作者 倉麻るみ子(PN&HN)
―次の日―
ラルド「・・・ぅうん・・・、」
ラルドは目を覚ました。
しかし、カインの姿はなかった。
ラルド「カイン・・・、カイン・・!」
その場で、カインの名を呼ぶ。
だが、返事がない。
ベッドから降りて、家の中をうろつく。
すると、何処からか良いにおいがしてきた。
そのにおいを辿ると、キッチンに着いた。
そこには、必死に朝ごはんを作るカインの姿があった。
ラルド「カイン・・・。」
カイン「・・・ん?・・あ、おはよラルド!・・・っていってーー!!!」
余所見をしたせいか、包丁で指を切ってしまった。
ラルド「馬鹿者・・・。」
カイン「馬鹿なのはそっちだろ!!いきなり話しかけてくるから、指切っちゃったんだろうがよ!!」
ラルド「・・・すまない。」
カイン「あ、あぁ・・・。」
すこし、あじけない返事をした。
ラルドは、カインの指を見てそこに両手を包み込むようにして翳す。
すると、ラルドの手から金色に輝く光があふれ、指の傷を治していった。
ラルドは、眠そうな目をこすってその場を離れる。
カイン「ラルド・・・、お前・・・、その力あるんだったら、何であの時使わなかったんだよ!?」
ズコ―――――――――――――――!!!
こけそうもないラルドが、かなりの勢いでこけた。
そして起き上がり、カインに近付き見上げる。
ラルド「馬鹿者ぉぉぉ!!!!使えるわけがなかろうが!!!」
そして、叫ぶ。
カインは耳を押さえる。
ラルド「腹を刺されて、自分で直すやつが何処にいる!?」
カインは「ここ」と言うように、ラルドを指差す。
ラルド「~~~・・・馬鹿者!!!もう知らん!!!私は寝る!!!」
ラルドは、足音を立てながら、寝室へといってしまった。
カイン「何だ、あいつ。せっかく俺が朝飯作ったやつを、一緒に食べようと思ったのに・・・。」
ラルドは、ベッドで仰向けになり、天井を見ていた。
そして、あの夢の事を考えていた。
すると、あの時病院で感じた気配を、再び感じた。
ラルド「・・・またお前か・・・。」
???「フフ・・・、そのセリフ、何年以来だろうね♪」
ラルド「そんな事はいい・・・。さっさと出て来い・・・。」
???「そのつもりさ♪」
その気配は、部屋の隅から現れた。
そして、ラルドはその姿を見て驚愕する。
ラルド「お、お前は・・・、夢で見た・・・!」
???「そうだよ。ボクはウランだよ。覚えていてくれて嬉しいよ。」
ラルド「悪いが、私はお前の事など覚えてはいないぞ!」
ウラン「うーわ、酷いねぇ・・・。ボクは全部、覚えていたのに。」
ラルド「・・・ところで用件は何だ?」
ウラン「この前と同じ。世界を破滅させようよ。」
ラルド「断る。」
ウラン「やっぱりね。だったら力づくでもやらせなくちゃ。」
ラルド「待て。お前は、どうしてそこまでして世界を破滅させようとするんだ?」
ウラン「全部が憎いからだよ。それにもう、ボクは傷付きたくないんだ!」
ラルド「どこかで聞いたようなセリフだが、・・・気のせいか?」
ウラン「気のせいだよ・・・。・・・さ、来てもらうよ!」
ラルド「だから断る。」
ウラン「わかんないやつだな・・・。」
ラルド「判らないのはそっちだ!」
ウラン「だったら、戦って決めようよ。ボクが勝ったらボクと一緒に来てもらう。
君が勝ったら、ご自由に指名を。・・・どうだい?」
ラルド「馬鹿馬鹿しい・・・。」
ウラン「嫌だったら強制的にボク、君を連れてくけど?」
ラルド「・・・。」
ラルドは仕方なく、ベッドからおり戦闘体勢をとる。
ウランも戦闘体勢をとる。すると・・・、
カイン「おーい、ラルド~!朝飯出来たぞ~!」
といいながら、カインが部屋に入ってきた。
そしてカインが一瞬固まり、すぐに我に変える。
カイン「ラルド!この女の子誰だよ!?」
ウラン「ボクは男だ!!!ラルド!!何だよこいつ!!?」
ラルド「こいつはカイン。私の封印を解いた者だ。・・・でもってこっちがウランとか言うわけの判らん奴だ。」
ウラン「待ってよ!訳がわからないなんていうなよ!!」
ラルド「私は本当のことを言っただけだ。」
カイン「とにかく、お前俺の部屋で何しようとしていたんだよ!」
ラルド「戦闘。」
カイン「馬鹿か!俺の部屋吹っ飛ぶだろ!?いや、家自体が吹っ飛ぶじゃねぇか!!」
ラルド「大丈夫だ。最近は人を10人まとめて飛ばすぐらいに下がっている。」
カイン「いや、それもヤバイって!・・・とにかく戦うのはやめろ。
それより、朝飯にしようぜ!・・・ほら、ウランだっけ?あんたも、こっち来いよ。」
カインは、2人を誘う。
2人は、その言葉に誘われ食事場へ・・・、
ウラン「とりあえず、戦うのは一時休戦だよ。まずは腹ごしらえから。」
ラルド「お前も諦めが悪いな。」
ウラン「フン。」
第6話へ続く
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