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NOVELS ROOM

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能力のないあの世界で

2017.05.28
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今までのお話はこちら→ その1 その2 その3 その4 その5


※※※※※


ウランが初めて図書館にやってきた時から、数日が経った。まだまだ人見知りが抜けないところもあるが、この図書館にやって来る人々と、少しずつ交流するようになった。ただ、ラルドがいないと、どうしても一人で交流するという事は出来ないようだ。そんなウランを、いつもラルドは支えていた。
そんなある日の事だ。

「小学校・・・か・・・」

ウランは、キッズルームではなく360度に広がる本棚の方で、一冊の本を見つけた。その本は、小学校に通う生徒とのコミュニケーションのとり方が書かれた本だった。ウランはまだ5歳のため、学校どころか幼稚園に通ってなければならない年齢だった。だが、ウランは人と関わりを持ちたくなかったためか、施設にいた頃は幼稚園に通う事など、考えもしたくなかった。人と関わって、その関わった人間に裏切られるのが怖かった。自分の親のように、見捨てられるのが怖かった。だから、幼稚園に通う事を嫌った。今でも、幼稚園になど通うつもりはないし、ここで出会う人々と交流出来ればそれでいいと思っていた。交流といっても、ラルドがいなければ、他人と会話する事が出来ないのだから、交流と言っていいのかどうかわからないが。
ウランは、その本を手に取ったものの、何か胸に刺さったものを抜くような感情で、本棚に戻した。
その様を近くで見ていたラルドが、駆け寄ってきた。

「どうしたの?なにか辛い事あった?」
「あ、うぅん・・・何でもない・・・」
「ウラン君はすぐ顔に出るからわかるよ?その本見て、辛い事思い出しちゃったんでしょ?」
「・・・・・・」

図星だった。
ラルドは凄いな。いくらボクが何でもないって言っても、心の中にしまったこの感情を読み取る事が出来る。ラルドはエスパーか何かかな?
何て一瞬思ったが、顔に出てしまっているのなら、読み取る事なんてラルドじゃなくても簡単に読み取れてしまうほどだったんだな、と自分の中で自己解決した。

「その反応見ると、やっぱりって感じかな?」
「はぁ・・・ラルドにはかなわないや・・・」
「でも、どうしてその本を?」
「そ、それは・・・」

施設にいた頃は、学校や幼稚園など、人が大勢いる所になんか行くものかと、かたくなにその思考を曲げる事はなかった。でも、今はラルドと一緒にいる。図書館で出会う人達と、多少なりと交流が出来る。この分なら、学校へ行ける可能性もあるかも知れないと、少しだけだが考えていた。だが、やはり人への恐怖は捨てきれず、コミュニケーションのとり方の本を、本棚に戻してしまったのだ。

「学校へ行きたいって思ったの?」
「な、べ、別に・・・!」
「隠さなくてもわかるよ!ぼくだって学校に行きたいし!もし、学校へ行けたなら、ウラン君と同じクラスがいいな!」
「そ、そうだね・・・そのほうが落ち着く・・・」
「行けるといいね!学校!今から楽しみだよ!」
「う、うん・・・」

今の年齢では行けないけれど、ラルドが一緒だしいつか行けたらいいな。
でも、本当に行けるのかな・・・人が大勢いるだけで気絶するボクが、学校になんか行けるのかな・・・。
そんな不安を持ちながらも、あれからウランは少しづつ、また少しずつと図書館で出会う人たちと交流出来るようになってきた。もちろん、読める本は片っ端方読んでいったし、同じような年齢の子供たちにわかりやすく説明する事もあった。
その様子を、横目で見ていたファストは、きっともう大丈夫かも知れないと、とても安心しながら仕事を続けていた。もちろん、ウランのそばにずっといたラルドも、日を追うごとに成長していく姿を見て、喜びを隠せずにいた。
そんなウランを、満面の笑みで眺めていると、

「何?ボクの顔になにか付いてるの?」

と、今まで人を避けていた事など忘れたかのように、怪訝な顔をして尋ねられてしまった。

「うぅん!ウラン君がみんなと仲良く出来てぼくは今とっても嬉しいんだ!」
「何言ってるの?そんなの普通じゃん」
「うん!普通だね!」
「ん~?変なラルド」

そんな成長が見られた、その1年後。ウランが来てからそろそろ2年が経ちそうな頃、ラルドもファストも驚く発言をウランが発した。

「お父さん、ボク、学校へ行きたい」

あんなに人を信用せず、裏切られる事、突き放される事が怖かったあのウランが、学校へ行きたいと突然言いだしたのだ。確かに、ここ最近人との付き合いも慣れてきたし、人見知りの面影も薄れつつあったが、まさか自分から「学校へ行きたい」と発言してくるとは、2人は全く予想していなかった。
その驚きから、ファストはハッとなり、ウランがもうひとつ驚く発言をした事に気がついた。それは、ウランがようやく「お父さん」と発言した事だった。出会ってから今の今まで「ファストさん」と呼んでいたのに、そんな事も忘れ「お父さん」と呼んでくれた。「やっと自分を父親だと認めてくれた」と思い、ファストは胸をなでおろした。

「ん?どうしたのさ、2人とも。目を皿のようにしちゃってさ」
「あ、いや、何でもない・・・しかし、どうして学校へ行きたいんだ?」

そう尋ねられたウランは、顔をニッコリさせて、こう話す。

「ボクってさ、もっといろんな人と会話すべきだと思うんだ。そりゃ、もちろん図書館で出会う人達と会話する事も勉強になったし、別に行かなくてもいいんだけど、でも、それじゃ物足りない。ボクにはコミュニケーションが足りないんだよ!自分と同年代の子達ともっと会話したり、友達を増やしたり、図書館では味わえないような勉強が学校でできるかもしれないんだ!だから、ボク、学校へ行きたいんだ!」

そろそろ7歳になろうとしているような口ぶりではないが、幼い頃から本を読んでいたし、何よりずっと図書館で様々な本を読みあさったほどだ。これぐらい考えるのは妥当だろうと、ファストは思った。

「そうか・・・まぁ、2人とも、あと数ヶ月すれば学校へ行ける年だからな!」

その言葉を聞いて、ウランはより目を輝かせて、ラルドと一緒に喜んだ。

「そのためには、まず手続きしないとな!」
「まだ手続きしてなかったの!?もう!早くしてよ!!」
「はいはい」

二人に何も言わずに手続きをしてしまったら、もしかしたら怒られてしまうのではないかと思った。学校へ行くなんて嫌だと言われてしまうかもしれないと思った。だから、自分から学校へ行きたいと言うまで、ファストは小学校へ行くための手続きをする事はしなかった。ただ、その思いは胸の中にしまい、早く手続きをしろと駄々をこねるウランに、優しく対応を取った。
その日、ちょうどファストの仕事が休みだったので、自宅から歩いていける学校を調べ、手続きを開始した。その学校に行けるかどうかの結果は、数日かかると言われたが、3日ぐらいで学校に行けるという通知が来た。これで数ヶ月後には晴れて小学生というわけだ。

「楽しみだなぁ~!学校ってどんなところかな!?」
「うーん・・・勉強するところかな?」
「わかってるよそれぐらい!外観とかグラウンドとか校舎の中とかいろいろ!」

まるで、マンションを見定めするセールスマンみたいに、ウランは喜々として発言した。

「ははは、ウラン、君はコミュケーションの勉強がしたいんじゃなかったのかい?もちろん見た目は大事だけど、中身はもっと大事だと父さんはそう思うよ」
「あ、そうだった・・・えへへ・・・」

ファストのちょっとからかう発言に対し、ウランは恥ずかしそうに、しかし少し照れながら頭を掻いた。

「本当に楽しみにしてるんだね、ウラン君」
「もちろんだよ!じゃなきゃ、こんなに待ち遠しいことなんてないさ!」
「うん!そうだね!ぼくも楽しみだよ!」

笑顔が絶えない2人の会話に、ファストは優しく見つめ「ほらほら、明日から準備だから早く寝ような?」と優しい声色で2人をなだめた。それを聞いた、2人は同じような笑顔をして「はーい!」と元気良く返事をした。


※※※※※


 やぁああああああああっとかよ!!!
 何日待った思ってるんだ、おい?
 半年以上ですかね・・・。
 まぁ、この世界のボクの人見知りがほぼなくなってるし、別に許すけどね。
 次の更新はいつになるやら・・・。
 言わんといてください。


★やああああああああああああああああああああああああああああああああああああっと続きができた!
次の話では、学校に行く話を書く事になると思います!!






Last updated  2017.07.07 17:29:54
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2016.11.07
今までのお話はこちら→ その1 その2 その3 その4


※※※※※


極度の人見知りを、全面的に発動しているウランを何とか連れ出し、軽自動車に乗せると、外の世界を遮断するように自分の身を屈めてしまった。時折、窓からそっと顔をのぞかせる動作を何度かしていた。そして、今から行く図書館は、地下鉄でしかいけない事を思い出し、顔がだんだん蒼白にそまり、体が震え出してしまった。地下鉄には、指では数え切れない人がたくさんいる。本で見ただけでも震え上がったものだ。

「ね、ねぇ!ほかに移動手段はないの!?」

体を震わせて、ウランは運転席に座るファストに、叫ぶようにして別の移動手段を懇願したが、これしか手段がないと言われてしまい、ウランは何かが抜けたように止まってしまい、あまりのショックで気絶してしまった。

「お父さん!ウラン君が気絶しちゃった!!」
「うーん・・・まぁ、人混みの中を歩かせるよりはマシになったし、図書館についたら起こしてあげることにしようか・・・」
「う、うん・・・」

車を走らせ、500m先の駅へ2~3分程度で到着する。狭そうな無料駐車場に車を止め降りる。未だに気絶しているウランを背中におぶって、駅の中へ入っていった。図書館へ行くための切符を買い、指定の路線へ乗る。電車の中は出勤ラッシュよりは少ないものの、ここでウランが目覚めていたら、おそらくパニック状態になっていただろう。気絶していて本当に助かった。なお、ラルドはしっかりと父親の手を握り、おとなしくしていた。
電車に揺られること約数十分。ウーデンプラーン駅についた。改札口を通り、エスカレーターを登り、駅の出入り口からでたあと2分ぐらい歩く。もちろんその間も、ウランは気絶したままだ。そんなウランの様子を眺めつつ歩道の広い道を歩いていると、直方体に円柱が乗ったような、柔らかなオレンジ色の建物が見えてくる。それが、今回やってきた図書館、もとい、ファストが働いている場所、ストックホルム市立図書館だ。
ファストは、背中におぶったウランをゆすり、起きてくれるか反応を見たが、なかなか起きてくれない。ラルドが未だ気絶しているウランに「図書館に着いたよ」と話しかけてみると、少々うめき声をあげて目を覚ました。

「うぅ・・・は!こ、ここはどこ?!」
「図書館の、ほぼ目の前だよ?」
「つ、着いたの・・・?!図書館に!?」

ようやく、図書館へ着いた事に対して、正気を取り戻したようだ。そして、おぶられている事に気が付き、嬉しいような恥ずかしいようなよくわからない表情を取った後、ゆっくりと下ろしてもらった。目の前に見える建物の外観は、ウランが本で見たような建物とは違い、本当にこの建物が図書館なのかと疑ってしまったが、建物前にある階段を挟む壁に「ストックホルム市立図書館」と書いてあったので、ここが図書館なのだなと納得した。
ファストを中心にして、右手に繋ぐのがラルド、左手に繋ぐのがウランというような状態で、階段登る。すぐに見えてきた、玄関である回転式ドアを通ると、正面に上へと通じる階段が見えた。すでに、階段の先には、本棚が見えている。一体どんな内観なのだろうか。
階段を上り、着いた先は・・・

「わぁ~・・・!!」

目の前に飛び込んできたのは、360度に広がる本棚に、これでもかと敷き詰められた、数え切れない程の本。凹凸のある白い天井に設置されたライトで、淡い光が照らされ、より一層と見る者を魅了する。
図書館だという事を忘れ、少し声を上げて歓喜の声を上げてしまったウランは、すぐに静かになる。図書館は静かにしないといけないって、施設に置いてあった本に書いてあったからだ。

「どうだい?ウラン、気に入ったかい?」
「え、あ・・・うん・・・こんなに、たくさんの本があるなんて、読みきるの大変そうだなぁ~!」
(読み切る気でいるのか・・・)

読みきるかどうかはさておき、ウランにとても喜んでもらえたようだ。
すると、向こう側から若い女性がやってきた。

「ジェイクさん、お待ちしてましたよ」
「おお、カミラか・・・」

彼女は、カミラ・アッペルマン。この図書館で、受付をしている女性だ。ファストとは面識があり、何度か会話している仲である。

「ラルド君も、また来たのね、いらっしゃい」
「こんにちは、カミラお姉さん!」

同じように、ラルドもこの図書館へ来るので、もちろん仲はいい。
しかし・・・

「あら、もう一人の子は、ジェイクさんがこの前言っていた子ですね」
「あぁ、ウランって言うんだ」

極度の人見知りのウランは、カミラと目があった瞬間、顔を背け、ファストの陰に隠れてしまった。図書館にいるというのにそんな事も忘れたかのように、非常に怯えて体を震わせている。

「あぁ、この子は自分が信用した人にしか目を合わせなくてね・・・申し訳ない」
「いいですよ、初めて知らない人に会うのって怖いですし」

そう言って、少し遠目でウランを見た。ウランは恐る恐るカミラの様子を伺っている。

「奥にキッズルームがありますし、今日もそこでお子さんをあずけますか?」
「そうだね、私もここの従業員だし、ウランにはしっかり者のラルドがいるから、大丈夫だとは思うけど」

その話を聞いたとたん、ウランが小さく悲鳴を上げた。ファストが自分の元から離れる事を理解し、泣きそうになっている。それを、ラルドが近くに寄って手をつなぎ「ぼくがいるから大丈夫だよ」と慰めていた。
本はたくさんある、しかし、同時に知らない人だってたくさんいる。やはり、ウランを外に出すにはまだ早かったのかもしれないと、ファストは思った。

「ウラン君、ここは、みーんな本だよ!ウラン君は本を読みに、ここに来たんでしょ?ぼくも一緒に読むから、大丈夫だよ、ね?」
「でも・・・」

だが、いつまでも家に引き込ませるわけには行かない、ウランには外の世界を知ってもらわないといけない。ウランは一人じゃない。ウランの事を助けてくれる、ラルドが傍に付いている。そんなラルドを、今日は信じて仕事をしよう。

「ウラン、ラルドもこう言っているんだ。ラルドを信じて今日は楽しんでくれないか?」
「・・・・・・」
「ほら、お昼のお弁当もあるだろ?仕事は夕方まであるし、終わったらすぐに帰れるようにするから、な?」
「・・・う、うん」

まだ、人の恐怖がありつつも、ウランの好きな物があるという事を伝え、なんとか今の状況を理解してもらえた。
ファストは、二人をキッズルームへ預けると、図書館の中を回ってもいいが、必ずこのキッズルームに戻っているようにという事を伝え、仕事に向かった。
キッズルームには、他の子供はいなかったので、極度の人見知りであるウランには好都合な場所だった。天井はそれらしい雰囲気を醸さない、大きな羅針盤があり、星座の形や名前も小さく書き込まれている。もちろん、キッズルームなのだから子供用のおもちゃが置いてあるし、もちろん、幼児向けの絵本や、小学生に見合った本などたくさんの本があった。部屋の広さも結構なもので、丸テーブルと、その周りに4つの椅子が有り、テーブルの上には、小さな絵本が置いてあった。
ファストが離れてからしばらく震えていたのだが、この部屋の広さと、先ほどの入ってすぐに見た事もない本の多さに魅了された事を思い出し、少しずつ元気になってきた。

「大丈夫、ウラン君?」
「うん、なんとかね」
「よかった・・・で、どうする?この部屋も結構本いっぱいあるし、ウラン君の知らない本にも巡り会えると思うんだ」
「そうだね、思いのほか広かったし、まずはこの部屋の本を読み切るのが先だね」
「あはは、読み切る事が前提なんだね」

本当は、360度見渡せる本棚から、本を品定めして歩きたかったのだが、人がいる事に恐怖を感じてしまうかも知れない。せっかく図書館に来たのに、恐怖で怯えるだけで終わるよりも、ここで少し慣れていけたら・・・と思ったからだ。
でも、それを何故かあえてラルドに伝えず、強がってみせたが、ラルドはウランが強がっている事を見破っていた。
そしてラルドは、この部屋を見渡しているウランの後ろから抱きつき、

「大丈夫だよ、ウラン君にはぼくがいる。君はきっと、もっとこの図書館を好きになる。だから、ぼくと一緒に慣れていこうよ、ね?」

優しく、そして暖かな、恐怖の感情を包み込むような声で、ラルドはそう言った。
ウランは、その言葉に心打たれ、喉に言葉を詰まらせながらも、小さく頷いた。


※※※※※


ラルド(話3).jpg 今回は全部ひっくるめると「図書館についた」だな。
 ひっくるめたらラストの場面がなかったことになるだろ。
 そんなことよりも、ラルドがボクに抱きついてくれたあああああああ!!!
 いや、お前じゃないし、抱きついたのもここにいるラルドじゃないし。別世界のラルドとウランだからね、わかってる?


★ネタはあったんですけど長いこと時間をかけてしまった・・・。
前回までのお話をリンクさせたので忘れてしまった方は、読み返してね!






Last updated  2017.07.07 17:29:15
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2016.09.22
ラルドが目を覚ますと、ウランはまだ机に向かって分厚い本を読んでいた。様子から見て、5冊目に入っているようだ。相変わらず何の本を読んでいるかさっぱりだが。

「ん?ラルド、起きたの?」

ラルドが起きた気配に気が付いたウランは、本を読みながら淡々と答えた。普通は、読書に集中していたら、起床したことに気が付かないはずなのに、なんて器用な特技を持っているんだ、と、ラルドは思った。
ふと、自分の体に薄い毛布が掛けられていることに気が付いた。そういえば、自分はベッドの上で絵本を読んでいるうちに、布団もかぶらずいつの間にか眠ってしまっていた。それなのに、薄い毛布が掛けられているということは、おそらく、ウランが掛けてくれたのだろう。

「あの、ウラン君・・・お布団、ありがとう」
「風邪ひいちゃ困るからね。ファストさんがいない今、ラルドに風邪ひかれたら、ボクはどうしようもなくなるし・・・」

そんなつっけんどんなウランのセリフに、ラルドは突然違和感を覚えた。ウランと家族になってから、ウランはなかなかラルドの名前を口にせず「お前」だの「アンタ」だの、名前を言いたくない何かを背負っているかのような素振りだった。にも関わらず、ウランはラルドの名を、2度も言った。重い荷物をとっぱらったかのように、スムーズに、とてもさりげなく言った。
ラルドは、それが嬉しくてたまらなかった。寝起きで、なかなか体がうまく動かないはずなのに、名前を言われた嬉しさで、しゃきっと目が覚め、体が勝手に動く。椅子に座ってなおも本を読み続けるウランに、ラルドは目一杯抱きついた。

「うわ!な!なんだよ!突然!」
「ウラン君が!ぼくの名前を言ってくれた!!」
「はぁ?それがどうしたって言うのさ!?普通でしょ?」
「うん!普通だよね!でも嬉しい!!ぼくの名前呼んでくれて嬉しい!!」

ウランは、なぜラルドが抱きついてきているのか、正直まだ分からないでいた。自分が、ラルドを「お前」や「アンタ」呼びしていた事など、忘れたかのように。

「そんなに嬉しいなら、もっと言ってやるよ!ラ・ル・ド!」
「うん!ぼくは、ラルドだよ!」
「わかってるよ!気持ち悪いなぁ・・・」

そうこうしている間に、ちょうど父親――ファストが帰ってきた。家に入ってきた瞬間、なんだか楽しそうな声が聞こえてきたので、扉を少し開け様子を見る。そこには、嬉しそうに抱きつくラルドの姿と、それに対して鬱陶しい表情をしているウランがそこにいた。それを見た、ファストはとても微笑ましい表情で、ゆっくりと扉を閉め、夕飯の準備をするのだった。


          ★


あれから数日経った。今日は日曜日。待ちに待った、図書館へ行く日だ。ウランは、もう待ちきれない思いでいっぱいだった。図書館には、きっと数え切れない本が所狭しと置いてあるに違いない。そんな、施設の本でしか見たことのないあの図書館へ、今日、いよいよ行けるのだ。あぁ、図書館へ着いたらどの本から読もうか。いや、その前にたくさんの本に魅了されて、読むことを忘れてしまうかもしれない。でも、本は読まなきゃ損をするから、着いたら早速読むことにしよう、そうしよう・・・などと、頭に巡らせていた。
そんな思考を読み取ったのか、となりでラルドはくすくすと笑うばかりだ。どうやら、顔にも出ていたらしい。声に出なかったことには幸いだったが。

「フフフ・・・待ちきれないよね、図書館!」
「ば・・・べ・・・別にぃ!?」

声が裏返りながら、ウランは顔を真っ赤にしてそっぽを向く。図書館に行けることが楽しみだという気持ちを、ウランは上手く隠せていない。そもそも何故隠す必要があるのだろうか。心を開きつつあるのだから、もういっそう嬉しい気持ちを表に出してもらえると、こちらとしても嬉しいのだが。と考えていたが、今のウランもそれはそれで面白い反応を取るし、ちょっと意地悪になっちゃうけど、それで良しとした。

「そ、それより!ファストさんは!?準備まだなの?!」

「そろそろ「お父さん」って言ってあげようよ」と思いつつも、にっこり笑顔を続けて発言することをやめた。

「そろそろだと思うよ。今日はぼくたちも一緒だから、お弁当が増えちゃって大変なんだよきっと」
「お、お弁当・・・だと!?」

施設にいた時は、ウランは外に出る事を拒んでいたため、いつも施設でしか食事を取らなかった。そもそも、人間なんか信じられなかったウランは、食事ですら周りと一緒に食べることもしなかった。それでも、お弁当には憧れていた。いろいろなお弁当の写真が載った本を見た時は、それはそれは目を輝かせたものだ。だが、作って欲しいなんて言えなかった。信じることの出来ない人間に、作って欲しいと懇願することに嫌悪感を感じていたから。
でも、今回はそんな懇願をしなくても、ファストが作ってくれている。一体、中身は何が入っているのだろうか。本に載っているようなものが入っているのかな?それよりも、もっと豪華なものが入っていたりして・・・。

「ウラン君・・・よだれ・・・」
「はっ・・・!」

正気に戻れば、自分の口からよだれが垂れていたことに気が付く。漫画で見たことがある。美味しいものを想像したり、大好きなものを見たりすると、よだれが出ている場面があった。こんなの本当にある訳無いだろと思っていたが、まさか、自分がその状態になっているとは。
ウランは、慌ててよだれを拭いて、今合ったことをなかったことにしようとしたが、ラルドに見られているのでそれはやはりできなかった。
そうこうしている間に、父親、ファストがリビングからようやく顔を出した。右手には、子供がようやく両手で持てる程のお弁当箱が2つ。左手には、それよりも少し大きめのお弁当箱を持っていた。

「ラルド、ウラン、はい、お弁当」

そう言って差し出した。ラルドは目に優しい若葉色の巾着袋に包まれていて、ウランはサーモンピンクの巾着袋に積まれていた。
2人は、お互いのお弁当箱を見てじっと見つめ、肩からさげた子供らしいショルダーバッグにしまった。だが、ウランは今にも中身を開けそうだった。

「ウラン、朝ごはんちゃんと食べたじゃないか。それはお昼ご飯だよ」
「わ、わかってるし!!!」

注意されて少々不機嫌になったウランは、それでもお弁当に不機嫌な気持ちをぶつけないよう、優しくショルダーバッグの中に入れた。

「さぁ、準備は整ったね。出発しようか」

玄関で靴を履き、扉開けると新鮮な空気が家の中に入ってくる。外に出ると、日差しが少し眩しい。今日もいい天気である。

「・・・ねぇ、外は大丈夫・・・?」

なお、ウランの極度の人見知りは、この晴れ晴れとしたいい天気とは裏腹に、超絶に曇り空であった。


※※※※※


ウラン(呆2) ボクの人見知りはいつ直るの?
 この分だと、しばらく直りそうにないな・・・。
 いや、ちゃんと人見知りは直るから、安心してよ、ね?
 まぁ、幼い子が良く見せる人見知りの仕草ということだな・・・。
 っていうか!まだ図書館に着かないのかよ!!!!
 次の話でちゃんと着くから待ってて。


★なお、今までのお話はご覧のとおり↓

その1 その2 その3






Last updated  2017.07.07 17:28:31
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2016.09.01
あれからウランは、まだまだ周りの人間を信用することに、かなりの抵抗はあったが、ラルドと父親だけは信用するようになってきた。何故だか、この2人には心を許してもいいという想いが、ウランにはあったのかもしれない。
ウランが施設から持ってきた本をしまうため、大きめの本棚を購入した父親は、早速組み立てて、ウランの指示通り日本を棚へ綺麗にしまった。それを見たウランはとても満足そうな顔をしていた。そして、この本はおもしろいんだよと、大人でも読むのが大変そうな本を手にして、内容を詳しく話すが、専門用語が飛び交って何を話しているのかさっぱりであった。一応、これでもウランは脳に障害があるのだが、元から本が好きなおかげなのか、話す言葉も流暢で大人顔負けの対応をとるし、本当に障害者なのかと疑うほどに頭がいい。もしかすると、脳の障害は、差ほど酷い物ではなかったのかもしれない。もしくは、多くの本を読み続けていたから、脳が活性化し、脳の障害を無かった事にしてしまったのかもしれない。
ラルドはというと、家の中の至る所に本が置かれている様子を見て、何だか自分の家ではないような感覚に襲われていた。もちろん、ラルドの部屋にもウランが持ってきた本は置かれている。そこにウランも一緒に寝るので、寝る前に読む本用として置かれたのだ。もちろん、ウランの本棚に絵本は一切ない。ラルドにはまだわからない本ばかりだった。

「ねぇ、ファストさん。図書館はどこだよ?」

ふと、ウランはラルドの父親の名を呼ぶ。呼ばれた本人は、少し残念そうに振り返った。

「ウラン、君はもうこの家の子だよ?そろそろ、私のことは「お父さん」と呼んでくれてもいいのに・・・」
「そんなことより、ボクの質問に答えてよ!」
「そんなことより?!はぁ・・・」

「お父さん」と呼んで欲しいファストは、ショックを隠しきれなかった。それでも、ウランの言った条件「定期的に図書館に連れて行くこと」に反しないために、図書館の場所を教えた。ラルドの家から図書館へ行くには、500m先の地下鉄に乗らなくてはならなかった。すぐに行ける距離だと思っていたウランは、地下鉄と聞いて恐怖を覚えた。本で見た、大勢の人、人、人。ラルドとファストしか信じることしかできないウランに、人混みに入るのはどうやら恐怖しか起きないようだ。想像しただけで、ウランの体が震えだした。

「お、怯えなくていいよ、図書館へは私がついていくし。そんな、5歳の子供を一人で図書館へ行かせる訳ないじゃないか。それに、図書館へはラルドも一緒に行かせるし、安心してくれ、な?」

焦りつつも、優しい声色でウランをなだめた。

「お父さん、地下鉄で行く図書館ってもしかして・・・?」
「そのもしかしてだ、ラルド。ウラン、きっと君が気にいる場所だよ、思う存分本が読めるぞ」

体の震えが治ってきたウランは、少々首をかしげる。一体、どんな図書館なのだろうか。地下鉄のことを忘れ、図書館のことを考えただけで、ワクワクとした気持ちが湧き上がってきた。どんなところかわからないけど、きっとたくさんの本があると思い、気分は最高潮だ。

「ボクの気にいるところ・・・どんな所だろう・・・ねぇ、今から行こうよ!行こうよ!ファストさん!!」
「そこは「お父さん」って言って欲しかったな」

ワクワクを抑えきれず、今すぐ行きたいとせがむウランに、ファストはそれを制した。

「今日はもう遅いし、今度の日曜日に連れて行ってあげよう」
「えー!!今からじゃないのー!?うぅ・・・が、我慢するよ・・・ぼ、ボクはそのへんの我慢の出来ない子供とはわけが違うからね・・・!」

そういうウランは、その辺の5歳児と何ら変わらない態度を取って、なかなか我慢ができない様子だ。テーブルに座って貧乏揺すりをしたり、テーブルを指でコツコツとやったり、次の日曜日まで待てないのがまるわかりだった。
そんなウランを見て、ラルドはクスクスと笑った。

「な!何がおかしいんだよ!!もしかして、ボクが我慢できないとでも思ってるの?!ふざけないでよ!!ボクが我慢できないなんてそんなことあるわけないじゃないか!!!」

言い放ちながら席を立ち、足音を大きくしながら、ラルドの寝室へ入り、大きく音を立てて扉を閉めた。言葉は流暢でも、やっぱり子供だなと、微笑ましい顔でウランの行動を見ていた。
部屋から「何で今日じゃだなんだよ」と声が聞こえたが、聞かないことにした。

「それじゃ、ちょっと仕事行ってくるからね」
「うん!図書館のお仕事頑張ってね!」
「あぁ、頑張るよ」

ファストの仕事は、入場無料の大きな図書館で書物の整理を行なっている。ラルドはたまにその図書館へ連れて行ってもらっているのだ。ファストはおそらく、その図書館へウランを連れて行こうと考えているようだ。おそらく今日は、子供を連れてくるからという了承をついでに貰いつつ、仕事に勤しむことだろう。
図書館での制服に着替え、ファストは、図書館へと向かった。
父親を見送ったラルドは、未だに部屋からブツブツ聴こえてくるウランの声を聞き、仕方がないなーという表情で部屋に入り、ウランをなだめていた。

「こ、子供扱いすんな!お前より、ボクのほうが1ヶ月も上なんだぞ!!」

ウランの誕生日は10月31日で、ラルドの誕生日は11月28日で、ほぼ一ヶ月ウランの方が年上だった。1ヶ月なんて、さほど年齢の違いもないだろう思うのだが、それでも、ラルドよりも知能が高く、とても賢いウランは子供扱いされたのが気に食わなかったようだ。

「こ、今度子供扱いしたら、口きいてやんないからな!」

こういう時の対応だけは、5歳児らしいというか何というか。必死に訴えているウランを見て、ラルドはくすくすと笑った。

「わ、笑うなよ!!」
「ふふふ、ごめん、ウラン君。だって、おもしろくて」
「あー!これだから人間は嫌いなんだあああああああ!!」

「だから君だって人間でしょ?」と言おうと思ったが、いじめているようになってしまうからやっぱりやめた。
それよりも、小難しい本ばかり読むのではなく、絵本などの本も読もうよと、ウランを誘った。しかし、絵本はすぐに終わってしまうからつまらないと言われてしまった。
ファストに購入してもらった勉強机の前に座り、分厚い本を置いてじっくりと読み始めた。その姿は、まるで読書の邪魔をするなと訴えているかのようだった。
ラルドは、ウランの邪魔をしないよう、ベッドの上で静かに絵本を読むことにした。メルヘンチックな絵本や、日常のような絵本、様々な絵本を読んでいるうちに眠くなり、気が付けばそのまま眠りについた。


※※※※※


ウラン(怒) ねぇ!?ボクが頭がいいっていう設定が明確になるのはいつなの!?
 もうちょっと先だからしばらく待ってよ。
 というか、ウランが主体で動いてるな、このストーリー。
 なんですか、ラルドも特別扱いして欲しいんですか?
 別にそういうわけじゃないだろ。
 ラルドはウランを見つけた。それだけでも奇跡なんだからね?
 ホントは、アナザーでは出会うことはなかったけど、ラルドは何かを感じ取った。
 それだけでもほんと、ラルドはいい仕事してると思うよ?
 そうだよ!ラルドはこのボクを見つけたんだよ?
 お互い知らない同士だってのに、ラルドはボクを見つけたんだよ!
 とっても素晴らしいことだよね。
 そ、そうか・・・まぁ、別に褒めてくれとも言ってないんだがな・・・。
 もう、ラルドってば正直じゃないんだから~!
 いやあ、私は正直だろ。
 さてと、このあとのストーリーどうしようかな・・・。
  思いついてないのかよ!!


★展開は思いついてまs・・・いた石投げないで。






Last updated  2017.07.07 17:27:47
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2016.08.28
「ふーん・・・これがお前たちの家か。悪くないね」

7日目に自宅に帰宅した、ラルド親子とウラン。よくあるそっけない家を目の前にして、ウランは上から目線でそう言った。前世は高貴な貴族か何かだろうと思わせられる態度だ。
ただ、通行人が現れるたびに、ビクビクしながら顔をしかめるのはどうかと思う。人を信じていないのはわかるが、ここまで態度で示してくるとは思わなかった。

「お、落ち着いてよ、ウラン君・・・」
「はぁ!?お前今ボクの名前言ったの!?軽々しく呼ばないでくれる?!」

呼ばなきゃなんと言えば良いのだと、父親とラルドは少々うなだれた。この環境に慣れるのはまだまだ時間がかかりそうだ。

「それにしても、君の荷物は結構多いんだね」
「どっさり積み込まれてるけど、なんなの、これ?」
「ボクのことさんざん聞いておいて、荷物の中身もわからないとか・・・よくボクのこと家族に迎えたいって言ったよね!」

考えれば分かることだろ!これだから人間は!と、ウランは悪態をつくばかりだ。「君も人間だよ」と突っ込んだら怒られそうだ。
思い返せば、ウランは大の本好き。彼の荷物といえば、本しかない。一応、着替えや身の回りの日用品なども入っているはずだろうが、この大きな荷物のほとんどは、ウランが施設で読んでいた本に違いないと悟った。
しかし、施設の本をこんなにも持ち出していいものだろうか?と、少しは考えたが、ウランのことをもっと知るため施設の長に聞いたところ、ウランが読んでいる本はすべて、彼のために購入したものだった。施設の外に出たがらないウランは、ネットで気になる本を購入しては、本を買った言伝をメモに書き、長に手渡していたそうだ。もちろん、施設で読んだ本もなかに数冊入っているが。
これを家の中に入れたとしても、これほどの多い本を入れる本棚がないため、これは大きな本棚を買ってやらないとな、と父親は思った。

「家の中は施設より劣るけど、申し分ないね。気に入った」

中に入るなり、やっぱり見せる上から目線。建築家に立ててもらった家を品定めするクライアントのようだ。
大きめの本棚は、この部屋に置けるね。よく読む本はここに置いて欲しい。あまり良く読まないけど、いざ読みたくなる本はここに置いて。新しい本棚が来るまでは残りの本はこの辺に積んでおいてよ。と、家の内観を見ながら次々と本の置き場所を決めていった。本当に本のことしか考えていないようだ。
そして、ラルドが眠る部屋に着き、扉を開けた。中はとても子供らしい部屋で、5歳児にはちょっと広いぐらいの空間が広がっていた。おもちゃもきれいに片付けられているし、ラルドがいつも寝ているベッドも、なんだか気持ちよさそうだ。
ウランはこの部屋を見て、ほんの少し目を輝かせたのだが、施設での自分の部屋はこんな充実した部屋ではなかったし、何より、親に愛されなかったということもあるのか、この部屋に溢れる優しさに、胸が締め付けられそうになった。

「大丈夫?」
「大丈夫なもんか・・・ボクは、ホントはこういう家に住んでいたかもしれないのに・・・あ」

こんなこと言うはずではなかった。何故だろう、ここに着いてからは、本音がどんどん出てくる。そもそも、「かもしれない」ではない。自分は、これからここに住むんだ。何てことを言っているのだろうか。
そんな思考を読み取っとかどうかはわからないが、後からついてきていた父親は、ラルドとウランを、後ろから優しく包み込むようにして抱いた。

「ウラン、君は今日から私の息子だ。君の願いは何でも聞いてやろう。そう怯えることはないんだ。ラルド、ウランは少々あれだがお前が選んだかけがえのない存在だ。そんなウランを、お前は大事にできるはずだ。父さんはそう思っているよ」

父親が、そう優しく語りかけると、なんだが胸の奥が熱くなる感覚に襲われた。人間なんか信じたくない、そんな思いもあって、胸が熱くなるとともに、ひどく胸が締め付けられた。今の自分は、一体どっちなのだ。あんなに人間を信じたくないと決め込んでいたのに、何故ここに来てからこんなにも信じたくなっているのだろうか。やっぱり、この家族の一員になるからなのか。よくわからない。
そんなよくわからない気持ちが混ざり合って、ウランの目から涙がこぼれ落ちた。

「なんだよ・・・何なんだよお前ら・・・・・・ボク、どうしていいかわからないじゃないか・・・」

施設ではあんなに流暢に話していたが、泣いている姿は普通の5歳児と何ら変わらなかった。ただ、あまり声をあげて泣かないところは、普通の5歳児とは少し違うが。

「君は施設で居た時と同じようにしていればいい。好きなことをしなさい」

そう言われ、ウランは暫く父親の中で泣いた。となりでラルドはそんなウランを優しく見つめながら、まるで弟をなだめるかのように頭を撫でてあげていた。


※※※※※


ウラン(話) ボクの頭がめちゃくちゃいいって設定はどこで発揮されるのさ?
管理人(とぼけ2) ごめん、まだ先だった。
ラルド(困4・ジト目).jpg もういいから、ちゃんとしたら載せろ。こんな時間になるまで書くんじゃない。
管理人(とぼけ2) じゃ、今からほかの作業しますわ。
ウラン(呆2) いや寝ろよ。


★まぁ、エンドが見えないので、こういう展開になるよみたいなものと思っていただければ・・・。






Last updated  2017.07.07 17:27:07
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2016.08.27
管理人(とぼけ2) 無尽の鎖の最終話後の、プラノズさんが来なかった時代になったラルドとウランの事を考えたけど思いのほかエンドがつかないのでとりあえず書いてみる。
ラルド(困4・ジト目).jpg いや、なんだそれは・・・。


※※※※※


時はプラノズがこなかった時代の、ラルド5歳の時だ。
突然、頭に何かが浮かび「掛け替えのない誰かが常に隣にいた気がする」と言い出す。
その人物はどんな子かわからないが、ラルドの出身国、スウェーデンの隣国、フィンランドにいるらしい。
フィンランドのどこにいるのかわからないが、ラルドが言う人物はそこでひとりぼっちだという。
その子を見つけて、家族として迎えてあげたいと、5歳児なのに口も達者でそう言った。
(口が達者なのは、父親がいろいろ言葉を教えていたから)

父親は、仕事先に長期休暇を頼み、ラルドとともにフィンランドへ出向いた。
初めて訪れるフィンランドの地。行き先なんてわからないけれど、ラルドは何かを感じとり、父親を振り回すようにその人物のもとへ歩き出した。
一応、移動手段としてバスにも乗った。
着いたところは、身寄りのない子供たちがあずけられている養護施設だった。
この養護施設は、養子として子供を引き取ることも可能だと書いてあった。
ラルドは、養護施設の受付さんの話も聞かず、中には入り迷わず自分が探している人物へとたどり着いた。
目の前にいるのは、同じ年頃の男の子。髪が赤毛で少々女の子っぽい顔はしていたのだが、ラルドは男の子だと見抜いた。

「見つけた!君だよ!」

言い放ったラルドに、何か小難しそうな本を読んでいた赤毛の少年は、無言で睨みつけた。
施設の長が言うには、生まれたときにここに連れてこられたのだが、親は受付も通さず置き去りにしていったのだという。
唯一分かったのは、親の苗字が「ブラスト」だったこと。それ以外は何もわからなかった。
施設の長は、とにかくこの子を受け取った事にして、育てることにした。
名前は思いつきで「ウラン」と名付けたそうだ。

ウランは特に病気もせずすくすくと育っていった。
本が大好きで、気になるものは片っ端から読みあさっていった。
3歳ぐらいで、なんとか言葉を話せる程度になり、もっと言葉を知りたいと、もっといろんなことが知りたいと、いろいろな本に手をつけた。
今じゃ、施設の本はすべて暗記できているほど読みあさっている。
何度読んでも飽きないぐらい本が好きだそうだ。
だが、唯一ウランの悪い癖というか・・・周りの子供達と、仲良くしようとはしなかった。
周りの人間は嫌い。本だけが自分を裏切らない。だからいつでも本を読んでいる。
故に、言葉を話すことはできるが、コミュニケーション能力がなかったのだ。
要するに、気難しい男の子だった。

睨まれたラルドは怯えもせず、ウランに興味津々。
すぐ父親に、この子を家族として迎えたいといった。
ただ、ウランの選択も聞かなければ、養子として迎える条件として、一方的に決断するのはよくないと思い、父親はラルドにウランと遊ぶよう促した。
しかし、ウランはそっぽを向くばかりで会話すらしてくれない。
今日連れて帰ることは難しいようだ。
日も落ちてきたしまた明日にしようと、父親はラルドを連れてホテルに泊まった。
次の日も、また次の日もアプローチをかけたが、ウランにイライラが募るばかりだった。
そして5日目の日にウランのイライラが爆発してしまった。

「お前ら鬱陶しいんだよ!ボクを家族に迎える!?ふざけるな!!ボクはお前ら人間なんか大嫌いなんだよ!!人を平気で裏切る人間なんかね!!本だけがボクの味方をしてくれる!!本はボクを裏切らない!!出て行けよ!!何度来たって、ボクはお前らの家族になるなんてごめんだ!!家族なんて鬱陶しい!!!そもそもここの施設に居るだけでも寒気がするよ!!まぁ、本が読めるからそこは妥協してやってるんだけどさ!!とにかく、もうここには来るな!!!」

5歳ではありえないぐらいの流暢な言葉で言い放ち、ウランは奥の部屋へ行ってしまった。
ラルドの父親は聞いた。どうしてここまで周りの人を嫌うのかを。

施設の長はこうなってしまう原因を話した。
2年前、ウランがまだ3歳のころ、施設の仲間たちと散歩に出かけるために、外に出た時だった。
偶然にも、ウランの実の父親とであってしまったのだ。
ウランの父親は、言った。

「生まれたとき、脳に障害を持っていたから、言葉もろくに話せないと医師に言われてここに捨ててきたが、その赤毛、あの時捨てた俺の子供か。よく成長したもんだ。どうだ?言葉は覚えたか?話せないだろうな。お前は脳に障害があって話せるわけがないんだからな。この失敗作め。出来損ないをここに捨ててよかったよ」

本を読みあさり、いろんな言葉を覚えたウランにはわかった。
自分に向けられた言葉の暴力。生まれてすぐに捨てられた理由が、どんどん胸に突き刺さってきた。
まず、自分は脳に障害を持っていたこと。そんなの本を読みあさっていたからわからなかった。
そして、失敗作だと言われたこと。だったら何故自分をつくったのだ。
出来損ないとまで言われ、ウランの心に深い傷が刻まれていった。
それからずっと、ウランは本を読みあさることをやめず、脳の障害をいともせず、どんどん言葉を覚えていった。
最近は、知識さえも覚え始めたのだとか。

これは、心を開くには時間がかかるだろうと思われた。
だが、ラルドは諦めなかった。
6日目、また施設にやってきた。
当然ウランは、昨日怒りをぶつけたのに、なぜまた来やがったんだという心境だ。
ラルドは、ウランよりは劣るがそれでも5歳児とは思えない言葉を、ウランに投げかけた。

「昨日、君の事聞いた。ひどいお父さんだと思う。でも、人間そんな人ばかりじゃないんだ。君はまだ世界を知らない。だから怖いんでしょ?人と関わることや、家族になることが。人は裏切る。生きていく中で、誰もがやってしまうだろうって、ぼくのお父さんは言ってた。でも、ぼくのお父さんは君のような人じゃないよ。どんな人でも受け入れる、素晴らしい人なんだ。安心してよ。絶対に、君のことは裏切らないから。ぼくだって、ずっと君のそばにいるし、絶対に裏切らないよ。だから、ぼくらと一緒に住もう?」

深く傷ついたウランの心には全く響かなかった。
でも、ラルドの優しい顔と、何か惹かれるような暖かな声に、ウランの心は揺らいだ。
少々顔を赤らめて、そっぽを向いた。

「わかった。だけど条件がある」

ぼそっとつぶやいたウランの条件はこうだ。家族になってやってもいい。だが、もっと本を読ませろ。
ここの本は飽きたわけではないが、新しいことを知りたいし、世界を知らないから、お前らの家に連れて行け。
定期的に図書館に連れて行くこと。この施設は、図書館まで距離があってなかなか行くこともできなかったからだ。
そして、勉強ができる机も欲しい。あとは、もう居座りたくないと思ったらこの施設にすぐに帰る。
それを了承してくれれば家族になってやる。ウランはそう条件を出した。
そんな簡単な条件なら、お安い御用だと父親とラルドは光の速さで承諾した。
「もっと難しい条件出せば良かった」とウランは思っていたようだが、その言葉は口にしなかった。
そして、手続きをして、晴れてウランは、ラルドと家族になれたのだった。


※※※※※


ラルド(困4・ジト目).jpg 長い長い。なんだこれは。
ウラン(話) いやぁ、ボクが本好きになるなんて驚きだね・・・。
管理人(とぼけ2) お風呂に入って、体とか頭とか洗いながら1時間考えたんだぞーまだ続きあるんだぞコラー。
ラルド(困3・ジト目).jpg 書くのも遅いし・・・もうメモ帳に入れておけ・・・。
ウラン(呆2) っていうかボクの家計ひどいよね?いや、能力あってもこんな感じだけどさ。
管理人(とぼけ2) ウランが施設入りなのは最初から決めてたことですので許してください。
ウラン(呆2) いや、そっちでなくてね?
ラルド(困4・ジト目).jpg 上手く濁したつもりだろうが、全く濁してないからな?
管理人(とぼけ2) な、なんのことかなー。
ラルド(困2).jpg だめだこいつ早く何とかしないと。


★まだ続きはあるんですよ!!!
まとめたらまた書くよ!!






Last updated  2017.07.07 17:26:30
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