「あんぱん」の土佐弁
今まで2回ばかりこのテーマで書いたが、「現に使われているのにドラマに出てこない言葉」について。言わないこともないが、こっちの方が普通だろうと思うのは、「〜したらいかん」と「禁止語」がドラマ中で語られるのはよくあるのだが、実際には「〜せられん」(〜しちゃいけない)が使われているはずだ。もちろん全国放送なのであまりに分かりにくいものは使いづらいのだろうが、そこはまあ置いといて。風呂屋にはサウナ室の設備があった。大きい貼り紙に、「子供は入られん」と墨の達筆で書いてあった。「言っちゃいけないが・・」は「言われんけんど・・」になる。この言い回しが全く使われていないことに少し違和感を感じている。もうひとつは「〜にかわらん」(〜に違いない)と言う言い回しもそうだ。更に言えば、これを使ったときに「かわらん」というよりは「かあらん」と発音すべきだとダメをいれられた。土佐の言葉は子音の発音にかなりいい加減さを感じるものだ。「どういて」という言葉はドラマでも随所に出てくるが、「どうして」が元の言葉である。Sが落ちてIだけが残っている訳だ。時により「なんで」も出てくるが、これはほとんど使われない。関西弁の標準である。まあ、関東でも通じるはずだが。子音があいまいなのは他にもある。「儂」は「あし」だし、「かまわん」は「かまん」である。どうしてそうなったかまでは論じられないが。面白かったのは「おでん」である。四国山脈の北では「おでん」とは言わず、「関東煮」(かんとうだき)なのに、南では「おでん」になる。ついでながらマージャンの役数も東京風に4つで満貫。大阪だと「でんでん」がついて6つになる。まあ、ドラマでマージャンが出てくることはなかろう。それにしても、太平洋戦争を軍人の目から描いているのは今回のドラマは出色といえる。鉄拳制裁、古兵の暴力をここまで描写したのは過去に記憶がない。私の父も税務署で働いていたので「帳簿が出来るなら事務に来い」となって、後に「憲兵の試験を受けよ」となり、憲兵になって外地に行くのが遅くなり、終戦になったというから嵩の下士官試験に合格した今日の物語みたいなものだ。何がどう転ぶか分からない。