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昔、ずっと昔から、召使いは王女様に想いを寄せていました。
王女様もやがて、召使いの誠実で一途な想いに心を打たれ、いつしか二人は時間を共に過ごすようになりました。 とても優しい時間が二人の間を流れてゆきました。 いくつもの時が流れました。 そして二人の間には、塞ぎようの無い溝が出来てしまっていたのです。 それは誰のせいでもありませんでした。 二人の住む世界が違いすぎたのです。 王女様「このお城から私を奪って逃げて」 召使い「あなたに貧相な暮らしはさせたくないのです。あなたの為になるのならどんなことだってしましょう」 どちらの気持ちも実に正直な想いでした。 でもだからこそ縮まらない距離が二人に生まれたのです。 王女様はいつだって顔色をうかがう召使いが嫌になりました。 細やかな気遣いが苦しかったのです。 召使いもわがままな王女様にうんざりしてしまいました。 奔放な王女様についていけなくなったのです。 「あなたは私が本当に欲しいものをわかってくれていないわ」 「何が欲しいのかはっきり言いつけてくれればいいでしょう」 二人はもうすれ違うばかりでした。 王女様はある日、自分で長い髪を断ち、お城を出てゆきました。 召使いはその意味がわからず、泣きくれるばかりでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2003年09月30日 00時14分31秒
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