ロルファーサイトウのつれづれ日記

2006/07/01(土)00:48

カウンセリング→コーチング

カウンセリング・心理学(11)

コーチングというテクニックがビジネスの世界に大きな功績をもたらしているという。コーチングとカウンセリングは比較されることが多い。コーチングをセラピーの仕事に取り入れている施術者の方もいらしゃるようだ。 コーチングはカウンセリングを受けるクライントが自分の立場についてはっきりとした認識を持つときに有効となる。たいていのクライアントは自分の居場所や望み(目的)がはっきりしていない。「~したいのだが」と相談してくるクライアントに対して、行動を導く助言を与えるコーチングは非常に有効なツールとなるだろう。 「どうしたいのかわからない」と訴えるクライアントは、カウンセリングの領域に入るだろう。ただ、こういったクライアントに対して自分の一方的な意見を述べるのであれば、これはカウンセリングにもコーチングにもならない。施術者は、果たして自分がコーチングをする十分なスキルを持っているのか、カウンセリングの知識があるのか、ただの施術者であるのかを自問自答しなくてはいけない。そして、クライアントが「何もする気力がない」といった場合には、心理療法の手助けを示唆しなくてはいけない。 目的がはっきりしている相手に対して「何を目標にしますか?」「現在、どんな状況にありますか?」「どのような方法で改善・実行しますか?」「いつから実行に移す予定ですか?」というコーチング独特の方法で導きをしていくが、この段階で、クライアントの答えは(残念ながら)認知枠に固定され、回答が出せなかったり、現実を見ずに目標を立ててしまう可能性も高い。 カウンセリングは過去に焦点を当て、コーチングは未来に焦点を当てるといわれる。だが、この定義には当てはまらない部分があることに気づくだろうと思う。 お分かりだと思うが、クライアントの心理的要素に深く関わっていこうと思うのであれば、クライントの思い込み=認知に関わる必要がある。コーチングの前段階である、カウンセリングや心理療法(認知行動療法)を理解している必要があるということだ。この領域は、困ったことに独学で学ぶのには大変に難しい技法だ。いわゆる心理カウンセリングでは、ばう犬のブログにもあるように、スーパーバイズの元に、ケースを取りながら会話を記録・分析し、ケースを重ねつつ臨床から学んでいく。 目的がわからないクライアントを目的を作る段階まで導くことができなければ、コーチングのテクニックを有効活用することは難しいと言えるだろう。 コーチングを学ぶのであれば、まずはカウンセリングの基礎が必要ではないか。そして、施術に取り入れるのであれば、心理的な部分に深入りしない工夫が必要だろう。 ということで、明日は心理学のセミナー出席のために一日お休みをいただきます。 皆様、よろしくご配慮くださいませ。

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