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白夜3.98

白夜3.98
今日漸く10巻まで観終わった。

多くのドラマの最終回が、「泰山鳴動して、ねずみ一匹」の感があって、なんだ今まで散々引っ張っててこれかよって、がっかりするエンディングで腹立つ。
酷い時には、今まで観続けていた私の時間を返せとまで、怒り心頭に発す事もある。
だからドラマに見切りをつけて、早数年。
ビョンホンのファンになってから、彼のドラマだけは観ている。
それでも20回以上を観続けるのは、正直しんどい。
ずっとドラマの緊張感やテンションが続くと良いが、ほとんどが中だるみに陥る。
それを辛抱強く乗り越えるのは大変なんだ。
私は根っからの映画人間で、撮影されたフィルムをカットし繋ぐ編集を経て、2時間の作品として完成する、そんな映画が大好きだ。
撮影された素材を生かすも殺すも編集次第。
有りとあらゆる所、微に入り細に入り、細かく計算されて、監督、スタッフ、出演者全てが担当した部門で、精一杯力を発揮させ、その力を結集させる。
そして全員の才能を、一つの作品の中で調和させる。
映画はドラマより、圧倒的に時間が短い。
しかし観て、出演者の演技役作り、演出、撮影、映像、照明、衣装、多面的に楽しめるのが映画である。
そこが総合芸術と言われる所以である。

しかしこのドラマが違った。
最終回は一番引き付けられた。
最初は観易かったのだが、物語が進むにつれ、登場人物が多くなったり、筋が複雑になったりした。
この部分はそれぞれの国民、特に北朝鮮と言う国とその国民を説明する為には、必要なアイテムの一つだとはわかってても、本筋ではない部分が結構長い時間を費やして描かれていたりして、早く本筋を描いて欲しいと思った事もあった。
最初で主役のミン・ギョンビンが、指導教官と一緒にテスト飛行していて、機体にトラブルが発生して墜落する。
その時にミン・ギョンビンだけ助かり、指導教官は機体と一緒に墜落して死亡する。
その後ギョンビンは裁判で、軍部がアメリカから輸入しようとしている、この爆撃機は韓国には不向きであって、実は軍部はそれがわかってて、輸入を決めテスト飛行させたと証言する。
韓国では未知のスピードを出す事は、韓国の上空では事故に繋がる。
指導教官もギョンビンも初めて体験するスピードだった。
そして案の定事故発生。
ギョビンにとって、指導教官の死は不慮の死ではなく、故意の死であり、防ごうとすれば防げた死としか思えなかった。
その後ギョビンは退役して、大学に復学する。
北朝鮮のテロリストのタランチュラは、少年時代に幼馴染のアナスターシャが、ロシアに亡命していた父を追い越境するのを助ける。

ドラマは韓国のギョンビンと北朝鮮のタランチュラが平行して描かれる。
2人の縁はタランチュラの父親が、ギョンビンの父親を殺した所から始まっていた。
2人は2つの国と一人の女性アナスターシャを通して、片方は陰謀を阻止し追う者、片方は陰謀を遂行し逃げる者と立場や使命は違うが、国を愛する気持ちと女性を愛する気持ちは同じだった。
使命を遂行しようとする2人の男の周りで、大勢の人間が死んで行く。
その度に死んで行く者の無念さと、残される者が十字架を背負って生きて行く辛さが、胸を打つ。

そして最後、ギョンビンを物語の最初にリンクさせて描いていて、ここに辿り着くまでに、この時のギョンビンの気持ちに説得力を出す為には、今まで全ての事が必要だったんだとわかった。
ギョンビンの胸の内を知ると、切なくて、切なくて、涙が出る。
そして自分の目の前で、自分が過去に愛した男と、現在愛している男が死んで行くのを見守るしかない一人の女。
辛すぎる。
居たたまれない。

最後にアナスターシャに言い残す、ギョンビンの言葉が胸に突き刺さる。

年齢やそれぞれの役柄の為でもあるが、タランチュラに扮するチェ・ミンスの存在感が、ドラマの中で多くを占めていた。

しかし最後のシーンではビョンホンは、堂々チェ・ミンスと渡り合っていた。
演技力も存在感も堂々としたものだった。
本当に良い演技をしていたと思う。

最後は涙が出て止まらなかった。

韓国や北朝鮮は、今も戦時下にあり、板門店で対峙している。
それぞれの国民の気持ちは、我々日本人には計り知れない物がある。
国を愛する気持ち又憂う気持ちは、憲法で戦争放棄をしていて兵役もない日本の国民の自国を思う気持ちとは異質な物であり、明らかに重みが違うと思う。

国の為に自分の命を捧げる。
それは崇高な事なのだろうか?
悲しむ人間がいると言うのに。
ギョンビンが目の前で怪我をした北朝鮮の兵士を病院に担ぎ込み、そのベッドの横で、あなたの母親はあなたの命と勲章と、どっちを喜ぶだろう?と語る。

・・・そんなギョンビン、あなたも・・・(涙)

でも国は救われた。

あぁ、遣り切れない。

人間が存在する限り、戦争やいがみ合いは続くのだろうか?




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