年下彼氏

北朝鮮
20代の頃その国に何故か行ってみたいと思っていた
きっかけは前にも書いた事があるけれど
在日のフリをしたｱﾀｼが働いていた韓クラで
（今思えば在日のフリには相当無理があっただろう）
知り合った北から来たというサラリーマン
その人はパリッと高級スーツをきこなして
いかにもオシャレなスマートな雰囲気で
萩原流行に似た人だった

それまでのｱﾀｼは北朝鮮について殆ど知識は無かった
なんか日本とは違う鎖国をしてる変わった国で
近いけど行けない秘密の社会主義国くらいなイメージ

元々NHKのシルクロードシリーズで
中国にめちゃ憧れた10代を送ったｱﾀｼは
国交正常化で中国旅行がしやすくなり
ちょっとつまんなくなってた（ﾜｶﾞﾏﾏ）
ネパールやチベットにブータン
インドなどあちこち興味はあったんだけども
韓国はといえば
ソウルオリンピック直前で
世の中に韓国ブームが軽～くきていたので
天の邪鬼なｱﾀｼは目を向けなかった

そんな時に偽萩原流行から
名古屋から北朝鮮に行けると聞いたｱﾀｼは
いっきに夢が膨らみまくった
今は知らないけれどその頃は
名古屋空港から北朝鮮への飛行機が
週1日発着していたらしい
偽流行もそれに乗ってきたらしかった
ただし夢がふくらんだだけで終了した
偽流行がｱﾀｼよりも釜山から来たアガッシを気に入ったので
指名されず　そのテーブルにつく事が無くなった上に
それからすぐｱﾀｼも店を辞めて
いつか北朝鮮への関心は薄れてしまった

月日は流れてヨンちゃんと仲良くなり
東方神起を好きになった
ｱﾀｼは朝鮮半島についてのいろいろを読みだした
ヨンちゃんが見て来た北朝鮮や
朝鮮学校での日々と
普段マスコミやなんかで言われている北朝鮮は
似ているけどなんだか違う
それがどうしてなのかｱﾀｼは知りたくて
どんどん　どんどん読み散らかし始めた

そうしていくうち
昔学校で習った世界史が
なんだかリアルになってきたのだ
日本人のいう元冦が何故起ったのか
白村江の戦いの意味
中国　朝鮮半島　沖縄　
韓国の歴史を知ろうとするほど
そこに日本が見えて来る不思議
ｱﾀｼはアジアの歴史を少しずつ遡りはじめている

ヨンちゃんは日本の歴史をあまり知らない
日本で生まれて日本で育ち
世代も殆ど同じなのに
藤原鎌足も足利尊氏も徳川幕府が何年続いたのかも知らない
もちろん朝鮮学校出身でも
きっと詳しい人はいっぱいいるんだろう
ヨンちゃんは元々自国の歴史にもそんなに興味が無い人だし
けれど学校の授業でそう言う事を習わなかったという事に
ｱﾀｼはすごく衝撃を受けたのだ
だって日本に住んでいる在日の人は
みんな習ってるんだと思い込んでいたから
そして西洋人は知らなくて当たり前だと思っている
その何気ない自分の中の偏見がショックだった

イタリアは長靴をひっくりかえした形だとよくいわれる

『そういえば朝鮮は横を向いたうさぎの形なんだって』

横を向いたうさぎ。。。
どう想像しても韓国の形と嵌らない
ヨンちゃんは何を言ってるんだろう
けれどある時はっとした

ああそうか
北朝鮮がうさぎの頭
韓国がうさぎの体
こんな事も分らないんだなぁと思う秋の夜でした