2014/06/17(火)20:49
マリッジリングと再会
先日、新しいテレビ台がわが家に来ましたが、
納入直前に古いテレビ台を移動させようと、
テレビ台の中にあるものを取り出していたときのこと。
隅っこの、少し窪んだところに小さなポーチがありました。
ふだん目が届く場所ではないので、
ついぞそこにポーチがあることなんて忘れていました。
--中に何か入っているのかなぁ…?
と思いつつ、ファスナーを開けてみると、
そこにヨメさんのマリッジリングがコロンと転がっていました。
--ああっ! ここにあったんだ!
しばし手のひらに乗せて、凝視している自分がいました。
彼女が入院直前まで働いていたパート先は、
自動車メーカー・本田技研の下請け倉庫でして、
そこで自動車やバイクの小さな部品を
袋詰めする作業をしていました。
で、指に装飾品を付けていると、
部品を入れるビニル袋に穴が空いたり、
傷が入ったりすることがあるため、
作業中は指輪をはずすことになっているんですね。
最初の頃は作業前に指輪をはずし、
作業後に指輪をはめ直す、ということをやっていたようですが、
そのうち面倒になったのか、常時はずしたままの状態が
ここ何年か続いていました。
で、そのはずしたマリッジリングを
いったいどこに保管しているのか、
ついぞ聞き出すことがなかったんです。
告別式も終わってようやく落ち着いた頃に
--そういや、彼女のマリッジリング、どこに置いてるのか?
と、ふと疑問が出てきたのですが、
本人は逝ってしまっているわけですし、
狭い家ながらも、隠そうと思えば
至るところにそういうポイントがありますので、
探す気にもなれず、
気にはなりながらも結局そのままだったのです。
で、いつしかそういう意識も彼方に遠のいていたところでした。
それが今回、テレビ台を取り替えることで再会するとは。
彼女が自分のマリッジリングを僕に見つけ出させようとして、
テレビ台を新しくする意識を僕に芽生えさせたのかな。
何かしら因縁めいたものを感じます。
僕の分は指からはずして自分の財布に入れているのですが、
彼女の分も同じ財布に同居させました。
これでほぼ常に帯同することになります。
少しでも「一緒にいる」という感覚が味わえることを期待して。
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