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だいぶ木の葉も色を変え、日々の空気が少しずつ澄みだしてきた。もう秋も半ば、雪が降り出すのもあと1ヶ月かそこら経った頃なんだなぁと思うと微妙に寂しい気持ちにもなる。 秋の夕暮れは早い。さっきまで陽射しが暑いと思っていたら、次の瞬間にはあっという間に夜の帳に包まれる。人は家に帰り夕餉の支度を始め、鳥達は自分の帰るべき止まり木へと帰って行く。夕闇の中に浮かぶ自分の白い息を眺めながら、僕はふと自分自身のことを考える。 「…一体俺は、何がしたいんだろう…?」 目の前にある小さな雑事ではなく、人生という名の大舞台における自分の仕事。言うなれば僕が僕としての人生を歩むその間にどんなことを遺せるのか、ということ。 きっと僕如きがこの世に遺せる事はそうそう多くは無いだろう。きっと世に語られる偉人達から比べれば、僕自身の遺産なんぞはほんの僅かかつ矮小なものであろうと思う。それが世の中に大きな影響を与える事など、ましてできるはずもない。 それでも、僕が僕自身にある間に僕にしか出来ない事、僕だけの遺産を作る事が出来るように、そしてそれをできるだけ長く遺す事が出来るように人生を生きていこう。そうすればきっと、自分がこの世を旅立つ時に塵一つの悔いなく逝く事が出来るはずだ、と。 祖父の七回忌をバイト先で迎えた僕は、秋の夕暮れの中でそんな事を考えていたのだった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2002年10月13日 19時33分02秒
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