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カテゴリ:スキー(山スキー・ゲレンデ練習)
大戸沢北東尾根で大苦戦してきました。メンバーは、Iさん、Dやん、Romiの3人です。7時に下大戸沢スノーシェードに着きました。雪は止んでいましたが風が強い。そして何と言っても雪が多い!これは山頂は無理そう。 準備をしてると、会津ナンバーの車が『先週まで暖かくて、みぞれが降って、大雪だったから気を付けてな。』とか『俺は行かないんだ。』とか止まって心配そうに注意してくれました。 私達の後から、会津ナンバーの軽トラと都会車っぽい車2台が来て山スキーの準備を始めたので、ちょっとホッ。会津ナンバー軽トラのお兄さんは『暖かい日が続いて雪が減り続けてたのに、急に麓でも50cm積もった。森林限界内で遊んで帰る。』と言っていました。私達もそのつもりで出発しました。Iさんはスプリットのボード。Dやんはスノーシューでボードを背負います。Romiはスキーにシールにスキーアイゼンです。 途中、暖かい日と大雪の境目が心配だったので、登る前に弱層テストしてみました。新雪は60cm積もりその下に氷の層。氷の層はしっかりくっついていて、腰を入れて引いてもはがれませんでした。でもその上の新雪は一様ではありません。表面から30cmはフカフカだけどやや重雪。その下にまるで空洞の様に軽い雪の層が3~5cm位積もっていました。この軽い雪の層は腰で引くと崩れる感じ。やや安心して1386の尾根に取りつきました。 雪は深くてラッセルは大変でした(Romiは最初の平らな所を少しラッセルしただけですが…)。でも、フッカフカの良い雪~♪ いつも元気なIさんですが、あっという間にペースが落ちます。軽トラのお兄さんがすぐに追いついてラッセルを変わってくれました。私達は急斜面とその前後をラッセル。IさんとDやんが交互にラッセルしてくれました。ボードのスプリットで幅の太い板で登るIさんはもう少し直登できますが、Romiに合わせて緩やかなジグザグを刻んでくれました。 1386の手前で会津ナンバー軽トラ兄さんチームに抜かれた頃、 軽トラチームの人達と顔を見合わせました。何故かIさんだけ聞こえなかったみたいですが、すごい音でした。三つ岩岳方面から聞こえたような気がしました。どこかの南斜面かなぁ。怖いので尾根の端でキックターンする時は前の人と間を空け手前で待って登っていましたが正解かも? 天気はだんだん回復してきました。太陽も出てきました。風は強く吹く間隔がだんだん開いていきます。1386に10時半。見上げると、山頂は無理でも鞍部へは届きそう。雪もフカフカ~♪でも1386の少し上の風が吹き抜ける所は、ガリガリでした。Romiは1386から滑りたくなりましたが、元気に抜いて行った男性2人が山頂をめざしてるのを見たIさんは登りたそう。 もう少し登るとやはりフカフカでした。スノーシューのDやんが雪を踏みぬき始めました。相当辛そうです。Iさんが自分のスプリットとDやんのスノーシューを交換して登りました。この時I隊長、既に山頂を目指す気だったのでしょう(^^; どうやら下で掘った時3~5cmだった空洞みたいに軽い雪の層は上では30~50cm位あるみたいです。登る道具を交換したIさんとDやんですが、Iさんの方がスノーシューで踏みぬかずに登れていました。が、森林限界を超えると、Iさんも時々踏みぬくようになりました。 ←ラッセル道でも腰まで踏みぬいています。 シールで登るDやんとRomiは全然踏みぬきません。後から登りだして抜いて行った2人と、いつの間にか軽トラ兄さんチームの内の3人が山頂を目指して登ってるのが見えました。30分位離れているみたいです。軽トラ兄さんとその他の人は1553辺りで滑る準備をしていました。 山頂直下に14時。先行していた5人のうち3人は来た尾根を戻りました。2人は北東尾根へ向かって滑り始めました。私達もすぐに準備して滑り始めました!雪質はフッカフカ。 でも止まると、ズズッと沈みます。まるで皮の厚い巨大最中雪。掘らないと出られません。 滑るスピートが遅いRomiは沈んじゃって進まないっ!仕方が無いので後傾ボーゲンで無理やりスキートップを浮かせて滑ります。でもこの姿勢は空気椅子状態で、腿が持たないかも~っ(´O`; ひそかにDやんも苦労していました。止まって埋まったIさんを待つ間、座り込んだら沈んで立てなくなっていました。 空気椅子状態で滑るRomiの腿はあっという間に終わってしまいました。浮力の足りない発泡スチロールに片足ずつ乗って、水の上でバランスを取ってるみたいです。しかも空気椅子。右足が沈むとあわてて左足に乗り、また左足が沈んで、、、グラグラ、グシャ。っと何度も転びました。 転ぶと上半身があっという間に沈んで起き上がれません。ストックはまるで役に立たない。何処までも沈む蟻地獄。板を脱いで浮力の足りない状態で履き直しますが、ものすごく体力を消耗します。Iさんにスノーシューに履き替えるよう提案されますが、スキー板でもへそまで沈むのにスノーシューでは進める気がしません。1547を過ぎ急斜面に入ったので履き替えようと思った時、板を交差して転んでしまいました。 今度は板がくさびの様に雪に刺さって抜けません。もがけばもがくほど身体は谷側に落ち、ますます板を脱ぐ事が出来なくなります。やっと右の板が抜けましたが疲労困憊。左足を抜く事が出来ず、起き上がろうとして十字にしたストックに体重を載せる度に上半身が雪の中へ沈んでいきます。雪に板が刺さったままの左のアキレス腱が伸びきって悲鳴をあげました。 「アキレス腱が切れたら自力下山は出来ないっ!」 笛を吹いて無線でIさんを呼びました。でもIさんもDやんも200m位下に居ました。スノーシューで登ろうとしてくれましたが30~40分かかりそうと言います。左足はそんなにもちそうにないっ!疲れ果ててだんだん動けなくなってますが、とにかく自分で何とかしなくっちゃ! 自由になった右の板は脱げました。その板に上半身を載せ起き上がろうとするけど、やはり沈みます。自由になった右足で左足を掘りますがつま先が見えません。今年Romiは板を買い換えてビンディングも軽い物にしました。今度のビンディングはつま先の金具を押して脱ぐタイプです。しかしつま先が深く潜ってて見つからない。焦るとドンドン動けなくなっていきました。Iさんが無線で焦らなくて良いよと言ってくれました。そうだ落ち着かなくっちゃ! 幸い雪は軽いです。空洞の様な軽い雪まで沈んだ上半身は掘れば掘る程崩れてきますが、足はまだ浮いています。右足でゆっくり掘ると左足が出てきそうです。休み休み、これ以上沈まないように左足を掘り出すと、ありましたっ!ビンディングが見えたーっ!高い所にあるストックを拾って、やーっと左足が自由になりました。しかし心底、疲労困憊。起き上がろうとしますが、雪の中に沈んでいくばかりで起き上がれません。しばらく休んで、ザックから腕を抜き、ザックにまたがる様に起き上がりました。 板を履いてもへそまで沈む巨大モナカ雪の中でスキー履いても、もう滑りだす事は出来ないでしょう。ザックの上に座りながらスノーシューに履き替えました。ヘトヘトでうっかりザックから落ちそうになりますが、今度転んでも起き上がる体力は残っていません。ゆっくり、必死でスノーシューを履きました。沈んだ雪の中で脱げたら大変なので慎重に履きました。そして板を付けたザックを背負い立ち上がると、、、胸まで沈みました。 もう泣きそう。でも泣いてたら家へは帰れませんっ。今度転んでも起き上がる体力はないし、左のアキレス腱が切れるかもしれない。少しだけビパークを覚悟しました。慎重に2人の所まで泳ぎました。途中、Dやんがスノーシューで登って来てくれたラッセル道に出ると、やっと、「ああ、帰れるかもしれない。」と思えました。 Dやんもスノーシューでラッセルしてくれました。Iさんは先へ滑って、状況を無線で知らせてくれます。Romiはスノーシューハイクでは大股で落ちながら歩けるのに、アキレス腱が痛くて、せっかくの急斜面を早く下れませんでした。時々、腿に全く力が入らずノーブレーキ状態で転びそうになりますが、何とか腰を落として耐えます。 Iさんが無線で下の緩斜面はモナカだと教えてくれました。もうRomiには緩斜面でも板で滑る選択肢は無くなりました。どんどん力の無くなっていく足とアキレス腱の痛みに不安を覚えますが、シールになれば使う筋肉が違うので大丈夫そう。1386北面との合流地点でうす暗くなり、板シールに履き替えると真っ暗になりました。スノーシューからシールに履き替えると、見違えるようにラクになりました。ヘッドランプで車に帰ったのは19時半でした。 体力が無くなる前に、帰れて良かったぁ~! 翌日落ち着いてから岩木山神社のおみくじを思い出しました。 "願いは叶うでしょう。でもそれで心おごり災いと転ず" 山頂には届きました。 勉強になりました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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