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無尽の鎖 第6話

無尽の鎖 第6話「3人 ―The big tether―」
作者:倉麻るみ子

(第5話からの続き・・・)
ラルドとウランはイスに座り、カインがオムライスを三人分持ってやってくる。
二人分は両手に、後一つは頭に乗せている。何て安定力がある人だ。

カイン「はい、俺特性オムライス!どうぞ召し上がれw」

カインが、オムライスをテーブルに乗せそういった。
ウランは、目を輝かせながらオムライスを見つめる。
何せ、美味しそうなにおいもするし、出来立てと言うように湯気が立っている。
おまけに卵は半熟で、かけてあるのはデミグラスソース。
目を背けるものは誰も居ないだろう。

ウラン「た、食べて良いの?」
カイン「当ったり前だろ?何の為に三人分作ったんだよ。」
ウラン「それじゃ、いっただきまぁすw」

ウランは、オムライスを一口食べてみる。

ウラン「ぅ・・・美味ぁいwww」

ウランはよりいっそう目を輝かせてそういった。

ウラン「この卵の固まり方といい、ソースといい、香りといい、全て完璧だよw
こんな美味しいもの初めて食べたよ~ww」
ラルド「たかがオムライスだろう・・・? そんな事で騒ぐな・・・。」
カイン「だったら、お前も早く食べてみろよ。」

ラルドは、オムライスを一口食べる。

ラルド「・・・。」

無言だった。それから、一口ずつ口に運んでいった。その仕草が何気に可愛いw
それほど、オムライスが美味しかったのだろう。

カイン「気に入ってもらえて嬉しいよw」

そういい、カインもオムライスを食べる。
すると、ラルドとウランが同時におかわりを求めた。
もちろん言い方は違うが・・・

ラルドの場合は小さな声で「おかわり・・・」と呟き、ウランは「おかわりぃww」と、まるで小さな子どものように元気に言った。
やはりカインは、「ホントにこいつら14なのかよ?」と疑問に思った。
とにかく、2人におかわりを渡す。
二杯目を食べ終わって、二人はそろって「ごちそうさま」をいった。
やはりこれも、さっきと同じ感じで言った。

ウラン「さて、さっきの続きだよ。」
ラルド「待て、ここで戦うのは危険だ。カインもいるし、この家も吹っ飛ぶ・・・。」
ウラン「そんなの関係ないね。」
ラルド「そんな事いうと、もうあのオムライス食べられなくなるぞ。」
ウラン「う゛・・・判ったよ・・・、もっと違うところでやろう・・・。」

ラルドは「やはり、食べ物にはかなわぬか」などと思ってみた。

カイン「なぁ、戦うって、何でなんだよ?」
ラルド「さぁな、そう言う事になった。
で、私が負けたら、世界を破滅へ導かせねばならない。
逆には私が勝てば、勝手にしていいとの事だ。」
カイン「じ、じゃ、この戦いで世界の事が決まっちゃうのかよ!?」
ラルド「そう言う事だ。」

ラルド、ウランはカインの家から飛びだし、広い場所へと移動した。
カインもついていった。

ウラン「さぁ、始めるよ・・・。」

ウランはそういい、トゲつきの蔓の鞭を出す。そして、ラルドに突っ込んできた。
ラルドには、何も武器がないため衝撃波を飛ばすしかなかった。
その衝撃波は、軽々とウランによけられてしまった。
ウランは鞭をラルドに向けて叩きつけるが、ラルドも負けじと避ける。

ウラン「避けてばかりじゃ、キリつかないだろ!?」
ラルド「お前のほうこそ・・・。」

戦っている二人を、影で見つめるカイン。
もちろんラルドを応援しながら、である。

ウラン「あ~ぁ、可哀相だね~。記憶がなくなっているなんて~、武器も使えないんだからねぇ~。」
ラルド「何!?」

戦いながら、会話をする二人。

ウラン「思い出さなきゃ、武器は使えないのかい?」
ラルド「私も武器を持っていたと言う事なのか!?」
ウラン「どうだかね~、・・・それぇ!!」
ラルド「うわっ!」
ウラン「・・・全く、ちょこまかと動くやつだな・・・。」
ラルド「ぉ、お前こそ・・・、」
ウラン「だったら・・・」

ウランは鞭を鋭い剣のような物に変えた。

ラルド「何をするかと思ったら、攻撃範囲を自分から縮めただけじゃないか・・・。」
ウラン「それはどうかな?・・・いっけぇ――――――――――!!!」

ウランは、その剣のような物を振るう。
すると、孫悟空のにょいぼうのように伸びたのだ。スピードは、案外速いと思われる。
ラルドは、さっと避ける。

ウラン「甘いよ!」

その伸びた剣は、今度はラルドの後ろから迫ってきた。
間一髪で避けたつもりだが、横っ腹に、少し傷がつく。
そして服に、多少の血がにじみ出た。

ラルド「・・くっ・・・!」
ウラン「これは、追尾機能がついているのさ。
だから、避けてもまた襲い掛かってくるのさ!
あ、そうそう、ボクに近づいて間一髪で避けてもボクには当たらないから、そのところヨロシク♪」

そして、もう一度剣を振るう。その剣が、ラルドを襲う。
少しの傷と、あのときの傷が痛むせいか、動く事ができないラルド。

ラルド「・・っち、万事休すか・・・。」

そう呟いた途端・・・、

カイン「ラルド!!」

影で見ていたカインが、ラルドの目の前に飛び出した。
そして・・・、すぐに対応しきれなかった剣は、迷うことなくカインに突き刺さり、貫く。
剣はそこで、止まった。

カイン「ぐ・・・、がはぁ・・・。」
ラルド「・・・・・カイン・・!!」
カイン「だ・・・大丈夫・・・か・・・?」
ラルド「馬鹿者!何やっているんだ貴様は!?」
カイン「そん・・な・・の・・・・お前・・を助けた・・ん・・だよ・・・。」
ラルド「大馬鹿者!!生身の人間が、この戦いに割り込むな!!」
ウラン「そうだよ・・・、ラルドの言う通りさ。・・・下手に飛び出すと、大怪我するって判っていただろ!?」
カイン「・・・あぁ・・・。」
ラルド「だったら何故!?」
カイン「お前は・・・・俺・・の・・弟・・の・・・・よ・うな・・・奴だから・・・これ以上・・・傷ついて・・・・欲しく・・・なかっ・・た・・・。」
ラルド「・・・!」
カイン「だから・・・お前を・・・守った・・・ん・だ・・ぜ・・・ぐふぅ・・がはっ・・・。」
ラルド「カイン!!」

ラルドは、立ったままの状態のカインに近付く。
ウランは、カインから剣をズボッと抜く。
そして、カインは倒れる。
それを今度はラルドが支えるが、小さな身体では支えきれず、一緒に倒れてしまう。

ラルド「・・・あの時助けてもらったんだ・・・、今度は私が、カインを助ける番だ・・・!」

そう言ってラルドは、カインに両手を翳し、目を閉じた。
ラルドの手から、金色の光があふれ、カインに降り注ぐ。
それを、ウランは静かに見つめていた。
カインの傷は瞬く間に消えていった。
ラルドは、全部の力を降り注いだのか、カインの傷がなくなったと同時に、その場に倒れ込んでしまった。

ウラン「・・・ボクの負けだよ・・・、ラルド。君はすばらしい奴だよ。君が覚醒してしまえば、ボクなんて相手にならない・・・。」

そう言って、カイン達に近付いた。
傷の癒えたカインが目を覚ます。

ウラン「ごねんね。ラルドが倒れているから、君がボクをすきにして良いよ。」
カイン「・・・・なぁ、俺の家に住んでくれないか?」
ウラン「いいよ・・・、君がボクに命令した事だ。断るわけにもいかないよ。」
カイン「よかった・・・これからは、ヨロシクな。」
ウラン「うん。」



ここは、カインの寝室。ラルドはそこで眠っていた。
そして、ようやく目を覚ます。
目の前には、カインとウランがいた。

ラルド「・・・私の負けだ・・・。お前の指示に従う・・・。」
ウラン「いんや、君はボクに勝った。だからボクはここにいるし、このカインって奴もここにいる。」
ラルド「・・・。」

ウランは、「そうそう、言っておかなくちゃいけないことがあるんだ」といい、その事を話し始めた。

ラルド、ウランの他にも、後七人仲間がいて、皆それぞれ、特殊な能力を持っているという事。
世界を破滅に導こうとする主催者、いわゆる首領がいるという事・・・。

そして、この計画をとめるには、まずその仲間達を見つけ、戦い、こちら側にし、首領を倒さなければならない。そうすれば、昔のような事にはならない。
だが、どこか別の場所では、その首領と対立する子供もいて、その子供もラルドたちと同じように、特殊な能力を持っているという事。

カイン「つまり、旅に出ちゃうって事なのか? そんなの話が違うぜ?俺の家にいてくれるって言ったじゃないかよ!」
ウラン「大丈夫。ボクにはワープホールを作る能力がある。それを使えば、いつだってここに戻って来られる。」
ラルド「そうか、だったら楽に仲間が集められるな。」
ウラン「そう言う事。」
カイン「で、でも、今からはダメだぜ!?そんな覚悟まだ出来てないからさ・・・。」

ラルド「・・・フ・・・弱虫だな・・・カイン。・・・それでも17か?」
カイン「ば、馬鹿野郎!弱虫なんかじゃねぇよ!!」
ラルド「じゃ、今から行くか。」
カイン「ま、待てよ!」
ウラン「やっぱり弱虫じゃん♪」
カイン「う・・・。」
ラルド「一応、明日は一日休む。自分の力を使い果たしたからな。数時間じゃ元には戻らないんだ。」
カイン「良かった・・・。」
ウラン「それに、いろいろと準備が必要だからね♪」
カイン「そ、そうだよな。」

そして、3人はとりあえず暇なので、3人でミラルの家にいった。
そこで、ウランがミラルの犠牲になったというのは言うまでもなかった・・・。

第7話へ続く



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