1277152 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

Romance夢紀行

Dark Challenge/クリスティン・フィーハン あらすじ

2019.11.9 更新
※ ※ ※ ネタバレあります ※ ※ ※ 
辞書で確認せず、記憶に頼っててきとーに書きなぐっていますので、
内容が間違っていても笑って読み流せる方だけ読んでくださいね

​カルパチアンのジュリアンは絶望していました。闇に飲み込まれる前に死のう、頼まれた仕事だけは果たしたいとドミトリからヴァンパイア狩りの集団に狙われている女性を助けてやってくれと言われて出かけていった会場で、えもいわれぬ声を聞きます。その声を聴くと彼の世界に色が戻り、驚きや様々な感情が自分に蘇ってきたことに驚きます。彼女がライフメイトだ! 聞こえてきていた歌声が突然銃声でたちきられ、逃げ惑う観客のなかを駆け付けると血だらけの女性が倒れていました。

銃撃したのは6人ほどの男性でその場から逃げていきました。人間からは見えないように煙幕をはり、ひとまずデサリという女性を抱き上げ、自分の血を与えて命を救います。看護していると、2匹の豹が現れ、ジュリアンを付け狙ってきます。更に大きなクロヒョウも現れました。どうやらサビナを守ろうとしているようで、さらには一匹で行動するはずの豹が強力しあいながら彼をけん制してくるように感じられます。彼女に大量の血を与えたため、彼女を守りながら彼らを殺さずに攻撃をやりすごすことはできないと判断して、ひとまずその場は豹たちに彼女をまかせ、伴侶の命を狙った暗殺者たちに復讐を果たすことにします。

暗殺者たちは会場を出た近くの小道のあちらこちらに殺されていました。まるでカルパチアンが手を下したようなやり方で、やや洗練されていないものの、グレゴリのやり方に見えます。グレゴリはアメリカにいるものの、いまは伴侶のサバンナと一緒にいるはずで、双子のエイダンのやり口でもない。自分が存在を知らないカルパチアンがいるとも思えないのだが、あのクロヒョウはカルパチアンのように感じられる。ともかく暗殺者たちの死体が見つかれば、敵の組織はまたヴァンパイア狩りを激化させる可能性があり、ジュリアンは疲れた身体を無理して暗殺者たちの身体をあつめ、その場でもやし、灰は海に撒きました。失った血液を補充するため、傷をハーブで治療して、森に潜んでいると、親の目を盗んでキャンプ場まで遊びに来ていた青年4人が奥に入り込んできたため、暗示をかけて命の危険がない程度に血をもらい、偽の記憶をうえつけて家に帰します。

ジュリアンは置いてきたライフメイトとクロヒョウのことを自分のキャビンで考えます。昔、カルパチア地方は魔女狩り、ヴァンパイア狩りの嵐が吹き荒れ、君主のミハイルの両親やグレゴリの6歳くらいの兄、生後数か月の妹でさえも殺されたはず。失われたと思っていた血脈が保たれていたのか・・・?

デサリが目覚めると兄の腕に抱かれていました。兄のダリウスがやつれた様子だったため、血を飲まないとだめよ、私にくれ過ぎたのよ、というと私が血を与えたのはバラクとダヤンだ。いまは彼らを土の中で癒している。お前に血を与えたのは違う男だ。あとから傷を確認してみたが、お前は撃たれたときに心臓を止める猶予もなく、あのままなら出血多量で死んでいただろう。誰だかわからないがあいつに命を救われたんだと話します。

デサリは、知らない人物の血が身体に入っていると聞かされ、わたしはヴァンパイアになってしまうの?と一瞬パニックになりますが、ダリウスがお前のことをヴァンパイアになどしないと言って安心させます。

ダリウスは子供のころに迫害されたことを覚えていました。大人たちが残酷に拷問され、首を切られ、苦しみながら陽にさらされたことを。あれから故郷に戻っていませんが、生き残りがいたとしてもひっそりと暮らしているだろうと。彼自身は、デサリ、シンディル、バラク、ダヤン、サヴォンを家族としていままで守り抜いてきましたが、野生動物や人間、ヴァンパイアハンターたちの追っ手を追い払いつづけ、ほとほと疲れをかんじていました。

怪我をしたデサリの血液だけではダリウスには助けにならないため、家族同然のシンディルを呼びましょう、といって眠りについているらしいシンディルにデサリに心話で助けを求めます。

悲劇は彼が6歳、デサリは生後6か月、サボンは4歳、ダヤンは3歳、バラクは2歳、シンディルは1歳のときのことだったようです。ダリウスは大人たちが引っ立てられ、殺されていくなか逃げ出すチャンスをうかがい、人間の女性をかくれみのに逃げ出し、その女性の恋人のボートに乗って海に乗り出しました。どんな危険があるか漠然とした恐怖より戦争や迫害が恐ろしかったのです。船上でも危険がありましたが、ダリウスのエンシェントだった父親から受け継いだ特別な強い力でもってなんとか陸にたどりつきました。アフリカ大陸沿岸は厳しい世界でした。ダリウスは小さな隠れ家を見つけ、豹と狩りを学び、癒しの技を自力で学んでいきました。未知の食べ物は彼が試し、毒に苦しむこともあり、狩りなどで怪我をすることもありましたが、意志の力で乗り越えたのです。

数か月前、サボンが突然闇に落ちてしまい、シンディルに暴力をふるいレイプしました。シンディルの心の叫びを聞きつけ、ダリウスがサボンを始末しましたが、シンディは身体の疵が治っても自分の殻に引きこもるようになってしまい、他の家族たちも否応なく影響を受けました。

家族同然のデサリ以外の人間に触れられることに抵抗を感じるようになってしまったシンディルでしたが、傷つき衰弱したダリウスをみると、自分の血を飲むようにと申し出ますが、ダリウスは彼女の心の傷を察して飲もうとしません。デサリがダリウスに血を与えますが、シンディルはデサリを心配して彼女に血を与えるのでした。ダリウスがその場に煙幕を張っていますが、その場を離れたほうがよいだろうということになり、シンディルが運転し、癒しの土のある森まで車で移動します。その場を離れることに強い心理的な抵抗感を感じるデサリ。顔も見たことのない人なのに、彼は私に血を与えることで私の魂の半分を奪っていったみたい。彼が私のことを見つけられなくなるのかと思うと心が引き裂かれそう、と感じます。

痛みを感じるのか?と心話で、移動中のデサリに接触してきたものがいました。家族の誰とも異なる経路です。彼女があっちへ行って!とはねのけても男らしい面白がるような笑いを響かせ、君は私のものだと話しかけてきます。高圧的な態度にむっとしたデサリは一方的に会話を打ち切ります。休める場所に到着すると、ダリウスのことを心配した豹にまとわりつかれつつ、ダリウスをシンディルと共に降ろしますが、ひそかにデサリにジュリアンは力を貸してあげます。無事にダリウスを土に埋めると、その隣にもう一つ地面に穴をつくり、そこに横たわってデサリも傷を癒すことにします。

事件から数日後、デサリはドームでコンサートを開くため、ダリウスやダヤン、バレルも神経質なまでに防御意識を高めています。ダリウスは入場してくる客をじっくり精査していましたが、ジュリアンは人間の意識を意識の表面に張りつけてカムフラージュすることでやりすごしますが、おそらくクロヒョウだった人物は瞳の色が銀ではなく黒でなければドミトリと外見がそっくりで、血縁関係ではと感じます。

デサリは兄弟たちの自分を守りたいという気持ちは理解できるため、行動に制限を受けるのもしょうがないと考え、自分の気持ちのままに行動したいという気持ちは抑え込んでいますが、未知の人物が近づいてくるにつれて興奮がわきあがり、胸が高鳴り、身体が息づいてきます。彼がこの会場に来ていることを感じ取っています。

コンサートが始まると、彼女をひたと見つめる彼の姿を舞台から見つけました。デサリは見ないで!と心話を送りますが、ジュリアンは歌声に引き込まれ、こんなに素晴らしい女性がライフメイトなのか、と見つめることをやめられません。デサリもジュリアンの熱烈な気持ちを感じとり、今まで自分にあると感じたことのなかった熱情を込めて歌いあげます。ジュリアンは歌は素晴らしいけれども、これは間違いなく評判になるはずで、魔法にかけられたようだ、というような批評をもらえば、ますますヴァンパイア狩りを行う組織に付け狙われることになるだろうと心配します。

ここでジュリアンがダリウスに見つかれば、二人とも無傷ではすまされない、と心配になり、帰ってちょうだいと頼みます。会場にいたダリウスはデサリを見つめる視線から、ジュリアンを見つけ出し、近寄っていきますが、ジュリアンはデサリの気持ちを尊重し、ひとまずその場を去ることにします。

コンサートが終わりデサリが控室に戻ると煙になったジュリアンが入口の隙間から部屋に入り込みます。兄のダリウスに見つからないうちにどこかへ行って!というデサリに、一緒に来てほしいと言います。君に危険なことは何もしない、一緒に出掛けようと。角の喫茶店で待っているから来ると約束してほしいと迫ります。追い払おうとするデサリですが、兄たちが来るというのなら受けてたとうと、まったく動じる様子のないジュリアンに、心配になったデサリはお店に行くと約束します。優しく口づけしてさっと消えていったジュリアン。

ドアにセーフティガードをかけられ、外で待たされていたダミアンたちや豹は怒り心頭です。部屋を探し回りますが、ジュリアンは見つかりません。その場を離れることにします。

デサリには危険な真似はしないようにと言い置いてダリウスが血を補給するためにバスから外出したため、約束を守らなければジュリアンは自分から会いに来てしまうだろうと、デサリは待ち合わせ場所に出かけることにします。

ジュリアン自身に興味を惹かれていることと、生粋のカルパチアンとしての知識が自分たちには欠けているため、彼の言うライフメイトがどういう存在なのか、どうして自分が彼のライフメイトなのかということを知りたくなったのです。

ジュリアンは、待ち合わせのタベルナから場所を移動してゆっくりカルパチアンのことを説明しようと移動を提案しますが、デサリは移動してもジュリアンは自分を追跡することが可能なため逃げ切れない、早く必要なことだけ説明してほしいと頼みます。家族に横にいられたらゆっくり説明もできないし、短時間で説明できることでもない、自分の身の安全を心配してくれるのはありがたいが、自分自身も十分危険な存在だからダリウスから逃げ惑うことはしない、とジュリアンは言います。近づいてくるダリウスの気配を察して焦ったデサリは移動に同意します。ジュリアンは自分に心を合わせるように、一緒に飛ぼうと誘います。未知の体験に尻込みするデサリですが、ジュリアンにリードされ、飛び立ちます。ジュリアンと一心同体になることでダリウスはデサリを見失いますが、強い心話を発してデサリに危害を加えたらこの世の果てまで追いかける!と警告してきます。

ジュリアンの隠れ家のキャビンまでやってきた二人。強い性的な引力を再び感じ、守ってくれる家族もそばにいない無鉄砲さに気が付き尻込みするデサリ。それでもジュリアンに誘われて、ポーチの椅子に腰かけて話を聞くことにします。カルパチアンの男性は色や感情を失っていくこと、たった一人しかいないライフメイトに会うと色や感情が取り戻せること、カルパチアンの女性は数が減っていて家族に厳重に安全を守られていて結婚できる年齢になるとすぐに伴侶に安全管理の権利は引き渡されること、デサリにあって自分に変化が起こったことを伝えます。

デサリはどうして自分自身が彼のライフメイトなのか、新しい知識に戸惑っています。そして自分の意志とは関係なく、彼のものになるということは受け入れにくい気持ちですが、彼に触れられると何も考えられなくなり、彼が彼女にかがみこんでくると血を与えるのでした。

ジュリアンはデサリにどうして誰にも知られない存在でいられたのか話してほしいといって過去の話を聞きます。そしてダリウスとデサリがドミトリの肉親だと確信し、ドミトリに心話で君の肉親が見つかったぞと連絡します。ドミトリはミハエルに連絡し、サバンナに事情をはなし、いずれにせよ会いに行くと話していました。

ジュリアンの心の中をみたデサリは、自分にとっての君主、リーダーはダリウスであり、ジュリアンは一匹オオカミではあっても君主はミハイルで、二人は違い過ぎるとデサリは言いますが、ジュリアンは二人で生きる以外の選択肢はないのだから、すりあわせていくしかない、と言います。

デサリは自分たちにすべてを捧げて支えてくれ、導いてくれたダリウスが、闇に落ちかける瀬戸際にいるのに家族を離れられないというと、ジュリアンはデサリを自分から引き離すことは不可能なので、彼女のことを思うならダリウスは庇護をあきらめるしかないと思い、彼が安定するまでそばで見守ろうと言いますが、ダリウスやほかの男性メンバーもやすやすとジュリアンを家族の輪にいれようとしないだろうと考えています。

デサリは、家族に自分のことを心配させておくわけにはいかないから家に帰してほしいと頼みます。断られるかと思いきや、ジュリアンは君を幸せにすることだけを考えているから、君が帰りたいというなら返す、といってじっと見つめます。

熱いまなざしでデサリは身体が熱くなり、あまり考えられないまま、ジュリアンに誘惑され、熱い時間をキャビンで過ごします。カルパチアンの女性は人間の女性が感じる欲望は感じる能力がないのかとデサリは思っていましたが、単にその部分は眠っていただけで、ジュリアンという唯一の男性にあったことで情熱と欲望に命が吹き込まれたようです。

デサリはジュリアンと心を同化させ、彼の内面の深くまで読み取れましたがジュリアンもデサリの心を読んでいました。デサリはあくまでも自分の家族のところへ戻るつもりでしたが、ジュリアンは自分の手元から彼女を一瞬でも手放すことは考えられません。デサリは自分と離れては苦しむだけだからダリウスは自分のことを認めるしかないとジュリアンは思っていますが、デサリはいずれそうなるにしても、ダリウスが二人の関係をすぐ認めるとは思えないし、家族たちも彼の態度に倣うはず。一人で出てきたのは考えなしだったから、戻ってまずは説明したいと話します。デサリが話そうとするたびに、ジュリアンは誘惑して考えるのをやめさせています。

ジュリアンは突然キャビンの外から自分への強い敵意と接近を感じ、危険を感じたら兄に呼びかけて守ってもらうんだと言い置き、外へ飛び出します。デサリは周囲を心で探査するものの、何も感じませんが、彼女自身に害意が向けられていないからでした。

クロヒョウが現れ、ジュリアンを襲います。ジュリアンはフクロウに変化し戦いはじめます。二人ともを心配するデサリが、自分の力をこめて歌い始めると、ダリウスとジュリアンの変身がとけ、戦える状態ではなくなってしまいました。3人で話し始めると、ヴァンパイアの気配がします。すぐさま攻撃態勢になったダリウスは飛び出そうとしますが、彼がヴァンパイア化する瀬戸際なのを感じ取っているデサリは彼の心の状態を心配しています。ジュリアンはデサリに地面に潜って眠りにつき安全を確保しているようにと指示していきます。デサリは心配で地面には潜るけれど、あなたたち二人の顔をみてから眠りにつきます、というとジュリアンが強制的に眠りにつかせてしまいます。目覚めた後に喧嘩は避けられそうにありません。

ジュリアンはダリウスになぜ身を守る者の命令を聞くように育てなかったんだと言い、ダリウスは命令しなくてもデサリは指示に従ってくれていたと言い返し、とげとげしい雰囲気でヴァンパイアのねぐらのそばに到着します。見たことのないパターンのガードがかかっている、古の技でも聞いたことがないものだなとジュリアンが言うと、そういったことを教わることができて君は幸運だとジュリアンが言います。ジュリアン自身は経験から学んだことしか知らないのです。

そのガードはジュリアンが南アフリカでみた形に似ているようです。南アフリカにはヴァンパイアがまとまって住んでいる地域があったが、家族に女性がいて守らなければならず、発見する危険を恐れてそこから移動するしかなかったそうです。夜明けが近い、出直そう友よ、とジュリアンが提案しますが、自分になにかあったら家族を頼むと、あえて危険にとびこんでいこうとするダリウス。君に何かあればデサリが悲しむ、君自身のことを教えて欲しい、たぶん君にはグレゴリという治療師の兄がいる。夜明けの光がさしてきて、二人は負担の少ない煙に変化してデサリのもとへ戻ります。

ヴァンパイアを倒したジュリアンとダリウスは戻ることにします。すぐにデサリの元へ行こうとするジュリアンに、ダリウスは自分と一緒に家族のところへ来た方がよいのではと言いますが、いやデサリのところへ行くというジュリアン。ダリウスは言いにくそうに、デサリはもう目覚めていて家族と共にいる、と伝えます。デサリが目覚めていたことにライフメイトの自分が気が付かなかったこと、彼女が連絡してこなかったことにショックをうけるジュリアン。

家族と共にいるデサリですが、ジュリアンに激怒しています。そして同時に打ち消そうとしても、彼と会いたい、一緒にいたいという気持ちが沸き上がってきて、気持ちも混乱し、イライラしてしょっちゅう故障する移動用のバスのことについて文句をいって家族を閉口させています。

そこにダリウスが帰ってきます。ジュリアンの姿が見えないことに内心ショックをうけるデサリ。痛みすら感じていることにダリウスが気づき、ジュリアンを呼ぶんだ、とデサリに言いますが、もし彼を呼んだら彼のやり方が正しいということになってしまうから出来ないの、と突っぱねます。とうとう無意識にジュリアンと呼びかけてしまうと、呼ばなくてもここにいる、とジュリアンが現れます。君は真実を伝えても信じてくれないから、とジュリアンが言いますが、デサリは言うことを聞かない私に罰を与えたのねと言い返します。

カルパチアンの女性はあまりにも少なすぎて一人として失うことはできない、種族の存亡がかかっているんだ、とジュリアンは言いますが、私は種族を増やすための道具なの?とデサリ。君はいままで歌うことで周りを幸せにしてきた。それに私の生きる喜びだ。君に会うまでは父親になるという希望を持つことすら自分にゆるしていなかったが、私たちでもっとカルパチアンの女の子を作ろう。父親になるなんて考えたこともなかったが。あなたが父親に向いているという人はいないかもね、とデサリ。

君が家族と暮らしたいというなら、自分も君と君の家族と一緒にいられるが、他の男が君のそばにいるのは耐えられない。セキュリティについては自分の判断に従ってほしい、ダリウスに従うように、とジュリアンが言いますが、デサリは信頼は要求するものではなく、あたえられるものでしょう、あなたの心を私も読める。あなたは独占欲が強すぎる。私が誰かから血をもらうと考えるだけでもいやでしょう。ただ私も他の男性から血をもらうことはできない気がするから、あなたからもらうわね。

君の家族との妥協点を探るということと、君が歌いたいという切望を叶えられるよう、できるかぎり努力するとジュリアンは言います。君の歌声は素晴らしいが、予定が前もって公表され、暗殺者に狙われているいまセキュリティ面では非常に不安だ。

そして君の家族のもう一人の女性も守らなくては。もう一人の女性はシンディルというの。私の記憶を見てくれたら、彼女が豹の姿で過ごしているのも理解してくれるわね? というデサリに、彼女は豹のままでいたら心の傷を癒すことはできない、彼女自身が傷に立ち向かう勇気をもって、何があったか直面しないと。君たちは良かれと思って甘やかしている、と。デサリは指摘にはっとします。

ダリウスはダヤンにあなたのことを尊敬をもって対応するようにと指示をしていたわ、とデサリがいうと、ジュリアンは誰に守ってもらう必要もないのにと軽く肩をすくめていました。

デサリはジュリアンと血を交換した今、自分の心のなかをみるようにジュリアンの心の中をみれるようになり、ヴァンパイアになってしまった幼馴染の友人を狩る辛さ、孤独、闇、痛みを強く感じられ、彼のために心を痛めます。

「こんな自分は本当は君には相応しくない、でも君のことは永遠に手放せない」というジュリアン。デサリも以前よりも自分を強く求めてくれる彼の愛情と情熱をリアルに感じることができ、自分の女としての力を実感し、彼を相手に自分の魅力を試し始めます。

家族が二人の元に戻ってきそうな気配が遠くからしたため、ジュリアンはデサリに結び付きたいという気持ちを抑えてひとまず家族に恥ずかしくない体裁を整えようとしますが、デサリはそんなジュリアンをからかい、誘惑します。家族たちがバスで付近から離れていく気配がして、ジュリアンはデサリの魅力に屈します。

彼から自分だけを強く求められ、自分も同じくらいワイルドに彼のことを求め、情熱を返せることで女性らしく力強く完璧になった気分でした。でもジュリアンのライフメイトへの強い気持ちを理解するほど不安を感じるデサリ。私たちの関係は素晴らしいけれど、もし私があなたに出会わなければ、私はこんな風に身体が燃えることを知らないでいたのかしら? 

ライフメイト同士のつながりは、単なる肉体的なものだけではなく、心の交流と感情のつながりだ。ライフメイトとしかこの素晴らしい関係は味わえない。そしてライフメイトは世界に一人きりしかいない。ジュリアンは、何か新しいことを試したくなったら私が喜んで献身する、ただし他の男で試したりしてみろ、その男は死ぬことになるとデサリを真剣に脅します。デサリは別の男の人と付き合いたいといっているわけではないし、誰かが殺される原因になんて私はなりたくないということなの。あなたに出会うまでまったく肉体的に感じることのなかった私は女らしくないのかしら? シンディルは肉体的な欲望も理解できるみたいだったのに・・・。ジュリアンは、ライフメイトに出会って君の身体は目覚めたんだ。もしかしたらシンディルは自分が気が付いていないだけでライフメイトにもう出会っていて、身体が目覚めているんではないか? と言っていました。

ジュリアンはデサリの心の中に何度も入り、昔の出来事もみて、ダリウスのことも以前より理解していました。ダリウスが、知識もないまま、強い意志と身体を張ってあり得ないほど低い確率をひっくりかえして他の家族を守り、だからこそ彼の闇は深く、もうぎりぎりのところまで来てしまっていることを。自分を犠牲にして自分たちを兄のことを思い涙するデサリを、ジュリアンは優しく慰めていました。

デサリは豹に変身し、森の中に駆けだし、ジュリアンも喜んで追いかけ、じゃれあいを楽しみます。デサリをジュリアンが体重で押し倒し、肩を甘噛みしたところで攻撃の気配を察し、とっさにデサリをかばい、ジュリアンはヴァンパイアの爪で骨に達するほど肩を深く切り付けられます。

現れたヴァンパイアは攻撃を仕掛けてきますが、どうもしっくりきません。ジュリアンは背後にもう一人ヴァンパイアがいるのではないかと疑います。逃げなかったデサリがジュリアンの心のなかで私には存在を感じられないけれど、おびき寄せてみましょうか、あなたは私の声を絶対に聞かないで。

デサリの声で森にいたクマや鹿などの動物たちがその場に呼び寄せられ、そばにいたヴァンパイアが抵抗しながら引き寄せられてきます。魔力で繕っていた外見も、はげ落ち、おぞましい様相です。そしてもう一人が現れました。デサリに強い視線をあてているため、ジュリアンは直視しないよう警告します。こちらのほうがどうやら古の者でもう一人を駒として操っていたようです。

ジュリアンが若い方のヴァンパイアの心臓を掴みだし、身体は燃やして灰にしますが、その隙をついてもう一人のヴァンパイアがデサリの声の魔力を振り切り、彼女の首を捕まえて絞め始めます。

ジュリアンはフクロウに変身し、他のフクロウたちと共に目や身体をついばみ、倒すことができました。デサリはいままでダリウスからこういった場面は隠されていたので、ヴァンパイアの醜さや真の邪悪さを知ることになりました。

ジュリアンはまずデサリの首についたヴァンパイアの傷を治すことを主張します。ずっと重症のジュリアンの治療を優先すべきと言っても聞かないため、治療してもらいます。

キャンプ地に戻ってダリウスに地下で眠らせてもらえとジュリアンに言われますが、受け付けず、その場に集まった動物たちを解放し、動物と一緒に呼び寄せられてしまった人間たちの記憶を操作するなど後始末を手伝います。

ジュリアンは死んだヴァンパイアを雷で焼きましたが、残された血液も浄化させ、戦いに協力してくれてまだ生きているフクロウたちを治療します。

自分よりもデサリ、そして傷ついた動物を優先させるジュリアンを見て、デサリはプライドが心の中にこみあげてくるのを感じます。あなたに恋に落ちたみたい、と伝えます。君はとっくに私のことを愛していたさ、頑固すぎて認められなかっただけだ、とジュリアンは微笑んで言い返していました。

キャンプ地に戻っても警戒を緩めないジュリアンに、デサリは再び襲撃の可能性があるのね?と尋ねます。ヴァンパイアの毒が全身にまわり、受けた傷から大量に出血し、キャンピングカーのなかのコーチに倒れ込むように落ち着いたジュリアンでしたが、敵の気配を察したとたん起き上がりました。古のヴァンパイアは倒しましたが、彼が自分の血を分け与えて動く屍となったグールは主人の命令を果たすために追いかけてきました。

ジュリアンはデサリにダリウスを呼ぶように言いつけて、外に出て、自分にしかとけない強力なセーフガードをデサリのいるキャンピングカーにかけます。

デサリの助けを求めるテレパシーにダリウスは応答して、すぐにジュリアンの治療ができるように家族に協力を求めて、部屋に癒しのキャンドルを焚き、部屋の準備をするんだといいつけ、すぐに向かってくれました。ヴァンパイアの召使は4人、ジュリアンが彼らと戦っているところにダリウスも到着し、全員を倒すことができました。

これだけの状態なのに彼自身よりもライフメイトのデサリ、そして動物たち、また一族の秘密を守るためにヴァンパイアや人間の死体の処理など証拠を消すなどの義務を優先するジュリアンにダリウスは一目置くようになります。

顔色が灰色になり、倒れ込んだジュリアンにセーフガードを解く力は残っているか?と聞くと、解除したため、デサリがキャンピングカーから飛び出してきました。ダリウスが担いで部屋まで連れていき、治療を始めます。

瀕死の状態でしたが、ダリウスは光になってジュリアンの身体のなかに入り、慎重に治療を進め、ヴァンパイアの血の毒を全身から駆逐していきます。治療を終えたダリウスも力の使い過ぎで消耗したため、デサリとダヤンが血を与えていました。ダリウスはダヤンにここにセーフガードをかけるよう頼み、ジュリアンとデサリを地下に埋めてその上で自分も癒しの眠りにつくことにします。

行方不明のキャンパー二人の捜索隊が出されましたが、何も見つからずに終わっていました。数日後、ジュリアンはデサリを横にかんじながら目覚めます。フクロウになって森を飛び回り、離れた場所でキャンプをしている二人組をみつけ、デサリが待っている間にジュリアンが一人で降りて行って人間に変化して、彼らから血をもらい、記憶を消して、また別の場所で愛を交わし、デサリは血を分けてもらいます。

森の中の湖でくつろぐ二人。ジュリアンはいままで失敗したことがなかったのに、デサリに出会ってからというもの、彼女への感情や欲望に気をとられて肝心の彼女の安全がおろそかになってヴァンパイアや暗殺者を近づけてしまっていることを考えています。デサリが予定しているコンサートも、恰好の標的となるため、追われる身としては心配でなりません。

デサリはジュリアンのために歌いはじめ、ジュリアンはカルパチアンの女性はごく若い存在しか知らないせいか、能力を磨く年月を経た女性が特別なギフトを持っていることに感動し、また幼いころ以来の心の平安を得ています。彼女がどれほど素晴らしいライフメイトかと思うと、失うことが怖くなり、デサリに君には混乱させられる。君の安全が何にも優先する。君を危険な目にあわせることは私が許さないと言い出します。

デサリは歌という心からの贈り物が拒絶され、深く傷つきその場を離れます。そして彼女は兄のダリウスのように彼女が納得して従えるリーダーを求めているのではなく、彼と同等の、共に生きるパートナーでなければ幸せになれないと感じています。

ジュリアンは以前、ライフメイトに振り回される男をみてバカだと思っていましたが、自分こそが何もわかっていないバカ者だったと気づきます。デサリを傷つけてしまったことに気が付き、追いかけます。彼は長年たくさんの知識を学び、ヴァンパイアを狩り、大地を動かし雷を落とすことができますが、ライフメイトを傷つけずにはいられないのです。安全と戯れのバランスをどうとったらよいのだろうか。

あなたは私のことを聖人のように思ってくれているけれど、実際のところ仕事に関しては我慢はしないし、あなたには私のことを尊敬してほしいと思ってる。あなたが私に隠している過去が、必要以上に私の安全性を気に掛ける原因になっている気がする。私に詳しく話してみたら、理屈にあわない怖れを手放せるし、私ももっと理解できると思う、とデサリはジュリアンに話します。

君に隠し事はしていないと言い張るジュリアンですが、なぜあなたはずっと孤独だったの、なぜ一人でいるの、双子で生まれたはずなのに。あなたが彼のことを愛していることは感じられるのに、彼とは話さない。私は現実から守ってもらわなくてはならない子供ではないわ。パートナーになれないなら、この関係は続けられない。

ジュリアンが重い口を開きました。12歳のときにヴァンパイアと血を交換させられたそうです。相手がヴァンパイアと知らず、知識を求めて知り合い、起こってしまった出来事だったようです。ヴァンパイアは血を通して彼の居場所や考えを知り、彼のことを操ることもできたため、自分にとって大切な人を守るためあえて離れているそうです。充分に力をつけて彼を倒したいと世界中を探しているが、なぜか探し出せないでいて、自分を通してデサリに害を加えられてしまうのではないか、というのが彼の恐怖心の元のようです。自分を軽蔑するか?と聞くジュリアンをデサリは小さいころのことじゃないの、あなたのせいじゃない、と受け止めます。

デサリ、君はヴァンパイアを倒せるか、と聞かれ反射的に出来ると言いかけますが、思い直します。どんなに悪に染まっていても私にはジュリアンのようにヴァンパイアの息の根を止めることはできない。でも自分自身を知っているから無謀にヴァンパイアの前に飛び出して行ったりしないし、あなたのハンターとしての能力を信用しているから助言には従うけれど、子供のように命令する人はいらないの。あなたにも私自身をみて、能力を過小評価しないで欲しい。

ジュリアンは守らなければならないとだけ考えていた「弱い」女性という考えを改めなくてはならなくなったようです。

デサリは私の先祖の話を聞かせて、とジュリアンに頼みます。彼女とダリウスの家系は偉大なハンターと強力なヴァンパイアを生み出すことで有名で、特に名高いのはミハイルの父に仕えていた双子のルシアンとガブリエルで、ジュリアンは幼いころ彼らを見かけたそうです。彼らは一人が学ぶともう一人に教え、一緒に狩りをし、意志も呼応していて、ライフメイトのいない男性としては記録に残る長期間を正気のままで過ごすことができていたそうです。ただ彼らが数百年かけて強力になるにつれ、彼らを倒せるものはいないのではとささやかれるようになり、人々のなかには感謝と共に怖れの気持ちもわき、他の人たちとは交わらなくなっていったそうです。ひどい態度ね!と彼らの寂しさを思いデサリは憤慨します。そんな中、グレゴリとミハイルはひどい怪我を負った双子をこっそり治療したりしていて、その時に偶然ジュリアンが彼らを見てしまったようです。グレゴリはジュリアンに気付いていましたが、彼なら秘密を守るだろうと考え、そっとしてくれたんだろうと話していました。

双子のように、自身を一族から隔離して、自身の双子からも離れて一人でヴァンパイアと戦い献身して過ごしてきたジュリアンのことを考えると、愛情と同情がわきあがってくるのをデサリは感じました。彼に愛情や家庭、家族を持たせてあげたい。

その後ダリウスが君たちを連れて逃げたカルパチアンの虐殺が起こり、その際にミハイルの父や多数のハンターたちが戦いで死に女性や子供たちも殺され、ミハイルは若年だがリーダーとなってかろうじて残された女性や子供たちを逃がし、隔離した。その戦いも双子は生き抜き、ヨーロッパで更にヴァンパイア狩りを行っていたようだが、噂ではその半世紀後にルシアンが闇に落ち、人間を獲物にしているらしいが、ハンターには見つからず生き延びているらしい。ただルシアンにはヴァンパイアらしくないところも見受けられて、女性や子供の犠牲者はおらず、グールやしもべを作り出すこともないらしい。邪悪なものだけを獲物にしていると。通常は犠牲者の痕跡を残さずにはいられないのでもっと早くに足がつくものだが、彼のことはガブリエルだけが見つけることができ、再びまみえた時、数年かけた戦いが起こり、カルパチアンたちが信じているのはガブリエルがルシアンの命を終わらせ、自らも太陽に会ったという説だが、おそらくガブリエル自身長く孤独な人生を終わらせ、来世での平穏を求めることにしたのだろうと私は思っている。ある者はガブリエルもヴァンパイアになってしまい、二人のヴァンパイアが死ぬまで戦ったのだというが、私はそうは思わない。戦いのあとの証拠をみると、ガブリエルのルシアンへの尊敬が感じられ、すべての痕跡を消し去ってガブリエルが太陽のなかへ歩んだとしか思えないんだ。

こんな悲しいことがあなたに起こってほしくないと顔を曇らせるデサリに、ジュリアンはライフメイトを得た今、心配はいらない。人の心を癒す私の力で何ができるか考えないと、とデサリ。

ダリウスから、お前が来ないとコンサートが始まらない。お互いを見つめあうのは切り上げてすぐにくるんだと連絡があり、二人は会場へ向かいます。

デサリが控室で準備をしている間、ジュリアンやダリウスたちは観客たちの精神をスキャンしながら警戒を強めています。シンディルは演奏中も控室で豹たちと一緒に豹の姿で待機しているようです。デサリは当日の観客の様子や雰囲気の手ごたえから、どんな音楽を求めて来場しているのかを感じ取り、曲目を決めているようです。ジュリアンは歌の力で人の心に平穏をもたらす彼女の能力を誇らしく思っていて、今夜は自分のために歌ってほしい、とデサリに心話で頼んでいました。

コンサートが始まると、不審者が舞台に押し寄せてきたため、ジュリアンとダリウスが意識を向けますが、バックミュージックを演奏していたバラクがデサリをかばい、不審者を追いかけていきます。逃げる不審者はシンディルのいる控室に向かっていきました。

不審者を追いつめたバラクは止めを刺すところまでいきますが、追いついたジュリアンとダリウスが穢れた血は毒だから、そいつの血を飲んではいけない、と止めます。バラクは逆上していて聞こえていないようですが、このままでは彼のことを失ってしまうと危惧したジュリアンがシンディルに呼びかけます。バラクが危険だ、というと即座に駆けつけたシンディル。彼に優しく話しかけ、不審者から手を離さ、その場から離れます。残った二人が後始末をしているあいだ、デサリの温かい歌声が聞こえてきてジュリアンの心を包み込んでいました。

ダリウスは、君の呼びかけにシンディルが応えたのは奇跡だ。あれからというもの男性全般とは関わろうとはせず、デサリとすらほとんど口をきかず豹形のまま過ごしている。バラクはいままでヴァンパイアを狩ろうとしたことがなかったのに、どうしたんだろうか。確かに幼いころから二人の絆は強いようだったが・・・

ダリウスとジュリアンが引き続き会場の警備をしていると、バラクがステージに戻って演奏に入りました。シンディルも人間には見えないようにしていたものの、ステージにほど近い場所に座り、バラクから見える場所で演奏を見守っています。二人の女性をたくさんの観客がいるホールで守らなければならない大変さでジュリアンもバラクも緊張を感じているようです。

演奏が終わると女性ファンが二人のギタリストに歓声をあげ、そのうちの一人が下着を舞台に投げ上げます。不機嫌なシンディルが私にここにいろなんてダリウスは言っていないんだから、あなたにそんな資格はない、とバラクにいますが、そんなことは関係ない、安全になるまで俺の視界のなかにいるんだ、と言います。デサリが見かねて、舞台の上でバラクが逆上するようなことを言わないで、とシンディルに頼み、シンディルはひとまずバラクと背中合わせになり座り、音楽にあわせて足でリズムを取っていました。もともとシンディルはどんな楽器でも扱え、コンサートにも出演していたため、観客には長い休暇を取っていて近々戻ると説明していました。音楽に反応したのはあの事件から初めてのことで、ようやく彼女自身が戻ってきた気配をデサリは感じていました。

コンサートが終わり、デサリはジュリアンと静かな森を散歩しています。二人きりでいい雰囲気になっていますが、ガサっと音がして、家族たちがそばにいることを察して、雰囲気は台無し。シンディルが人の姿で出てきて、しばらく群れを離れて放浪しようと思うと言い出します。もうバラクの横暴さに耐えられない!

安全上の理由からシンディルが一人きりで離れることはダリウスが許さないだろうとデサリは感じますが、そこに豹の姿のバラクがさっと現れ、どこにいこうとも君から目を離さないからなと言い放ち、その場を去っていったシンディルを追いかけていきます。

どこか二人きりに慣れるところを知らないか、とジュリアンが言い出し、デサリは案内して、二人は熱い時間を過ごしていました。

次のコンサートが予定されているカルフォルニアのコノクチにバスで向かう一行。強力なカルパチアン男性たちが一か所に集まり、緊張感が高まっています。邪悪な存在がつけ狙う視線を感じてもいるようです。

突然「次の角を曲がって!」とシンディルが主張しますが、バラクが例によって予定より遅れているし、コンサート前日には現地を下見して警備の態勢も整えたいから無理だと却下したため、シンディルは煙になって窓から抜け出そうとしますが、すんでのところでバラクが髪の毛をつかみ、引き止めます。

大地の叫びが聞こえるの、私のことを呼んでいるの。と強硬に主張するシンディルに、男性陣は罠の可能性を感じつつ、彼女の意志を尊重して道を曲がると、その先には大地が穢された場所がありました。

シンディルはすぐにバスから降りて土に手を救い入れると、土が蘇っていきます。ジュリアンはデサリを守りつつ、驚きながらシンディルを見守ります。彼やいま生きているカルパチアンの男性たちは、まだ能力が花開いていない若い女性しか見たことがなく、デサリとはまた違った能力を発揮させ、土を癒し、大地を癒す彼女の力に驚嘆していました。

ヴァンパイアが近づいてくる気配を察し、ジュリアンがダリウスに知らせると、ジュリアンにデサリを連れて逃げろと、シンディルはバラクとダヤンに守らせ、私が対決すると指示しますが、手遅れでした。

シンディルは大地を癒すために身体からでて魂の状態で能力を発揮していて、長らくシンディルを付け狙っていたヴァンパイアは彼女の心をおびき出し、どこかへ連れ去ったようです。

ジュリアンはこのヴァンパイアは長くシンディルを付け狙っていて、自分だけは彼の意識にはないはずで、そこが狙い目だとアドバイスします。バラクがどこまでもシンディルの魂を追いかけると宣言して、デサリは彼女の魂を歌でつなぎ止め、引き戻すと言ったたため、ダリウスは、ダヤンにデサリを安全な場所に逃がさせたあとでシンディルの身体を守らせ、ダリウスがヴァンパイアと対峙し、ジュリアンは狩りをサポートすることにします。

ジュリアンが鳥の姿に変化し、ダヤンとシンディルの身体をそばで見守っていると、ヴァンパイアの手下のグールたちがダリウスを取り囲みますが、彼はたじろぎもしません。邪な力を呪文で集めてダリウスを攻撃しますが、彼ははねのけます。

デサリの歌でシンディルの魂をつなぎとめていますが、シンディルを掴んでいるヴァンパイアが彼女の存在に気が付き、肉体に精神的な手を伸ばして首を絞め始めますが、彼女の声は精神的なもので肉体的なものではないため、苦しみに耐えつつ、純粋な彼女の力を送り出していると、ヴァンパイアの力が弱まってきました。デサリの力で3人の魂はつなぎ留められ、なんとか肉体へと戻ろうとしています。シンディル自身は自分に悪を呼び込む気持ちがあったからヴァンパイアを呼び寄せてしまったのではと自責の念にかられ、家族のもとに戻る資格はないのではと力尽きそうになりますが、普段は気楽なバラクが鉄の意志を見せ、君のせいではない、戻ってくるのだと強くつなぎ留めます。彼の説得によりシンディルの心の奥底の秘密もしぜんとほどけていきました。サボンによる暴行の記憶も含め、彼女は自分自身も気がつこうとしていなかった気持ちを二人に知らせてしまい、恥ずかしくて会わせる顔もないと感じますが、バラクは読み取ったとたんに強引に彼女の魂と深くつながり、彼女も魂が疲弊していただけが理由ではなく、抵抗する気持ちになれず、彼を受け入れました。

グールに取り囲まれていたダリウスですが、シンディルたちが身体に戻ったことを感じ取ると、その場に雷を呼び寄せ、グールたち目掛けて雷撃します。ジュリアンはとうとう姿を現したヴァンパイアと対峙していました。デサリの魂に寄り添っていたジュリアンの存在を感じ取ったヴァンパイアは、昔彼の双子を、ミハイルを傷つけると脅して怯えさせていた同一人物でしたが、ジュリアンの力が増してからは彼の存在を感じ取れなくなっていて、特にジュリアンに対して憎しみを燃やしているようです。

このヴァンパイアは狡猾で十分強力ですが、二人の古のハンターを前にしては分が悪いようです。ダリウスもジュリアンに合流し、攻撃を受けると、勝ち目がないと悟り、自身の領土に逃げ込もうとします。逃がしてはなるものかと追いすがるダリウスを、相手の領土では彼らの能力が増大し、自分たちも背後を家族を気にしながら戦うのは情勢が悪いので次の日没までジュリアンは待て、と引き止めますが聞く耳を持ちません。

デサリの兄を一人で無謀な戦いに挑ませるわけにはいかないとジュリアンも追いかけますが、反撃してきたヴァンパイアの槍はジュリアンの心臓をまっすぐ狙っていて、かばったダリウスが代わりに心臓のすぐ下を貫かれてしまいます。ジュリアンはダリウスを抱えると、ダヤンに呼びかけ、救護の準備を頼み、デサリにはダリウスの魂をつなぎとめるようにと命じます。彼らの住処に急いで戻ると、すでに土のベッドは整えられていて、ジュリアンはダリウスを横たえると家族が癒しの歌を詠唱するなか、光となって彼の身体に入り、治療を行います。

必要なことを終えて、心が身体に戻るとその場に倒れ込むジュリアン。デサリは兄のことを心配していますが、君たち家族が置いていっても大丈夫という安心を得るまでは、ダリウスは生を諦めたりしないだろう、命は助かると言います。

ダリウスは闇に近づいていますが、なんとか踏みとどまっています。ジュリアンが意識を取り戻したダリウスに何がそこまで君を頑張らせるのだと聞くと、お前だよと。お前に記憶を見て、年齢を重ねたカルパチアン男性でもいつか限界がきたら永遠に休むのか、ヴァンパイアになってしまうのかという選択以外にももう一つ可能性があると知った。家族を愛したという記憶を思い出すだけではなく、もう一度愛するという気持ちを少しでも感じたい、と話していました。

ダリウスを癒しの眠りにつかせると、ジュリアンは血の補給に出掛け、帰宅してからダリウスに血を与え、デサリと共に火山の溶岩の熱で温まった坑道を下って、二人きりの時間を楽しみます。この件が終わったら、双子にデサリを紹介しよう、そしてカルパチアンの故郷も見せ、グレゴリにも紹介したいとジュリアンが話していました。

ダリウスを見守るため、彼の上でデサリと休んだ二人ですが、気が付くと周りの土が豊穣なものへと変化しています。シンディルがダリウスの痛みを感じ取り、早めに起きて彼女の魔法で土壌に魔法を送り込み、土の力で彼の癒しを早めようと考えたようです。

ヴァンパイアが目覚める少し前にねぐらを急襲するつもりのジュリアン。デサリはダリウスが回復する数日待ってほしいと頼みますが、自分の人生を奪った因縁の相手でもあり、現在の自分の家族ともなったダリウスが弱り、女性二人を抱えて危険なヴァンパイアを放置できないとジュリアンは気持ちをかえませんが、そこにバラクも現れ、自分も行くと言い出します。

シンディルがなぜあなたが行くの? 普段ヴァンパイア狩りなんてしたことがなかったのに! 物静かな彼女には珍しく語気を強めて非難しますが、バラクも自分の家族の命が狙われ、危険にさらされている。これは俺の権利だ、と聞く耳を持ちません。

二人はヴァンパイアのねぐらを急襲すると傷ついたヴァンパイアが出てきます。血の補給もできていないため、弱っているようです。ジュリアンが子供だった自分にルシアンとガブリエルに本当になにが起こったのか、という話で興味を惹き、若気の至りの好奇心からヴァンパイアに血を与えるという道を外れる行為をジュリアンにさせたわけですが、結局わかったことはあったのか、とベルナルドというヴァンパイアに尋ねます。彼は研究者として知識を追求し、一度はジュリアンも尊敬していた人物だったのです。

数百年会話をしていなかったヴァンパイアでしたが、驚くべきことに返事が返ってきました。それらしき記録を二つ見つけた。ひとつは伯爵の個人的な日記で、フランスの墓地で二人の悪魔が戦っていて、その最中に姿がどんどん変わっていった、お互いに相手が次にどんな攻撃をしてくるのかわかっているような凄まじい戦いぶりだったが、不思議なことに一滴も血は飛び散っていなかったと。もう一つは墓堀り人の証言の記録が1,2行残っていて、本人は悪魔にたたられるとその日以降二度と仕事に行かなかったそうだが、彼は墓地で狼と悪魔が戦っているのを見た、と。悪魔は致命傷を負って死んだというものだった。

私はお前のもっと知識を得たいという希望を叶えただけだ、というヴァンパイアの抗弁にジュリアンは反発します。自分自身への恥の意識、ミハイルやグレゴリ、双子と距離を置かなければならない孤独、人生がめちゃくちゃにされたのです。彼の身の内に力が沸き上がり、彼の胸から心臓を取り出し、相手を滅しました。

望んでいた結末でしたが、ジュリアンの心は悲しみにあふれていました。デサリが心話で話しかけてきますが、すぐには家族たちに顔を合わせたくないと言います。デサリは私がそばにいっては迷惑かしらというと、君の助けは力になるといってきてもらいます。

彼女が彼のそばにたち歌を歌うと、ジュリアンの心に平穏と幸福感が満たされていきました。彼らは二人でひとつの存在で、ヴァンパイアや暗殺者の問題があろうと乗り越えられるのです。(終)


Copyright (c) 1997-2020 Rakuten, Inc. All Rights Reserved.