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カテゴリ:live talks
40代メタラーの境地と悲哀と意地の結晶

2012年(くらい)から恒例となりつつあるSEX MACHINEGUNSとTHE冠の対バンツアー、SEX冠に行ってきた。彼らのことが気になりだしたのは昨年の大冠祭に行ってから。SEX MACHINEGUNSについてはみかんの歌ぐらいは知っていたが人気絶頂の時は聴いていなかった。THE冠はもっと未開拓で、昨年のライヴのタイミングで聞き始めたという程度。ただ、特にTHE冠に関しては、ハイトーンと楽曲の良さ(特に~のヘビーメタル3部作は秀逸)で見事にはまった。そして更に衝撃だったのがその大冠祭りで初めて見たSEX MACHINEGUNSのライヴだ。詳細はレポを参照してほしいが、フォーメーション、演奏力、MC、各メンバーのキャラと、全ての面で圧倒的だった。
そんな経緯もあり、今年の大冠祭も行こうと思っていたのだが、昨年より全体的なラインナップが弱かったのと、見たいバンドがこの二つのみだったので、これ以上のカップリングはなかった。12月の赤坂でのツアーファイナルには都合がつかなそうだったので、近場でいけそうな横浜公演を選んだ次第。

で、このF.A.D. Yokohamaという会場。JR京浜東北線の石川町駅から10分程度歩いた所にあるのだが、キャパとしても300人程度という、先日CHUNK, NO! CAPTAIN CHUNKを観たclub lizardと同程度の会場だった。しかしこの石川町エリアにはこういう会場が結構ある。小雨の降る中、開場の15分ほど前に着いたのだが、まだ会場前にはチラホラ人がいる程度。大冠祭は大盛況だったので、まさかこの程度の人数しかこないとは思っていなかったのだが、、、最終的には100人程度しか集まらなかったんじゃなかろうか。200人はいなかったと思う。SEX MACHINEGUNSについては、かつては武道館でライヴをやるまでの人気だったことを考えると若干寂しい気もするが、まさに最近ファンになったボクとしてはこの近さで観られることは嬉しい限りだ。で、ファン層についてはざっくりSEX MACHINEGUNSは女性、THE冠は男性ファンという感じだがマシンガンズの女性ファンも結構歳いってる感じだった。

このSEX冠というライヴだが、以前のツアーを収めたDVDを持っているので知っていたのだが、ライヴが始まる前に冠徹也とマシンガンズのANCHANGが登場してトークをやるってのがお決まり。この日はまだツアー2日目ということで、これからの展望などを話したりしていたのだが、ANCHANGが某バンドが出演している音楽番組を観てそのバンドの人の発言にイラッとしたらしく、「死ね!」と見事な毒舌を吐いていたのがサイコーだった。実際バンド名は隠していなかったんだけど、ここでは名誉のために隠します。とにかくこの二人の掛け合いは漫才をしてるかのようにおもろい。二人とも40超えてるし、今まで酸いも甘いも経験してきたからこそのトークだね。

で、ひとしきりトークを楽しんだ後はいよいよライヴ。トリは毎日変えているらしいのだが、この日の先攻はSEX MACHINEGUNS。みかんのうたからライヴがスタートした。。。で、女性陣のヘドバンのすさまじさにまずびっくりした。これは完全にビジュアル系のそれだとも思うが(以前ラウパでTHE GAZETTEを観たときのような感じ)、狂ったように頭を振りまくる様はなかなか外タレのメタルライヴでも観られる光景ではない。この日も全力投球のライヴで、お決まりのフォーメーションも随所に出してくる。メンバーは髪型のフワフワ感も含めでっかい図体である一方でステージが小さいので、思いっきり動けるわけではないが、それでもこのフォーメーションは何度観ても楽しい。OnigunsowやTEKKEN ii、愛人28号、桜島、JAPANといった定番から、新曲のメタル経理マンもいい感じにセットリストにハマっていた。ANCHANG同様、SHINGO☆、SUSSYの存在感も圧倒的だ。特にSHINGO☆の天然っぽいがハズさないつかみどころのないMCがいいアクセントになっている。前回の初見の衝撃が大きかったので、それと同様とまではいかなかったが、今回も楽しいライヴだった。これだけ盛り上げられるバンドなのにサマソニとかラウパとかのフェス系に出てこないのはもったいない気がする。まだまだ活躍してほしいバンドだ。

そしてしばしのセットチェンジ(バンドメンバー自らやるところがまた切ない)の後登場したのはTHE冠。今回はミニアルバム鎧兜鎖血を発表したばかりの彼ら。SEX MACHINEGUNSファンの女性達も帰ることなく前方に陣取っていたが、ボクも少し前の方へ移動した。オープニングからキラーチューン“帰ってきたヘビーメタル”を持ってきた。ここでWODを試みてスペースを広げるファンがいるも、数人だったためなんの盛り上がりもなく潰れた。何度か書いているがこの“~ヘビーメタル”シリーズの3曲はどれも素晴らしいが、個人的にはこの“帰ってきたヘビーメタル”が一番好きだ。オープニングからのハイトーンで一気にもっていかれる。ハイトーンはこの日も好調だ。MCは、WODのしょぼさを笑ったり、(NHKの番組にも出演した後だったので)、その話から、紅白出ちゃうかも~みたいなこの日ならではのトークもするが、一貫してしゃべるのは、メタルの素晴らしさ、信念を貫くことの大事さ等、今やっていることに対する熱い想いが中心だ。メタルファンなら必ず味わっているであろう少数派の寂しさを情熱に昇華してこのライヴにぶつける。これは今まで地道に活動を続けてきた彼だからこその説得力だ。会場も人数は少ないながらも盛り上がりを見せている。当然彼の顔芸やケツ芸ももれなくウケる。ただ、合間合間でしつこいくらいに「はげ~」って叫び続ける客が一人いてイラッときた。冠さんはずっと無視していたが、野次に反応してもらうことでしか自分の存在価値を確認出来ない寂しいヤツなんだろう。
この日披露した新曲は初志冠徹と断裂の2曲だったが、特に初志冠徹はライヴで見事に映えるいい曲だと感じた。彼が話していたが、「曲はライヴでやることによってどんどん成長していく。”傷だらけのヘビーメタル”も、最初ライヴでやった時はその曲調もう含めイマイチな反応だったが、ずっとやり続けていたら人気曲になった。そうやって曲が育っていくことが重要だ」という趣旨の発言をしていてなるほどなと感じた。KISSやDEF LEPPARDもクラシックだけでなく新曲を意欲的に入れたくなるのはこういうポリシーからなのだろう。ファンも、新曲よりヒット曲を、と思ってしまいがちだが、ヒット曲も初めて演奏されたときは新曲だったのだ。Detroit Rock CityもPhotographも最初に披露されたときから受け入れられたわけではないだろう(多分)。ということで、この初志冠徹も彼の定番ソングにするべくどんどん育てていってほしい。
最後はお決まりの“担がれた冠”で、途中ギターソロ、ドラムソロ、ベースソロが入った。ギターのBetchのXの紅のイントロを歌いつつ結局その静かなパートのみで終える、というネタがあったり、ドラムのYOUTH-Kはど迫力のドラミングだった。後から知ったがこの人はRAGLAIAでも叩いている元BAT CAVEの凄腕ドラマーだった。この2人がしっかりと支えているからこその冠なんだろうということは容易に想像出来た。そしてベース。このベースもテクニックを魅せるべく、フラッシーなソロを披露。。。するもなんか安定感がない。要はそんなに上手くないと素人のボクでもわかるレヴェル。苦笑しながら観ていると、最終的に冠さんから「下手なのバレるやろ!」と突っ込まれるというオチ。ま、逆にベースはそんなもんでも成り立つんだという発見(笑)。ということで彼らも見事なライヴを披露し本編を終了した。

しかし、このSEX冠はコレで終わりではない。再びANCHANGと冠が登場し、ライヴ後トーク。先ほどのベースプレイの話でひとしきり盛り上がった後、これから続いていくこのツアーの過酷さも正直に話す。確かに40超えて各地を回って激しい曲を毎晩演奏するというのは体力的にもかなりキツいんだろう。ライヴはそういう辛い部分を吹き飛ばせるからこそ続けていられるんだと思う。そして最後は全てを吹き飛ばすかのように、彼らがツアー中につくった曲、“メタルファイヤー”を両バンドが全員登場しぶちかます。小さいステージにでっかい大人が所狭しとひしめいている様はまた更に圧巻だ。この曲は前述したDVDのツアーの際に出来た曲だが、またこれがカッコイイんだ。毎回これがライヴを最高潮まで盛り上げる武器になっている。そして約3時間に及ぶライヴは終了した。

客がそれほどいないという現実や、体力的にもキツいという発言からも、バンドで生活していくことの大変さを知ることにはなる。ただボクはそれを「泣き言いってんじゃねぇよ」的な受け取り方は決してしていない。辛さもも含めた等身大の彼らをステージでさらけ出すことで、辛さも楽しさもごちゃまぜにしてぶちかますぜ!という彼らの強い信念を表しているという受け取り方をしている。それは、メタルの素晴らしさを伝えたいという信念でもある。現在も続いているこのツアーは12月4日の赤坂BLITZでファイナルを迎える。今のところ残念ながらそのライヴは観られないのだが、きっとその日はそれまでの経験とたっぷり仕込んだネタでもって会場を爆笑と感動の渦に包むだろう。SEX冠ツアー。もし来年もあるのであれば必ず足を運ばなければならない。

§ぽっぷびぃと§





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Last updated  2015.11.19 21:25:16
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