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Romance夢紀行

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LOVER MINE あらすじ BDB#8(前編)

2020.10.13 更新


※ ※ ※ ネタバレあり ※ ※ ※ 

序章 1644年 古国 ブラッドレターのキャンプにて

ダライアスの優しかった母が亡くなり、広い屋敷で美しいものに囲まれて育ってきた環境から、義父に追い出された。いきついたキャンプでは訓練生たちに着ていた洋服、持ち物も奪われ、信じられない思いだったが、生き抜くためにこの環境に慣れるしかなかった。家族が恋しい。偶然、彼の身体には優れた兄弟団の血が受け継がれていて、遺伝子は発現した。彼の身体の中には彼の意思とは別の戦闘本能が備わっているようだ。幸い決闘では負けたことがなく、性的な暴力を相手に与えることも与えられることも避けていたが、そのことをブラッドレターは忌々しく思っているようだ。驚くべきことに兄弟団がキャンプに来て兄弟団の入団テストしてくれることになっている。いまの兄弟団のメンバーはアゴニー、スロー、マーダー、トーチューの4人組。書の聖母よ、この唯一の機会にどうか失敗しませんように。ここからなんとしてでも抜け出したい。

第1章 ジョン・マシューは親友ふたりとタトゥーショップに入れ墨を入れに来ていました。持ち込みのインクで、持ってきたデザインで頼みたいと依頼し、OKをもらいます。Vが入れてくれたクインの入れ墨は最高でも、入れてほしいと頼むならば事情を話さなければならず、ジョンはそのことを兄弟団には言いたくなかったからです。

ゼックスは、一人窓の外を見つめていました。ラッシュのパワーで部屋は封印されていて、テレパシーも遮断されています。ラッシュはレッサーのなかで唯一、食事をして性的な能力をもつ人物で、ゼックスはそのことを忌々しく思っています。最初は彼の前の彼女を殺したゼックスを恨み、暴力を振るってきましたが、やられたらやり返していると、次第にゼックス自身に夢中になり、執着を見せるようになっています。下の階で部下の一人が料理を作る音がしはじめたので、じきにラッシュが現れると予測しています。

第2章 ジョンは背中に古語で大きくゼックスと彫り入れてもらっています。兄弟団では一緒に戦闘に出かけたら、全員欠けることなく帰宅するものなのに、ゼックスは帰宅時に一緒ではありませんでした。4週間、必死で兄弟団もリヴェンジも彼女をさがしていましたが、レッサーたちはいま麻薬取引に熱心で、ヴァンパイアたちではなく、人間を相手にしていてなかなか遭遇しません。ジョンは気が狂いそうでしたが、捜索に加われなくなるという一念で正気を装っています。彼は赤ん坊のころに捨てられ、トールたちに引き取ってもらったものの、ウェルシーは亡くなり、トールはいなくなってしまった。面倒をみてくれていたZは子供が生まれたばかりで手を取られている。ゼックスには拒絶されている。この入れ墨はゼックスが好むと好まざるとにかかわらず、生きていようと死んでいようと、彼女は自分の伴侶だという宣言だ。どうして最後に関係を持ったときに、あんな風にしてしまったんだろうかと思うものの、すぐに後悔と感情をジョンは断ち切ります。彼女を生きて取り戻さねば。神様、どうか失敗しませんように。

第3章 ラッシュが帰宅しました。ゼックスのもとへ近づいていきます。彼女が彼のものを奪ったから、彼女を奪ってやった。最初はシンプルに思えたことでしたが、バラバラにして壊したら捨ててやろうと思っていたのに、彼女はいまでも折れていない。素晴らしい。愛していると思えるほどだ。彼の身体にはゼックスが残した傷や噛み跡などが残されています。

ゼックスは半分ヴァンパイアなため、生かすためには異性の血を飲ませないとなりませんが、ラッシュは悩んでいました。以前付き合いのあったクインの兄を彼女の餌として用意したものの、彼の血が彼女の身体に流れると思うと、我慢がならないのです。

クインはタトゥーショップの店員のひとりといちゃつきはじめ、カーテンの後ろに二人で引っ込み、関係を持っています。ブレイは口をいっぱいにしているのが自分だったらいいのにと思ってみていると、クインと眼があってしまい、店のそとでタバコを吸ってくる、とその場を抜け出します。もうこんなことは続けられない。

第4章 入れ墨が完成し、血をふき取ってもらうと、全身が映る鏡であちこちの角度から仕上がりを確認し、ジョンは深々と頭を下げ、施術者に感謝の気持ちを伝えました。誰にも見せるつもりがないのはもったいないほどの仕上がりでした。相場の倍の金額を渡し、彼らの記憶を消してその場を去ります。

第5章 ジョンたちはトレズとイアンに会いにいきます。トレズはジョンと個別に話したいと言うとクインは臨戦態勢になってとびかかりそうになりますが、ジョンが出ていけと命令しないといけないかといって間に入ります。クインはおまえがリヴにすることを俺はしているだけだというと、トレズもそれもそうだなといって敵意をひっこめます。

ゼックスの情報が欲しいというと、お前はリヴと一緒に住んでいるんだろう、どうして彼から聞かないんだ。王はお前たちがここにいることを知っているのかと言われてしまいます。ジョンは、兄弟団と救出に向かって、もしも彼女を救い出すのに熱くなって突っ込んだら、館に戻れば婚姻の儀式が待っている。ゼックスがどんな顔をすると思う? それにもし彼女が死んでしまったら、食事やなんかでみんなに会うたびにいつ首を吊ってしまうかという心配顔でみられるかと思うとうんざりするというと、トレズは大笑いして個人的に探し出したいというお前の理屈はわかったと言います。

お前に情報を流すにあたって二つ約束をしてもらう。一つは、リヴには隠し事をしないっていうこと。お前に会ったことも話す。二つ目はお前が得た情報を俺たちにすぐに知らせるってこと。コントロールフリークのリヴには、ゼックスの捜索には俺たちは首をつっこむなと釘を刺されているが、お前が動いてくれる分には関係ないから俺たちにも渡りに船だ。

クインとブレイが待っていると、イアンと一緒に通りかかった人物は知人でした。クインのいとこのサクソンで、トレズたちの法務関係を請け負っているため店に来たそうです。ブレイは1,2度昔あったことがあり、サクソンは丁寧に話しかけ、今度食事でもと誘われて、ブレイは恥ずかしくなり短い返事しかしませんでしたが、別れるときには手に彼の名刺を握らされていました。

第6章 お前が俺をみる目つきが好きだ。お前、一目惚れって信じるか? とラッシュが聞いてきますが、ない、とゼックスは答えます。そのうちお前を父上に紹介するよと言って、愛しているよといって出かけていきます。彼女が彼を拒絶するほどラックスのファンタジーは込み入ってきて、彼女の思考はさえわたっていくようです。ラッシュに無理強いされ、怪我をさせ、怪我をさせられ、最初に閉じ込められたときには綺麗だった部屋もめちゃくちゃですが、普通とは程遠いシンパスの危険な本能が酷い状況下でもゼックスの正気を保たせていました。暗殺者として沢山の死をみてきたゼックスは、死んだらそこで終わりと考えています。後悔があるとしたら、ジョンのこと。兄弟団メンバーだった前の恋人マーダーと同じ轍を踏ませないよう、彼と距離をとるしかないとしても、原因は彼じゃなく私にあるということを伝えられたらよかったと思っています。たくさんの死を与えてきた以上、暴力的な状況で死ぬのはしょうがないとしても、冥途の土産に一切れか二切れの肉片は持っていく。

第7章 夜明けの近いエクストリームパークでジョンは焦っていました。トレズの情報では、そこは麻薬の取引所になっていて、レッサーの姿は見えませんでした。ただし、もし人間たちの縄張りだったとしても、じきにラッシュはここも支配下に置こうとするだろうと読んで観察しています。この場所には奇妙な気配が漂っていて、3時間見張っていてもどうやって取引されているのか目で確認することができません。もう戻ろう、とクインに促され帰宅します。
入れ墨の残り香で詮索されるのを避けたかったジョンは、いったん別の部屋でジャック・ダニエルをひっかけ、クインが5分もすれば夕食が始まって階段周辺には人がいなくなると教えてくれたので、時間をつぶして部屋に戻りました。フリッツや清掃係を部屋から閉め出したため部屋は洋服と酒の空き瓶でぐちゃぐちゃでしたが、武器だけはきちんとしまい、身ぎれいにすると、ベッドに横になりますが眠れません。しまいに6か月前に貰ったきり、みていなかったダリウスの日記を始めて開いてみました。彼の孤独が感じられ、共感を覚え、眠りに落ちました。

第8章 1671年 古国 ダリウスは洞窟を通って廟の奥に向かうと、王や兄弟団が勢揃いしていました。王は戦士ではありませんが、尊敬を集める人物で、グライメラの未婚の娘がいなくなったと明かします。兄弟団のリーダーのアゴニーがいつ、どんな形でと質問すると、どうやら終餐を取らないで部屋に戻り、しばらくしてメイドが彼女がいないことに気付いたようです。大切な宝石のように育てられるグライメラの娘が攫われたとは。戦士よ、状況を把握し、悪を正してほしい、と王に命じられ、兄弟団は喜んで応じます。書の聖母の恵みがありますように、と王が言うと戦士たちは鬨の声をあげ、ダリウスも同調します。王の後ろから7歳の跡継ぎが姿を現します。この子は一族の未来だ。それに普通の子供なら兄弟が一人でも目の前にいたら身体がすくむものなのに、怖れ知らずで堂々としている。この子は一族が面している状況を知るために戦士として訓練されるかもしれないが、存在が貴重すぎて戦場にでることはないだろうとダリウスは思っています。

その場にはハームとその息子もいましたが、父親は子供にまったく関心がないようです。アゴニーが、誰かがあの子に注意を払ってやらんととダリウスに言っていました。王と王子がアゴニーに付き添われて退場すると、担当の地域はどうするとトーチューから全体に問いかけられます。息子に構わずさっさとその場を去ろうとするハームに、ダリウスはもしも構わなければ私のチームに衛生兵として彼を加えてもいいかと声をかけます。俺には自分の息子の面倒も見れないというのか、と突っかかってくるハームにダリウスも一歩もひきません。もしお前が息子を連れて戦闘にでて彼が死ねば、お前の名誉は一生汚されるだろう。私が重荷を引き受けてやろうというと、ハームはお前のことは一生好きになれん、と抵抗しますが、もし同意しないならこの場で殴り倒してやるとダリウスに言われて、もうこいつは俺の息子じゃない、絶縁するといって出て行ってしまいました。戦士が複数いる洞窟は静まり返ります。表情が死んだようになっている子供に、やあ俺はダリウス。君と一緒に戦うことになったと話しかけ、あの女性を助けに崖にむかうぞというと、子供がダリウスの胸に手を当て、足手まといにならず役に立てるよう努力します、といって頭を下げます。求められないというのは辛いことだ。ダリウスが名前を聞くと、トールメントと答えます。一緒に聖域をでて非実体化するとき、ダリウスの胸は家族をみつけた、という思いがわきあがりました。トールメントは血統が理由で兄弟団の入団前にあの場にいることを赦されていただけでしたが、ダリウスは彼を失うつもりはありませんでした。ずっと息子が欲しいと思っていたのだから。


第9章 南カルフォルニア州チャールストン20マイル郊外にて パラノーマル調査番組のディレクター グレッグ・ウィンは、プランテーションスタイルの豪邸のB&Bに到着して興奮しています。4回も電話でアポイントを取ったにもかかわらずよい返事を得られていませんでしたが、機材とスタッフと共に押しかけてきました。執事がけんもほろろに撮影を断りますが、閉じられかけたドアに足を挟んで粘っていると、滞在を終えたカップルが出ていき、部屋は空いているだろ?と強引に入り込みます。執事は渋い顔ですが、3階には絶対に立ち入られませんように、といって部屋に案内します。

壁にかけられた油絵は美術館クラス、絨毯はペルシャ、家具は19世紀のアンティーク。ワオ。AランクのB&Bでもここまでのレベルではないだろう。ここで何が行われているんだろう? 部屋のあちこちにエリヤフー・ラズボーンの様々年代、様々な背景の肖像画が飾られていました。これが北へのルートをつなげ勇気を鼓舞し、たくさんの命を救った伝説の奴隷制廃絶論者か。これは絵になるぞ。司会のホリーに、執事をなんとか篭絡して自由に撮影できるようにしろと指示します。10日以内にここで中継を繋いで特別番組を放映すれば、エミー賞は間違いない。

第10章 ジョンはゼックスの夢を見ていました。彼は気が狂うほど彼女を求めていました。私に印をつけて、私で身を養ってとゼックスに言われて、従い、自分も与えたいと思って体勢をかえるとこれはそういうことじゃないの、といって拒絶されてしまい、ショックで目が覚めました。携帯をチェックするとトレズから189通り×102フランシス通りという連絡がきていました。ラッシュの世界のほころびをつかんだぞ。ゼックスは死んでいるかもしれないが、復讐ができないってわけじゃない。

ブレイがジョンの部屋をのぞくとジョンがおらず、クインもやってきました。うっかりブレイがクインの身体にぶつかり、よろめいたところを支えてもらうと、すぐに身体を放しました。クインが俺たち、どうしちゃったんだよ、目も合わせてくれないのかと言いますが、ブレイの頭の中にはボニー・レイットの♪ I can't make you love me if you don't You can't make your heart feel something it won't(その気がなければ たとえどんなに頑張っても 相手の気持ちは変えられない 好きになってはもらえない)という曲が流れ、思わず笑いを押しだしました。ほっといてくれよといって部屋をでますが、クインが追いかけてきます。昨日の受付嬢はなんて名前だよ?と聞くとわかんね、と言われます。彼らを見ている時間は地獄のようだったのに、その相手はクインにとっては何でもないのです。それを言おうかと思ったものの、独占欲丸出しに聞こえることに気付き、ブレイは思いとどまります。

第11章 ジョンは屋敷を出る直前、Zにこんなに早く、護衛もつけず、どこに行くんだと咎められます。もう一度やったら、ラスに報告するぞと警告されます。Zの後ろにいたクインも、お前を止めたりしないのに、どうして俺にそんなことをできるんだとなじられます。陽が落ちる10分後までZは足止めし、さあこれでフライになる可能性はなくなった。出かけていいぞといいます。ジョンはZのことを尊敬していましたが、ジョンの皮膚は手掛かりを追いたくて固く張り詰めていました。非実体化しようという瞬間に腕を掴まれたのでクインだろうと思い睨むとブレイでした。お前が死に急ぐのは構わない。俺が死ぬのもしょうがない。でも周りを巻き込もうとは思っていないだろう。それについては黙っていないぞ。絶対にクインに黙って出かけたりするな。ジョンはしがらみはいらないから約束できないが、クインには居場所と帰宅時間は伝えるようにすると約束します。

エクストリーム公園につくと、レクサスが駐車場に入ってきて、レッサー達が降りてきます。一人がまた乗って去っていき、見送るのはジョンには難しいことでしたが、残りの人員を迎えに来るだろうと踏んで残ったレッサーたちを観察していますが、レッサーたちと銃撃戦となってしまいます。

ラッシュは父の元から帰ってきてベッドでぐったりしていると、ミスターDから男を確保しましたとテキストで連絡がきます。仕事を済ませたら鎖で彼女を縛り上げてやろう。すぐに戻るからな。北の農場に非実体化するとオメガが現れ、いつになったら真実俺のものになるのだと聞きます。リビングルームにはオメガの暗いパワーが満ちていて、腹が減った、もっと生肉をよこせというとラッシュはお任せをと言い、そこにミスターDが生贄の羊をつれてやってきました。

第12章 ジョンは倒されたふりをしてレッサーを引き付けると、クインたちに合図を送り、生け捕りにします。ハマーを持ってこい、とクインに言いますが、クインはブレイに頼みます。クインはレッサーにお前、女を監禁しているだろう、どこにいる?と尋問します。答えないと更に平手打ちをして、お前たちのフォアレッサーが女を監禁しているだろう、と追及します。ジョンはレッサーに真のダメージを与えられる剣を取り出すと、レッサーは本気でもがきだします。クインはお前はしまいには話したくなるだろうよ、間違いないとコメントします。女は知らない!とレッサーが叫び、パトカーのサイレンが近づいてきています。猿轡をかませ、警官たちをやり過ごそうとします。

オメガの前に引き出された麻薬の売人の少年は、何をしようっていうんだとパニックになります。手足を縛られ、オメガが近づくと悲鳴が空気を引き裂きます。ラッシュは自分がされた時のことは覚えていなかったので、血を抜かれ、胸を切り開かれ、黒い血を注がれ、心臓を抜かれる様子を興味深く観察していましたが、オメガの元から戻ったときにできていた傷から血が流れているのを感じ、洗面所で確認すると傷が別の場所に増えていました。オメガに助けてもらおうと一瞬考えたものの、考え直します。再生は永遠のもの、というのが父の話だったのに。大丈夫ですか、と声をかけてきたミスターDに下はあとどのくらいかかる?と返事をしていると猛烈な飢えが襲ってきて、気づくとミスターDの喉首に牙をたてていました。

第13章 クインと二人でレッサーを抑え込み、警察が立ち去るのを待っていましたが、クインがこいつを始末してずらかろう、と言い出し、なんとしても情報を得たいジョンともめているとレッサーが逃げ出してしまいます。背中から二人ともナイフを投げ、レッサーは消滅しますが、ちょうど駆けつけてきたブレイの運転するハマーに飛び乗り、その場から逃げ出します。

ひとまずサルの店の駐車場に落ち着くと、ジョンは怒りでクインの首を締め上げますが、クインも俺はお前の敵じゃない。死んだら意味がないじゃないかと説得します。ジョンは彼女を救いたいという気持ちでおかしくなっている自覚はあり、捜索し続けられるように、ラスに知られて面倒なことにならないように、クインと一緒に捜索することには同意します。トレズが出てきて、もう一度フランシス通りにいくなら血の汚れを落としていけよと声をかけてくれ、その間にナンバープレートを替えておいてやるからと言ってくれます。

第14~16章 ジョンたちがフランシス通りにつくと、ちょうどレクサスが到着して、背の低いレッサーが降りてきたところでした。ジョンは確実にラッシュを追いつめたいと考え、レイジに応援を要請し、すぐにVと駆け付けてくれます。ラッシュがその場に現れずがっかりしますが、レクサスを追跡します。車は高級住宅街へ進んでいき、普段レッサーがねぐらにする地域とは異なるため、ラッシュの住まいに案内してもらえるのではと期待します。車を降りて屋敷へ入ってい警備装置を解除するレッサーを追いかけてレイジはジョンと裏口にまわり、Vとクインたちは玄関へまわって屋敷に侵入します。

ゼックスは警備装置を解除されたあと、いつも違う気配に感覚を研ぎ澄ますと、注意深く戦略的な動きをする人が5人屋敷に侵入したのを感じます。兄弟団だ! 探しだしてくれたんだ! レッサーを押さえつけると、女はどこだ?と問い詰めますが、無言ですが、チラっと視線が上に泳いだのを感じ取り、ジョンは上階へ駆けのぼります。レイジとVが彼の前に立ちふさがりますが、押しのけると、そこはボロボロで、血まみれの部屋が待っていました。ベッドの上の枕カバーはビリビリになっていますが、ジョンが匂いを嗅ぐとゼックスの匂いが残っています。一歩違いで間に合わなかったのか・・・。ショックをうける姿に、レイジたちもジョンにとってゼックスがどういう存在なのか感じ取ったようです。

ラッシュの魔法により亜空間に閉じ込められているゼックスは兄弟団たちが去っていき、屋敷が知られてしまったとわかれば、自分は移動させられもっと発見されるのが難しくなるだろうと思います。死んでいく気分というのはこういうものなのか。そっとジョンの頬を包み、彼の涙をぬぐって愛しているよと伝えます。ジョンはゼックスの気配を強く感じ、何かが頬を触れたような気がしますが、おかしくなっているせいに違いない。ゼックスは無駄とわかっていても、生存本能が理性を上回り、部屋を飛び出そうとして、悲鳴をあげます。階下に降りてレッサーのそばにいたジョンは、突然戦闘本能が燃え上がり、牙は伸び、意識が飛びました。気が付くと壁には黒い血しぶきが飛んでいて、クインが話しかけてきているようです。誰かに車に運ばれている気配がして、ハッとします。枕カバー。持ってこなければと意識がはっきりしますが、ブレイが持ってきてくれていたことがわかり、意識を失います。

ラッシュはミスターDの血を吸ったことで、ある程度回復したものの、怪我が治るというほどではありませんでした。着替えを持ってこいと、屋敷まで取りに行かせたのに戻らないため、毒づきながら帰宅すると、ドアが開けっ放しになっていて屋敷が襲撃されたことを悟ります。ゼックスを奪われてしまったかと思って見上げると2階の窓越しに彼女の姿が見えたため、あてもなく車で周囲を流します。

ラッシュは男の血を吸っても気分がよくなかったことを考え、ヴァンパイアは異性の血でないと力にならないから女のレッサーから血を吸うべきだと気づき、ゼックスをレッサーにすれば、すべてうまくいくと思いつきます。

第17~18章 下の階からレッサーの断末魔の声が聞こえてきたあとに兄弟たちが慌ただしく出ていく気配をゼックスは感じ取ります。精神と肉体だけは自分のもの、ラッシュに奪われるときは、あいつも連れていくと考えていると、ふと自分が閉じ込められている亜空間にひび割れのようなものが出来ていることに気付きます。ラッシュが弱っているのか、どんな事情でそうなったのかはわかりませんでしたが、ゼックスは全力で窓をたたき割り、更に全身で突破を試み、結界の外に転げ出ました。誰かが戻ってきた気配がして、扉を開け、ラッシュに捕まりたくない、という一念で、本能的に非実体化し隠れ家へ移動し、気を失いました。

ブレイはVやレイジと再度レッサーたちの情報を集めるため、屋敷の捜索に戻りますが、ドアが大きく開け放たれて、人間の泥棒でも入ったかと思います。ジョンの態度から、おそらくあの部屋にゼックスは監禁されていたんだろうと想像していますが、新鮮な野菜など食料品がストックされていることに気付き、世話はよくされていたんだと思います。みて回るうちに少し違和感を感じる箇所があり、ナイフを入れてみると隠し場所になっていて、そこから大量の現金が発見され、Vの指示ですべて持ち帰ることになります。

帰宅してジョンの寝室にいくと、クインに付き添われて休んでいましたが、内面のショックで消耗してしまっているようです。ライラが呼ばれたようで、部屋を訪ねてきました。ライラはクインのほうに恥ずかし気な視線をちらっと向け、ブレイはひょっとして彼女はクインのことが好きなんじゃないかという印象を受けます。ジョンはクインが身体を起こしてやっても、ほとんど反応をみせませんでしたが、クインがジョン、元気にならないとラッシュを追いかけられないぞというと、ライラが差し出した腕に噛みつき、飲み始めます。ブレイとクインは酒を回し飲みしながら見守っていましたが、グラスを口移しで飲んでいることに気付いて欲情してしまったブレイは部屋を出ます。

パインは毎日午後訪問してくれるラスとのスパーリングを楽しみにしていました。彼は体格的なアドバンテージがありますが、彼女にはスピードがあります。あまり話をしたりしませんが、彼女に初めてできた友達でした。スパーリング後に二人で身体を清めていると、ラスが仲間の女性ひとりが殺された。気が付いていなかったんだが、その女性とジョンが深いつながりがあったようだ。ジョンは本当にいい子なのに、まったく伴侶を失った男っていうやつは・・・。そこに書の聖母が現れ、パインはラスに挨拶をしてその場を去ります。

パインが共同浴場で泳いだり髪を洗ったりリラックスしていると、手首に噛み跡をつけたライラが現れます。寂しげな風情に、上手くいかなかったのというと、女性として奉仕したいのに、血の奉仕しかさせてもらえないという悩みを打ち明けられ、パインは面喰います。あちらの兄弟団の方たちもお若い3人も力強く素敵な方ばかり。本や教えで学んだことを、私も早く体験したいのに、とライラは嘆いています。二人にジュースと軽食を”無名の者”が静かに運んできてくれました。ラスは目が悪いというハンディキャップがあっても王になれたけれど、巫女から産まれてハンディキャップをもつ女性たちはそこまで運がよくない。無名の者として巫女たちに無言で使える立場に置かれるのだからとパインは思います。パインとライラは、一緒にお茶を飲まないと誘いますが、無名の者は黙って下がっていきました。

第19章 一夜明けてもラッシュの携帯には誰からの連絡もありません。今まではミスターDがすべて仕切っていたので、レッサーたちもラッシュに連絡が取りようがないのです。あいつは思ったより優秀だったのかとぼんやり思います。ラッシュはオメガの元へ行き、もともとヴァンパイアから変化された自分には生理学的にヴァンパイアの女性の血が必要だと説得し、今晩ゼックスを連れてきますのでレッサーに変化させてくださいと頼み、オメガも了承します。

ラッシュが帰宅すると、キッチンでミスターDの手足は身体から切り離されバラバラにされていましたが、首は胴体についていて、食器棚に吊るされていました。ラッシュは毒づくと、あわてて二階に駆けあがりますが、ゼックスの姿はありませんでした。夜中の1時の父との約束までにゼックスを取り戻すか、代わりの者を確保しないと。

ジョンの寝室にドンドン!というノックがあり、誰も入ってこないので、ジーンズをはいて扉を開けるとラスや兄弟たち全員がいました。彼女の遺体が見つかったんですか? 手話で急いで聞くと、リヴェンジが彼女は生きていると教えてくれます。携帯に伝言があった。4番だ。ジョンは録音を聞きますが、確かに彼女の声です。「リヴ、私、逃げ出せた」苦しげな息遣いで「私は大丈夫。でも元通りになるには少し時間がかかるから、みんなに私は大丈夫って伝えて。それとラッシュは私の獲物だからね、絶対」リヴェンジは、ゼックスがここから15マイルほどの場所にハドソンリバー沿いの狩猟小屋を所有しているからそこに潜伏しているのではないかと考えているようで、ジョンに一緒に行くかと聞いてきます。ゼックスが監禁されていた部屋での振る舞いで、ジョンがゼックスに絆を感じているということは兄弟団で周知の事実になってしまったとジョンも悟ります。行くと伝えますが、リヴは来るならジョンだけだ、過敏になっている彼女とトラブルになる可能性がある、クインは遠慮してもらいたいというと、クインが反発しますが、ラスが戦闘はしないという約束で、今回だけだと護衛抜きで外出するのを特例として認めます。

ゼックスの生存の喜びに全身が洗われる思いで涙があふれたジョンは、リヴのベントレーに乗り込むと、リヴが二人はいつからなんだと聞かれます。初めて会った時から。両想いなのかと聞かれると、首を振ります。彼女らしい、とリヴは言って車をスタートさせました。


第20章 ダリウスはトールメントと共に誘拐された女性の家を訪れました。誘拐された日から2日経っています。挨拶後にグライメラの高い地位にいる女性の父親が軽食でもいかがですかと勧めてくれますが、早速ですがお嬢さんについてのお話を伺わせてくださいと頼みます。父親はあの子は私の世界の光で、大切に育ててきて、高い価値と手付かずで道徳的な娘ですと話しますが、ダリウスだけに、遠回しに娘に何かあった場合は生きて戻れば家の傷になるということを伝えてきて、ダリウスは内心嫌悪感を覚えます。汚された娘が生きて戻れば家の恥で数世代に渡って蔑まされますが、遺体がお棺に入って帰宅すれば、表面的な同情は得られて残された家族にとってまだまし、という事態が想像がつき、グライメラの社会をダリウスはうんざりだと感じています。

まず娘の部屋を何もさわらないように二人で見て回りますが、トールメントがかすかに赤くなるのをみて、女性の寝室に入ったのは初めてか、これは仕事だと助言します。豪華なドレスも、宝石もなくなった様子がなく、部屋の窓などもこじ開けられた形跡がありません。娘自身が誘拐犯を招き入れたのではないかと思い始めます。もしくは駆け落ち? ダリウスは道に迷ったふりをして屋敷の使用人の生活圏に入りこみ、詳しい事情を知っているかもしれない娘付きのメイドと従者に聞き取りをします。


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