she says... but who's reading?

2014/03/09(日)14:59

BABYMETAL @日本武道館 3/1

live talks(158)

You catch me  BABYMETALのライヴを観にいってきた。  こう書くだけで、いつもここで書いているようなバンドのライヴレポ以外にもいろいろな意味を持つことになる。  BABYMETAL論については最近創刊され、vol.3までで様々な好企画を出している雑誌「ヘドバン」でいろいろと語られているし、ましてやアイドル論などは書くつもりもない。  ただ、まさかこの歳になって自分がアイドルのライヴを観に行くことになるとは思わなかったし、単純に邦楽バンドの単独公演を観に行くのだけでもかなりレアな気がしている。ということで、今回はその辺の意味も含めて、ボクのBABYMETAL経験値を紹介した後に、このBABYMETALがどういう存在なのかという所を書きつつ、今回のライヴの感想を書いてみたいと思う。  そもそもボクがBABYMETALを意識し始めたのは、シングル「イジメ、ダメ、ゼッタイ」を出した後だったと思う。その時はまだアイドルであるとの意識が強く、メタルバンドとしての見方をしていなかった。Michael Amottが弾いた曲だということでなんとなく買った程度であり、メタルをネタにしておふざけでやってるだけのユニットではないかという意識すらあった。ちなみにボクはももクロにもAKBを含むアイドル全般にはほとんど興味がない。そんな状態だったので、冷めた目で見ていたし、今後も深追いすることはないだろうと思っていた。  その気持ちが揺らいだのが昨年のサマーソニック。話題性も増していたこともあり、1回ライヴを観てみなければという気持ちから初ライヴを体験した。そしてそれはかなりの衝撃だった。実際のライヴは神バンドの存在もあり、単純にメタル度が高かったと部分がまずあった。そのすさまじい音圧は普通のメタルのライヴを体験するよりも高い興奮を受けた。そしてオープニングの映像を含むストーリー感も今まで体験したことがないものであったし、初めて生で見た3人はとにかく見事なコントラストをなしていた。SUMETALを中心にYUIMETALとMOAMETALの双子のようなポジション。そして中心はあくまでSUMETALでありつつ、YUIMETAL, MOAMETALが果たしている役割の重要さも同時に感じられる。この構成は見事という他ない。そしてもうひとつの要因は曲。前述の通りそれまではほぼイジメ~しか知らなかったのだが、ライヴで披露されるヘドバンギャー!!、ド・キ・ド・キ☆モーニング、メギツネ、あたりの曲を単純に曲として気に入ってしまった。本編にいけないのでこの辺でやめておくが、とにかくBABYMETALという存在を強烈に意識したのがこの時だった。その後LOUD PARKでも観て、サマソニほどではなかったものの、まだまだ引き出しを持っていることが確認できた。ただ一方でまだ自分の中でこの存在を消化し切れなかったこともあり、幕張のライヴは行かなかった。今となっては後悔しかないが。その後、ふとしたきっかけで武道館のライヴがあることを知り、先行予約で初日の土曜日分をゲットした。この時もまだなんとなく観てみよう感があったことは否めない。以上が今回のライヴを迎えるまでのボクのBABYMETAL経験だ。  さて、BABYMETALとはどういう存在なのか。やはりこれを書いておかないことには消化したことにはならないだろう。と言いつつもまだ完全な結論は出ていない。SUMETALが語っていたり、多くの論者が言うような「BABYMETALとはもはやジャンルである」。という片付け方には完全に同意はできない。やはりアイドルという要素が0ではないと思うからだ。アイドル論など語れる人間ではないので同意されないことも重々承知だが、やはりアイドルというものは、かわいくて若い女の子が、かわいさを売りに踊りながら歌うのがアイドルであるという認識を持っている。そういう意味ではやはりBABYMETALはアイドルだ。ただ、当然単なるアイドルではない。と書いてしまうと一気につまらなくなるかもしれないが、そこにプラスアルファとして乗っかってくる要素がメタルであり、ストーリーであり、神バンドであり、というのはボクがメタルファンであるからこそ感じ得た付加価値であり、彼女らに虜になる(まだこの時点では“虜になる可能性のある”としておくか)理由なのである。メタルでなければハマってはいないし、あの独特な世界観がなければはまっていないし、あの強力な楽器隊がいなければはまっていないと思う。すべての要素が揃ってボクにとってかなり面白いエンターテイメントであると感じている。  さてようやくライヴレポ本編。当日はコルセット祭りということでコルセットを受け取り、入場したのが開演30分ほど前。今回はBABYMETALをほぼ知らないがロック好きの先輩と参戦した(と言いつつも彼はサマソニ2012の貴重なステージを観ている)。  まず入って度肝を抜かれたのがそのステージ。魔方陣ステージというのか五芒星ステージというのか、とにかくど真ん中にほぼ360度のステージが広がっていた。武道館でこういうレイアウトのステージを観るのは初めてだったのでかなりの衝撃を受けた。ま、もうこの時点で完全にBABYMETALの虜になっていたといってもいいだろう。席は2階席で正面ではなかったが、前の列が通路だったので非常に見通しのいい席だった。BGMにOZZY OSBOURNEのライヴが垂れ流しでかかっていた。これは最初LIVE AND LOUDかと思っていたが実際はLIVE AT BUDOKANであり、翌日がDREAM THEATERの武道館ライヴであったことから、武道館を意識したSEだったことを後に知った。開演時間の6時を過ぎてもまだ始まらない。実際のところはよく知らないがアイドルのライヴで開演時間通りに始まらないライヴというのも珍しいのではないか。開演時間どおり始まらないことにも興奮してしまっているボクはもはやカモといっても過言ではないだろう。「このままPARANOIDまで流れるんじゃないの」と冗談を言い合っていたら本当にPARANOIDがかかってほら見ろといおうとした瞬間に客電が落ちた。なんというタイミング。  骨メタルの映像ででMCもアンコールもないノンストップであることがアナウンスされた後に迫り上がるステージからメンバーが登場し、メギツネでライヴがスタート。アイドル的なサイリウムやオタ芸的なのりがあるのかどうかもわからずどういうのりで見ていいのかわからなかったが、曲が始まってしまうと、もういつものライヴ同様にこぶしを振り上げ、シャウトするだけであり、そんな悩みは杞憂に終わった。いつものように凛としたステージングを見せるSUMETAL。脇を固める、かわいさ満点のYUIMETAL, MOAMETAL。前回感じたあの感覚である。しかし今日のステージはこの魔方陣ステージだ。このステージで見るBABYMETALはまったく違う魅力を発揮していた。1曲目から2曲目(ド・キ・ド・キ☆モーニング)の流れで完全に心を持っていかれたボクはもう泣きそうになっていた。 正直この日のステージは情報量が多すぎて完全に消化し切れなかったと思う。一緒に行った友人はダンスのキレキレ度に感銘を受けていたが、正直ボクはダンスを観ている余裕がなかった。それほど観るものが多すぎた。歌、バンド、ステージ、そして空気。何かすごいものを体験しているに違いない。そう、そしてこのときボクはこうやってアイドルにはまっていくのだと悟った。  まあそれはいいとして、ボクが一番興奮したのは破壊力満点の“4の歌”が終わった後の“紅月-アカツキ-”。若干節回しを変えたイントロのアカペラから「あかつきだ~」のシャウトでのXへのオマージュ。この歌を歌うときのSUMETALのなんと美しかったことか。素晴らしい構成だった。そしてツインギターソロの哀愁度。神バンドの強力さがあってこそのBABYMETALであることも間違いないことも再確認した。  そしてライヴも終盤になり事件は起こる。基本的には周りの小さい円形ステージを時折使いながら観客を煽る程度で、説明どおりMCは一切なし。そして“ヘドバンギャー!!”でも同様のコール&レスポンスをして、最後に全員が中央に戻り、、、あれ1人いない。最初はどっちか分からなかったがボクからみて奥側で煽っていたYUIMETALがステージから消えていた。最後のパートを2人で踊りきり、客電が落ちる。スタッフがバタバタしているのもうかがえた。何かが起きた。事故か。と同時にこのまま中止になるとか、明日が中止になるとか、いろんな想像が始まった。不謹慎ながらも、そうなったら今日のこのライヴはまさに伝説になるぞ。とも。  そして始まった次のイジメ~でYUIMETALが帰ってきた。ひとまずよかったと思ったものの、スクリーンに映し出される顔はキツそうであった。骨など折れなければいいが。しかし最後のイジメも圧倒的なダンスで締めくくり、首に巻いたコルセットを全員で振りかざし曲が終了。明日へつながるビデオが流れ、3人は奥の階段に消えていった。 とにかくすごいものを観た。それは正直あのステージであったことが重要であったと思う。それほどまでにあのステージはすごかった。ただ、そうだとしてもこの圧倒的なエネルギーと世界観を生み出した3人、神バンドおよびスタッフには頭が下がる思いだし、これぞエンターテイメントというものを与えてくれたことに感謝の言葉しかない。YUIMETALも元気で、無事に開催された翌日のライヴではヨーロッパでのライヴが決まったという。(解散でなくてよかった)。  次に日本でライヴを見られるのがいつになるかは分からないが、次はもっととてつもない存在になっているかもしれない。今回武道館で観られたことはかなり貴重な経験になるだろうことは想像に難くない。それほどまでにBABYMETALは、今かなり面白いことになっている。 §ぽっぷびぃと§

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