アンダルシアの白い風14(完結編)
こうして、前半4日間の日程を終え、私達一行は、ロンダからバスで出発した。ロンダからの帰り道は、それはそれは、険しい山道で、映画のロケに使ったら良いような、荒野の道だった。こんな、ぐねぐね道を、真っ暗な中、バスでぶっ飛ばして走るのだから、夕べのワインに酔った身体には、やっぱりキツい筈だよね~。でも、今回から、バスの座席を前に移動させて貰ったお陰で、眺めも良く、気分はずっと上々だった。そしてバスは、やがて、荒野の道から、ハイウェイへと乗り継いだ。ジブラルタル海峡を船で国境越えして、モロッコに渡るためだ。遠目に地中海を眺めながら、バスはなだらかな山並みのハイウェイを走った。空は、良く晴れて真っ青。途中に現れる市街地の、建物の白い壁と、スペイン瓦のオレンジが、青空に輝いていて、とても美しい。(ここからは、また今井さんの画像をお借りする。)しばらく走ると、やがて、なだらかに何処までも続く山並みの上に、風力発電の風車が見えて来た。最初、ひとつ、ふたつと、山の上に現れた風車は、どんどん数が増えて、やがて、遠く丘陵地帯一面の広範囲に、大規模に広がっていた。ジブラルタル海峡を渡る風は、ずいぶん強く、風力発電にはもってこいなのだそうだ。スペインは、ドイツ、デンマークに続く3大風力発電国だ。2年前の’08年には、国内供給の40%を超えた事もあるらしい。その他、水力、太陽熱、太陽光発電など、自然力エネルギー利用の研究開発も、とても盛んな国だ。地球環境を守ってくれて、Gracias!↑(ありがとうございますbyスペイン語)タリファ港に近づくにつれ、地中海越しに、アフリカ大陸が遠くうっすら浮かび上がって来た。その昔、イサベラ女王の率いるカトリック勢力によって、追放されたイスラムの人々は、ジブラルタル海峡の風に吹かれながら、このアフリカ大陸を、どんな思いで眺めただろう。かつては、スペイン南部に、壮大なイスラム文化の華を咲かせた人々。だが、歴史の風向きは大きく変わり、自分達の祖先の眠る、かの大地に、再び帰る事になった彼らの胸中にあったのは、安堵感だろうか?それとも屈辱感だろうか?バスが走るにつれ、大陸の影は、次第に色濃くなって、眼前の対岸に力強く大きく広がって来た。タリファ港の近くにも、イスラム支配時代の要塞跡は多い。↓港のぐるり周囲も、こんな要塞跡が取り巻いている。↓私達が乗る船が、港に静かに停泊していた。↓ヨーロッパの端から、アフリカ大陸へ、もうじき船は出発する。>この次は、モロッコを飛びこして、スペインに続いて完結するつもり。