2024年12月7日、米国ラスベガスのT-モバイル・アリーナで開催されたUFC 310。

朝倉海選手が挑戦したのは、世界フライ級王者アレッシャンドリ・パントージャ。

試合は2Rでリアネイキドチョークにより敗北という結果になりました。

この試合は、ただの敗戦ではありません。

日本MMA界のスターが世界の壁に挑み、その課題と可能性を浮き彫りにした一戦でした。

この記事では、試合の詳細を振り返りつつ、朝倉選手の復活への道筋を探ります。

朝倉海の試合総括：「狙いすぎた」がもたらした結果

試合後、朝倉海選手は自身のYouTubeチャンネルでこう語っています。

「とにかくKOで勝とうと狙いすぎた。だけど、それが俺らしさだから仕方ない。」

彼の発言からもわかるように、攻撃的で観客を魅了するスタイルが逆に隙を生みました。

特に1Rでのテイクダウンの場面。

パントージャの右足による小外がけのタイミングは、「堀口恭司選手も練習していた動き」として朝倉自身も後から認識しました。

分析ポイント：
MMAでは、派手な攻撃だけでなく、細かい攻防の積み重ねが勝敗を分けます。
朝倉選手は、「テクニックに引っかけられた」と試合を振り返りましたが、この引っかけの背後には、ATT（アメリカン・トップチーム）でのパントージャの練習環境が影響しています。

ATTには堀口恭司選手を含む、MMA界のトップ選手が多数在籍しています。

彼らとの練習が、パントージャの多彩な技術を磨き上げたのです。

パントージャの技術解説：王者の「隙を逃さない」戦略

王者パントージャの試合運びは、スタンドでもグラウンドでも一貫して冷静でした。

彼は試合後にこう語っています。
「ジョン・ジョーンズのような関節蹴りを使い、相手のリズムを崩すのが作戦だった。」

この関節蹴りは、朝倉選手が距離を保ちたがるタイミングを巧みに潰しました。

さらに、2Rの終盤では朝倉の回避行動に合わせて、ケージ際でのバックテイクからボディトライアングルを決めました。

朝倉選手はこの場面について、こう振り返っています。
「ボディトライアングルは全く動けなかった。相手の密着度が想像以上だった。」

技術的な部分をさらに分解すると、以下のようなパントージャの強みが見えてきます：

• テイクダウン後の足技の使い方
  相手の腰やヒザ裏を狙うタイミングは、柔術の練習量に裏打ちされています。

• バックテイク時のスムーズな動き
  朝倉が反転を試みる際も、パントージャは常に体重をコントロールして優位を保ちました。

朝倉海の復活に必要な3つのポイント

1. クリンチとグラップリングの徹底強化
   今回の敗戦で明らかになったのは、グラウンド技術の細かい部分での課題です。

   ボディトライアングルの解除法や、小外がけ対策は彼の練習メニューに加わるでしょう。

2. スタミナとリカバリーの向上
   減量後に体重を戻す「リカバリー」の技術は、パントージャ戦での明確な差となりました。

   「リカバリー技術をもっと向上させたい」との発言からも、今後の課題が伺えます。

3. 戦略の柔軟性を養う
   KOを狙う一辺倒な戦略ではなく、ラウンドごとに異なるプランを用意する必要があります。

   対戦相手によってスタイルを変える「適応力」が鍵となります。

フライ級での挑戦は続く

「フライ級は、調子が良かった」と語る朝倉選手。

減量の影響はほぼ無く、この階級での手応えを感じています。

ただし、UFCのトップ選手たちとの戦いを乗り越えるには、さらなる経験値が必要です。

朝倉選手は現在28歳。

選手としてのピークが訪れる時期を迎えつつあります。

MMAは総合的なスキルが求められる競技。

スタンドでのスピードや打撃精度に加え、グラップリングでの堅実な対応力を磨けば、再び王座挑戦のチャンスが訪れるでしょう。

ファンとして、彼を応援しよう

今回の敗戦は、単なる挫折ではありません。

朝倉海という選手が、世界に挑み続ける姿勢の証でもあります。

今後も日本から世界へ挑戦する彼の背中を押すため、応援を続けていきましょう！

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