美味しいワインと出会う旅

2007/10/27(土)18:02

ワインの味

ワインについて(92)

ニューワールドワインとフランスワインの違いは好みと天候による所が大きいのだと思います。 雨が多いボルドーやブルゴーニュでは完熟前に収穫を行う事が多く、果実味の薄いワインが出来ますが、十分な酸やタンニン、エキス分、香りは持っています。 カリフォルニアや豪州では日差しが強く糖度が上がります。この地でアルコール度数12.5度位の熟度で収穫すると、逆に味の薄いワインになってしまいます。まだ熟れていないのに糖度が高いからです。完熟を待って収穫するとアルコール度数は14~5度になり、果実味も強くなります。  フランスでは料理に合う、飲み飽きしない(でしゃばらない)エレガントなワインが好まれます。アメリカや豪州では果実味の強いパンチのあるワインが好まれる様です。食文化の違いだと思います。 フランス人は果実味の多いワインは元々好きではありませんでした。果実味の強いワインは低価格のリサイクル瓶に入ったワインとかAOCでもボジョレーやACローヌ止まりで、ボルドー、ブルゴーニュは若いうちは渋いか酸っぱいワインが多く、10年以上寝かせて飲むのが常識でした。 そういう事で70年代以前のフランスワインはあまり果実味を感じないワインが多かったのです。今70年代のワインを飲んでも、もうかなり熟成しているので分りませんが、エグミと苦味の強いワインか酸みの強いワインが多かったです。 フランスではワインブームの逆で安いワインを飲む人が減って、フランス人のワイン消費量は激減しています。しかしフランスでは逆に高級ワインの消費は伸びて来ています。元々高級ワインはお金持ちが買ってじっくり寝かせてから飲む貴族的な飲み物だったのが、所得の多い人が増えて誰でも高級ワインを飲むようになった影響だと思います。特にレストランで外食する人が増えて伝統の無いレストランでもワインを提供するようになると地下のカーブなど無いですから当然若いワインをドンドン売る事になって4大シャトーのワインも若い内にその殆どが消費されるようになってしまいました。それに合わせて若飲みようのセカンドラベルが続々と作られたのだと思います。 ライフスタイルの変化に合わせてワインの味も変って行くのです。     最近世界的な趣向の変化と若飲み用のワインを作るようになってフランスでも果実味の強いワインを作るようになりました。高級ワインを作って直ぐに飲む時代に変って来た為にワインの造りが変ったのです。   そして此処数年続く温暖化がフランスワインの果実味を更に強くしています。また南フランスではカリフォルニアワインに対抗したワインも作られています。ワインの味も天候と趣向に合わせて変って行くのです。醸造技術はそれを後押ししているだけです。 

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