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09 アイドルを探せ

LA NONA PUNTATA  "CERCHIAMO UN'IDOLO"

第9話 アイドルを探せ

アイドルおたく である。
幼い頃、チェッカーズや光GENJIに目も くれなかったのがたたったのか、
年をくってからいくつかの アイドル・グループにイカレてしまった。
TOKIOとBACKSTREET BOYSである。

ジャニーズ事務所所属のTOKIOは、SMAPのようにバラエティ番組で 多く見かける存在である。
彼らがデビューして間もない頃、わたしは ファンクラブに入り、
日本武道館のコンサートに果敢にも一人で行った。
今となっては何がキッカケで好きになったのかは覚えていないのだが、
バラエティやドラマをやっている上に個々が楽器を担当している歌手グループ
(かといってかつての男闘呼組のようなエセ演奏ではない、多少 いじっているにせよ)
ということがポイントだったのではないかと思う。

BACKSTREET BOYSは、やはり5人で構成されているアメリカの ボーイズ・グループ であるが、
日本の何かのドラマの主題歌になっていたのを うちの叔母が聴きつけてきて、
それから2人してゾッコンになったのである。
3~4年前だったであろうか。
CDを買い揃え、竹下通りのアイドル・ショップ ではTシャツやポスターを買ったものだ。
この叔母は(こう書くとあとで叱られる ことは必至。「オバチャン」と呼ばれたくない彼女は、
生まれてから このかた、わたしにあだ名でしか呼ばせたことがない)かなりの ツワモノで、
これも書くと怒られるのだが、昭和28年生まれの身をものとも せず、
去年のBACKSTREET BOYS日本ツアーの東京公演には
3日間連続して 一人行った女である。
わたしも日本にいればもちろん行ったのだが…。

2つのグループに共通しているのは、
5人組の若い男性歌手グループである ということと、
5人それぞれに異なった魅力があるということだ。
「この中の誰々がスキ」とは言い切れないところがある。
一時ほどの熱は もうないが、それでも一人一人の個性をも含めて
TOKIOとBACKSTREET BOYSは かなり好きだ。

今現在のイタリアには、TOKIOやBACKSTREET BOYSのような
アイドル・ボーイズ・ グループがいない。
かつてLUNAPOP(ルナポップ)というやはり5人組の ボローニャ出身の
男の子たちが活躍していたが、ボーカルのCESARE CREMONINIが 脱退したり
また一緒に活動したりと訳の分からない動きを見せているので
さておくことにする。とにかくわたしの求めるボーイズ・グループがいないのは確かで、
大変残念なことではある。

イタリアの歌手たちは例外もまれにあるが、
基本的に自分たちの言語、イタリア語で 歌う
これがイタリアの歌手たちを好きなわたしの理由だ。
ろくにしゃべれるわけ でもないのにあちこちに英語の歌詞をちりばめて
恰好をつけているどこかの国の 歌手たちとは違う。

イタリアの歌番組といえば“TOP OF THE POPS”
(毎週土曜日午後2時から国営チャンネルRAI2にて放映)である。
日本のTBSの「Count Down TV」 のような、流行曲のランキングを教えてくれる番組で、
わたしはこれを日本では 考えられないほど遅い昼食をとりながら見ている。
イギリスの番組で、他の国々 でも放映されているらしく
(司会進行などの作りは各国によって異なるのだが)、
マドンナ リッキー・マーティン ジェニファー・ロペス といった世界的に 有名な歌手の
スタジオでのライブの様子があらゆる国の“TOP OF THE POPS”で同様に 見られるというわけだ。
国籍に関係なくごちゃまぜになっている歌のランキングを見て、
世界ではやっている歌を知らない国民が大部分の島国
ニッポンから来た娘も、 少しは詳しくなってきた。
日本では特にポップスに対し「邦楽」と「洋楽」という
ジャンル分けをしているから、 仕方がないのだろう。
「洋楽」の世界に本当に疎かった数年前とは、わたし、大違いだ。
アメリカ、イギリスの歌はやはりよく耳に入るし、
「ジュテーム、ジュテーム…」と 延々と繰り返すフランスの歌もいつだか流行していた。
去年の夏は「アセレヘ」 という 無意味な単語と早口の歌詞をまくしたてる
スペイン人三姉妹の歌が長いこと一位に なっていて、
この曲はひと夏、わたしの頭の中をグルグルと駆け巡っていた。

1964年から続く夏限定の歌番組がある。
6月中旬頃に始まる “FESTIVALBAR”(毎週火曜日午後9時からITALIA1にて放映)である。
これは「夜のヒットスタジオ」を外に持っていったような感じで、ランキングは発表しない。
様々な歌手が、今週はなんとか広場で、来週はなんとか競技場で、といった具合に
集まって歌い、それを中継してくれるのである。
毎年、異なる芸能人が司会者を務めるのだが、
今年はMICHELLE HUNZIKER (ミシェル・フンツィケル)がそのうちの一人で、
こいつがなかなかの優れ者なのである。
名前からも分かるようにイタリア人ではなく、
スイス人(外国人ではあるがスイス南部 はイタリア語圏)の26歳。
長いブロンドの髪が美しく、スラッと細身の体が綺麗な ネコ系顔の女の子だ。
“SCHERZI A PARTE”という有名番組(日本でいう 「ドッキリ大作戦」)の司会をも務めた彼女は、
ホント若いのに堂々とした働きっぷり である。
仕切り、しゃべり、つなぎ がとにかく巧い。
日本で、一つの有名TV番組を仕切れる26歳の女の子がいようか。
紅白を司会するNHKアナウンサーを見ていてもハラハラするのだから、 ましてやタレントなんぞいないだろう。

今、イタリアで一番売れている曲がミシェルの離婚したばかりの元夫EROS RAMAZZOTTI
“Un’emozione per sempre”という歌だから、
“FESTIVALBAR”でも既に二人、鉢合わせたことであろうが (この回をわたしは見逃した)、
彼女が元夫をうまく紹介しながら司会業を 全うしたであろうことは容易に想像できる。

ところでイタリアで売れる歌というのは本当に息が長い。
何週にもわたって同じ曲が ラジオで繰り返し流されているし、
地方局のRETE Aでも絶え間なく同じ ミュージック・クリップを散々流している。
7月現在のイタリアでははるか昔に流行したラテンの名ナンバー
“Light My Fire” がイギリスのWILL YOUNGのリメイクではやっており、
2年前の夏に“Dammi tre parole, sole, cuore, amore…”とだるそうに 歌っていた
ベイビーフェイスの女の子VALERIA ROSSI
以前とガラッと変えた 声色で新曲を歌っている
(以前のままでは歌手としてヤバいと思ったのか、
明らかにボイス・トレーニングを受けたような変化である)。
しかしケダるそうに腕を前後させる怪しい振り付けは以前のままであるが。

イタリアの歌手たちの特徴というと、先述の通り、
イタリア語で歌うのが殆どである というのと
(今年、LAURA PAUSINIという人気歌手が世界進出のためか
全曲英語詞の アルバムを出して「裏切り者」という評価を一部から受けていた)、
日本のようにま だ社会の何たるかも知らないようなお子チャマたちが歌って
天狗になるようなことが 決してないことである(その代わりバラエティー番組では
17,8の若いネーちゃん たち大勢が裸同然の姿で無意味に踊り続けてはいる)。
だから一曲だけヒットして消 えていくような一発屋 とか、
下手クソな歌手 が出てくることなどは少ない。
ZUCCHEROVASCO ROSSIPINO DANIELEPIERO PELÙなど
30代後半から 50代の実力ある歌手たちが若者たちに信奉されているのも
賞賛されるべきことである と思う。
今の日本でこれに当てはまるのはサザンくらいのものではないだろうか。

わたしが特に好きなイタリアの歌手というと、今まで挙げた人々のほかに、
JOVANOTTIMATIA BAZAR、歌手とは定義できないのだが、
司会者やお笑い、 芝居もこなして歌もうまいFIORELLOというエンターティナーなどがいる。
FIORELLOはマット・デイモン主演のアメリカ映画『リプリー(The Talented Mr. Ripley)』
(1999年*アンソニー・ミンゲラ監督)で
準主役ジュード・ロウのイタリア人の友人役として出演、
主役二人と共に中盤、 ジャズ・バーのシーンで見事な歌を披露していた。

さて、今年の夏、わたしの頭の中をグルグル回る曲は何であろうか?
TOKIOも BACKSTREET BOYSもいないけれど、
歌番組から目が離せないミーハーなわたし で ある。

(2003年7月)

*追記*イタリアン・ポップスのCDは日本でも大型CD店で購入できる。
      渋谷のTOWER RECORDSやHMVは種類も豊富であり、
      店のおすすめCDには 担当店員のコメントも入っていたりしているから、
      選ぶのが楽しい。

(注)現在“TOP OF THE POPS”は毎週土曜日午後1時35分からITALIA1にて放映しています。

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