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カテゴリ:映画
「サン・ジャックへの道」(2007年、フランス)
なかなか素晴らしい映画だった。 ストーリーは単純だし結末はある程度読めるし平凡極まりない映画なのだが、日常生活では味わうことのない大自然を堪能することが出来て気持ち良かった。 この映画はフランスのル・ピュイからスペインの聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラまで1500kmにも及ぶ巡礼路を歩くツアーの様子を追ったものである。タイトルにある「サン・ジャック」とはフランス語で聖ヤコブのことで、スペイン語だとサンティアゴというらしい。 ストーリーはただ単にサン・ジャックへの巡礼ツアーに参加した9人の男女(必ずしも巡礼が目的ではない人も) が共に長く過酷な旅をすることにより親しくなっていくとゆうもの。単純なストーリー構成なのだが、それゆえに私は安心して鑑賞でき、映し出される大自然にも目がいき楽しめる余裕が生まれた。またそれだけではなく、薬依存、アルコール中毒、食品添加物の入った食材、携帯電話依存など、人工的なものに囲まれ飽食した現代の人々の様子を描き、それらを皮肉り批判している。彼らが旅を通し自然や人と心から触れ合うことで治療されていく過程も映し出されている。 ただ途中でたびたび挿入される夢想の場面はシュルレアリスム的であり、平凡で自然な巡礼の道のりをただただ映していく映画に新鮮味を加えシャープさを醸し出している…とは思わなかった。無くても良い気がする。 地球に生息する動物の一種としての人間にもどり、せわしない日常や世俗のしがらみから解放され、生きることをただ生きることとして満喫し自然に帰化していく…。景色が壮大で美しく、巡礼ツアーの様子をただ映しているような映画なのに飽きずに面白く、興味深かった。 (ちなみにネットで調べたところ、日本での評価は星5つのうち平均★4つだったのに対し、フランスでは★3つにも満たないくらいだった。風刺的すぎる、と批判されていた。厳しい。) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011/11/17 07:50:30 PM
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