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カテゴリ:私生活
父親が使わなくなった、古い古いアンプやプレイヤーを譲ってもらうことにした。多少はお礼をしようと思い、現在は幾らくらいの値段で市場に出回っているのかを検索してみた。ファックスで送られてきたリストのトップには"Luxman 38FD"とある。サーチで探し当てたサイトには、懐かしい、とても懐かしい、木目のどっしりとしたアンプの画像があった。小学生の頃からずっと、学校から帰ると、まずこのアンプのスイッチをオンにした。テレビよりも、音楽を聴くほうがずっと好きだった。
朝は、大抵音楽で起こされた。父親が気に入っている音楽が、数日に渡って繰り返しかけられるときもあったが、季節やその日の天候によって選曲が違った。マンボやハワイアン、ボサノバなどの民族音楽が多かった。 学校から帰ってくると、自分の気分に合った音楽を聞いた。その当時、ウチにあった「レコード」は、ほとんどが大人が聞いて楽しむようなものばかりだった。朝にかけられる民族音楽の他に、ジャズやシャンソン、昭和歌謡やクラシックなどだったが、1曲かけてしっくりこなければ次の曲をかけ、それでも合わなければ次のレコードに代える、そんな風に気持ちと音とを重ねていくことを体験していったように思う。ジャンルは問わず、悲しい気持ちになりたければ悲しい音を選び、秋に春を思い出したければ春を連れてくる音楽を探り出した。 レコードに針を落とすには、コツがいる。まずはボリュームを下げ消音してから、ねらいを定めた位置に針をもって行き、アームを支えているレバーを静かに下ろす。針が溝にすべる前に、素早くアンプのボリュームを上げる。微かにポツ、ポツというアナログ特有の雑音が入るが、その音に耳を澄ませながら、流れてくる音を待つ。 ・・・・・・ポツ、ポツ・・・・・。 リストには製品名と品番を書いてくれるようお願いしたのだが、実際はテクニカ、という製品名のみだったり、検索してもひっかからない品番が書かれていたりする。 プレイヤーはビクターQL-A75だけ、かろうじて検索できた。細くて冷たいアームが指先に触れる感じを想像してみる。 スピーカーは比較的新しい、BOSEの111ADと301AVM。 アンプが3台、プレイヤーが3台、スピーカー2ペア、それが届くと想像しただけで、もう嬉しくて仕方がない。古くたって、全く構わない。思い出の品々で音楽を聴く、それがしたい。最初に聞くのは、Otis Reddingがいいな。1968年発売のThe Dock Of The Bay にしよう。大ヒットした表題曲ではなく"Please let me sit down beside you" お願いだから、君の側に座らせておくれ、と歌うI love you more than words can sayが聞きたい。出来れば夕暮れ、お酒があるとなお良いな。 ロマンチックな想像に浸りつつ、昔を懐かしむ雨の夜。音楽は、いつでも側に居てくれる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.02.01 00:03:52
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