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カテゴリ:思想
親友Sの計らいで、女子美術大学・相模原キャンパスに忍び込む。
教室の場所が分からなくて学生さんに聞くと「講師関係の方ですか?」だって。 やっぱり学生には見えないよな・・・自分としては「学部の学生では無理があるから、長いこといる大学院生」を装ったつもりなんだけど、それでも相当に無理があったということでしょう。ご父兄の方ですか、って聞かれなくて良かった。 もぐりこんだのは、「意識・知覚・身体」という講義で、講師は下條信輔博士。 カリフォルニア工科大学教授であり、心理物理学、視覚科学、認知神経科学、認知発生学が専門。今回は、造形デザイン科の生徒さん向けに、認知神経科学をからだとこころの繋がりという視点から説明してくださった。 ~講座レジュメ~ 1.私たちの環境世界(知覚世界)と身体の本性はどのようなものか?身体/脳と心はどのようにつながっているか。 2.遺伝と環境:発達障害をめぐって。 3.近未来、身体はどうなるか? まずは1.知覚についてのメモから幾つか。 ●知覚は知識を裏切る。知覚はそれ自体では生きない。 世界vs体vs脳との関係によって知覚が起こる。知覚は、単に外界のモノを知る働きではない。むしろ、自己と世界との関係を知る働きである。 平面の絵を見ていても奥行きを感じる経験はないだろうか?これは「知覚」が「知識」を裏切っている良い例だと言える。黒点は無いと分かっている場所に黒点が現れたり、幾何学模様なのに、じっと見ていると動くように見える絵など、絵だという認識(知識)を越えて、知覚が働く。 渡り鳥が天空の星を目的に海を渡るオプティカルフローは、世界(天)vs体(視覚)vs方角(脳)の関係によって知覚が導かれている実例。 ●距離、スピード、時間は知覚によって変わる。 わずか25メートルのドームを移動しても、知覚的刺激を与えることによってそれが長距離で、関わった時間も実際よりもずっと長く感じることがある。 ●体に伴って、イメージが変化する(体vs世界) 体の位置を変えると、体に書かれる文字が知覚できたり知覚できなかったりする。つまり、体が変わると、かかれている文字のイメージが変わるということ。 以上、簡単に知覚に関する覚書を記してみました。 最後の「体に伴い、イメージが変化する」という部分は、体はイメージの媒体であるということを証明する大切な部分です。非常にボディワーク的な考えです。 「心身相関ですから、健康は大切ですよね」と質問されます。本当にそのとおりだと思います。ただ、私が今興味を持っているのは、また別の角度から見た心身相関です。今まで盛んに言われてきた(そして今でも注目されつづけている)「心身相関」は免疫学的な意味合いが強いようです。心が健全であれば体も健全。その逆もまた然り。対して知覚心理学は知覚の変化から<体>と<こころ>を検証している。より、実験心理学的です。 (例えば)ブラックボックスに何かを入れたら、出てきたものは健康です、というのではなく、ブラックボックスなしに、AからBへと手順を踏んで結果を出す。そういうソリッドな論理で心身相関を説明していくことに強く興味を持っています。 ちょっと脱線してきたので、今日はこの辺で。 夜は綾瀬にある古武術の道場に行くも、稽古場が急遽変更になり、空振り。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005.06.07 23:55:36
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