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ルビーのきりん

ルビーのきりん

♪きつねさん?♪

♪きつねさん?♪

 私が小学校3~4年生の時のことです。
 そのころ、私と友人達数人は、「盆踊り」にはまっていました。近くの神社や校庭でやる夏祭りの盆踊りに片っ端から行き、櫓の上に上がって、それはもう踊りまくり(?!)お開きになる午後9時ごろまできっちり過ごすという、小学生にしては渋すぎる趣味でした。
 今思えば、よく両親も9時ごろまで小学生の娘を一人で出してくれたものです。当時はまだ陰惨な事件も少なかったし、夏祭りの日などは遅くまで人通りが絶えなかったので、安心していたのでしょうか。
 ある日、その年の最後の夏祭りの最後の日、お開きがもう9時を回ってもお開きにならず、とうとう最後の曲が終わって本当におしまいになったときには、9時半を過ぎていたと思います。
 友人達と途中で分かれ、家まであと7~8分、というところで、なぜか全く人通りが無くなってしまいました。
 さっきまでの浮かれた気分が急に消えて、街灯の明かりはあるものの、しんと静まりかえった道はやけに広く、暗く、私は緊張して足を速めました。
 すると、向こうから一人の女の子がやってきたのです。ほっとして緊張も解け、足取りも軽くなりました。こんな時、見知らぬ人でもいると心強いものです。それも、自分と余り年の変わらない女の子ですから。
 すれ違いざま、その子の姿がくっきり見えました。
 細い涼やかな目、白い肌、私と同じ浴衣姿で、なぜか古めかしい提灯を持っていたのです。
 そして、浴衣ですから当然下駄を履いているはずでしたが、足音が全くしませんでした。
 なんか変だな、と思いながら、無事家に着いてからあれっと思いました。
 もう、盆踊りは終わっていたのに。
 盆踊りは町内ではそこでしかやっていなかったのに。
 なぜ、あの女の子はあんな時間に一人で浴衣を着て、いったいどこへ行くところだったんだろう。
 怖い、という気持ちはありませんでした。
 まだ幼かったし、もしかしてきつねが、私を心配してわざと通りかかってくれたのかな…なんて、半ば本気でそう思ったのです。
 とてもきれいな女の子でした。今でも何となく面影が浮かびます。

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