
待ちに待った、哲学者・加賀野井秀一先生と同じく哲学者・中島義道氏との往復書簡を本としてまとめた『「うるさい日本」を哲学する―偏食哲学者と美食哲学者の対話』講談社が発売されました。
加賀野井先生とお会いしたのは、新宿朝日カルチャーセンターで開講された「メルロポンティシリーズ」を受講したのがきっかけでした。私にとっては、加賀野井先生が、生まれて初めてお会いする「哲学者」でした。それまでは、「哲学という学問のジャンルのイメージが先行して「哲学者=硬い人たち、難しい話を沢山する人たち、論理と情をはっきり切り離す人たち」という偏見をもっていたのですが、加賀野井先生の講座を受け、更に講座後の「一杯」にご一緒させていただくうちに、自分の考えを改めざるを得ませんでした。そして、先生の独特の人生観にすっかり惹かれてしまいました。一言では言い表せませんが、ヨーロッパ的なウィットに富んだ方なのに、土佐の男の心粋を持つ、絶妙なバランスセンスを持った方で、それでもやっぱり哲学の先生ならではの近寄りがたい鋭い意見がぱっと出たりする。でも、お酒を飲むときは私たちに合わせて、日常の話や思い出話を沢山してくださいます。
で、話題がそれましたが加賀野井先生の『「うるさい日本」を哲学する―偏食哲学者と美食哲学者の対話』ですが、ようやく読み進めた段階です。中島先生の序文が、すでに静かな好戦的雰囲気に満ち溢れていて、今後の展開が楽しみです。
加賀野井先生は、中央大学で教鞭を取りながら、メルロ・ポンティを中心に、ソシュールの研究、言語論、日本語に関する書籍の出版、NHKへの出演など八面六臂の活躍をされている方です。「加賀野井秀一」で検索してみてください。特に、身体関係に興味がある方は、メルロ・ポンティを読み解くことをオススメします。セッションの(治療の)ヒントとなる思想があふれ出るような一冊です。ちなみに今回の「メルロ・ポンティの幼児の対人関係」のクラスには、親しくしていただいているOTの方を筆頭に何人ものOTの方・心理関係の方が参加していらっしゃいます。
講座はあと2回。2回目はお休みをいただかなくてはいけなのが本当に残念です。書籍の書評は読後にアップします。