2006/06/28(水)18:23
ベラルーシ・エレベータの追憶
シンドラー・エレベータの痛ましい事故の話を聞いて、図らずも私は2002年にミンスクを訪問した際に泊まった「ホテル・ベラルーシ」を思い出してしまった。
と言っても、このホテルでなにか惨事があったという訳ではないのだが。
ミンスクは「ベラルーシ共和国(旧白ロシア・ソビエト社会主義共和国)」の首都。
広い湖を囲むように伝統的なロシアの様式のシックな建物が並び、向こう側には小国はいえ首都らしく高層ビルが聳える。
このホテルはその湖のほど近く、やや高台に立つ。
ソヴィエト崩壊後に建ったホテルだが、灰色の外観がどこか古めかしく、共産国家の香りがする。
こういうホテルではなぜか各フロアごとに番をするオバサンがいて、部屋の鍵の受け渡しや、あついお湯のサービスをしてくれる。
なかなか愛嬌のある人たちだった。
あるとき、ボタンを押したのにいつまでたってもエレベータが下りてこない。
「遅いな~なんだろうな~」とぽつんと立っていると、写真左のオバサンがスタスタとやってきて、やおら、私の目の前でエレベータの外扉を両腕で
「HUNNNNNU!!」
と閉め直した。
すると、あれほど動きしぶっていたエレベータが、
「ウ、ウイ~ン・・」
と長年の眠りから覚めたかのように動きだし、すーっと扉が開いた。
どうやらこの階のエレベータの外扉の半開きが原因だったようだ。
オバサンは「このホテルのことならまかせておいてネ」と得意そうだったが、その、事もなげな様子に、私は背骨が少しゾオオ~ッと凍りつく思いがしたのだった。
今はもう大分整備されたかもしれない。
だが案外そのままかもしれない。
今もなおこのオバサンたちはいるだろうか。
ぜひともいてほしいと思う。
22階のレストラン「panorama」からは、おとぎの国のような風景が眺められた。
私は行かなかったが、本格的なカジノも併設。