みをしてみたらと思います。まあ、これは新派だけでなく、硬直しそうな全ての劇団に言えることですが。

  2007年04月06日

  コメント(0)

• 

  やってきたゴドー

  「やってきたゴドー」作/別役実演出/末木利文出演/山崎清介他3/28水曜日。俳優座。2時30分開演の部。13列19番。観劇の動機は久しぶりの別役さんの新作を観ることと知り合いの山崎清介さんが出演していること。ベケットの不条理劇の代表作「ゴドーを待ちながら」がモチーフになっている。美術（石井みつる）は相変わらず電信柱とバス停。別役さんらしい。話は、もの凄く簡単に説明すると、「ゴドーを待っているウラジミールとエストラゴンの所へゴドーが来てしまう話」。で、来たらどうなるか？　が見所になるはずなのだが、来てもどうにもならない、というのがこのお話し。この「来てもどうにもならない」ところが、ポイントらしい。まあ、このポイントをどう捉えるかをああでもないこうでもない、といろいろ想像を巡らせて楽しむのがこの種のお芝居の楽しみ方だと思っている。ので、正直、まだまだ、お楽しみ中なのだ。

  2007年04月03日

  コメント(0)

• ラスク

  劇団ギルド第18回公演「ラスク」作・演出/西山雅之3/18（日）14時開演の部高円寺・明石スタジオ。正直、私には、よく、分からない。ストーリーが分からないわけではなくて、作者のいわんとしていることが、よく、分からない。実は、作、演出の西山くんとは顔見知りだ。ウチの劇団の芝居を観に来て貰った折りに一緒に呑んだりもしている。分かるのは、私とは全然別のタイプの作家である、ということだ。昨日、本屋で、澤井信一郎さんの本を、立ち読みした。脚本家の笠原良三さんとはドラマに対する考え方が違う、という件があった。笠原さんといえば北野武監督の脚本に、あんなの脚本じゃねぇ、とケンカをふっかけた方だ。ドラマに対する考え方はそれこそ無数にあるのだろう。自分がドラマというモノをどう捉えているかが、その目線の基準になる。澤井さんは笠原さんのそれを時代劇の目線、といっていた。もちろん、それが、いけないといっているわけではない。要は無数のドラマに対する目線が存在するということである。つまり、私の目線では西山君のドラマを理解できなかったわけである。私のドラマも時々理解されないことがある。こうして、無数のドラマが生まれていく。それはそれでとっても良いことだと思う。

  2007年03月19日

  コメント(0)

全288件 (288件中 151-200件目)

< 1 2 3 4 5 6 >