3月18日3月18日(ボルケーノ)薄暗い入り江の向こうにヒロの町並みが霞んで見え、 その町並みを抱えるかのように、 雪を被ったマウナケアが遥かそびえている。 18日朝の景色。 二人でそれを眺めながらラナイで朝食。 今日はヒロから約50km離れたところにある、ボルケーノ国立公園へ。 ハワイ島で、どうしても見たかった場所の一つ。 ホテルを9時過ぎに出発し、11号線を南下する。 10時前にはボルケーノ国立公園のゲートに辿り着いていた。 事前にガイドブックで得ていた情報では、 車両1台につき$10のパスの購入が必要だということだったが、 特に支払うこともなくゲートをパス。 まずはビジターセンターへと向かう。 ビジターセンターでは、現在の火山の状況とかetc...。 大変勉強になり...(笑)。 ...5分でパス。 道路を挟んで向側にあるボルケーノハウスへ。 歴史のあるホテルで、キラウエア・カルデラの縁に建っている。 暖炉のあるロビーを抜け、ちょっとした売店へ... ふと目線を上げると、想像を超えた光景が広がっている。 はやる気持ちを抑えながら外へ。 眼前いっぱいに広がる巨大なクレーター。 「すご....。」 息をのみ、一言を発するのが精一杯。 光景に圧倒されるという感覚をしばらくの間、思いっきり味わう。 目に映るもの全てに心動かされながら、 小さなトレイルを歩く。 5分ほども行かないうちに、 ちょうど、ボルケーノアートセンターがある辺りに出たので、 センターの中を覗くことにした。 アートセンターの中は、 地元のアーティストによる作品が、 それほど高くない価格で販売されている。 興味深く見ながら、何点かお土産を購入。 センターの方が、 「今から表のステージでフラやるわよ。」 と親切に教えてくれる。 フラの内容はよく分からなかったが、 いわゆるホノルルで見るようなフラとは違い、 非常に古式ゆかしいものであるらしい。 (後ほど、どういうものか判明するのであるが...) フラを堪能し、先を急ぐことにする。 キラウエア・カルデラの縁には道路が通っており、 車でぐるりと1周できる。 途中、大地の裂け目サウスウエスト・リフトに立ち寄り、 今回の目玉、ハレマウマウ・クレーターへ。 ハレマウマウ・クレーターは、 キラウエア・カルデラの中にあるクレーターで、 大きな穴の中にもう一つ穴が空いているような場所。 伝説によると「ペレ」という女神の住居だそうだ。 近くのパーキングに駐車し、 クレーターまで5分ほどのハイキング。 クレーターの近くには、 安全のためか柵が張られている。 その柵の外に、誰が置いたのか供え物が添えられている。 ここが信仰の対象であることは知っていたが、 実際にそれを感じさせる現場を見ると、 ちょうど神社に参詣した時のように背筋が伸びる。 その昔、このクレーターの底が煮えたぎる溶岩で満たされていたとは、 にわかには信じがたい。 今ではまるでタールを流し込んだように、 黒光りする岩石で覆われている。 クレーターを後にし、さらに先へと歩を進める。 10分ほど歩くと前方に恐竜の背中のような地形が見えてくる。 どうやら以前カーテン状に噴火した名残のようだ。 圧倒されっぱなしの風景だが、 次第にお腹も空いてきたので、 駐車場へ戻ることにする。 風景は食欲には勝てないらしい...。 ハレマウマウ・クレーターの横を通り、駐車場へと向かう。 すると、向こうから見覚えのある人たちが歩いてきた。 アートセンターでフラを踊っていた人たちだ。 手には捧げものを持っている。 興味津々に彼等の後を追う。 立ち入り規制しているロープを超え、 クレーターのすぐそばへ。 おもむろにチャント(詠唱)が始まり、 フラが捧げられる。 ひとしきり踊った後、捧げものをクレーターに投げ込んで終了。 アートセンターで見たフラは、 ここに住むと言われている女神「ペレ」に捧げられるものだったようだ。 えも言われぬ感動を覚えながら、 それでも食欲に突き動かされ、一旦、公園を後にする。 昼食はボルケーノビレッジにある「キアヴェ・キッチン」へ。 ピザとサラダと手作りのソーダで昼食。 店内は気持ちの良い空間で、非常に雰囲気が良い。 店に居る誰もが笑顔だ。 ピザがとても美味かったが、思いのほか熱く喉の奥を火傷してしまった。 (帰国してからも2週間ほど痛かった...) キアヴェ・キッチンに居る間に雨が降り出す。 通り雨だろう、なんてタカをくくっていたが、 どうやら止みそうにも無い。 意を決して再度公園内へ。 公園のゲートではやはり$10徴収されることもなく入場。 まずはラバチューブ・トレイルへ。 その昔、溶岩が流れていたトンネルだそうだ。 どんなにゆっくりと歩いても20分ほどで回って戻って来られる。 少し雨に濡れながら、でも気持ちの良いトレイルだった。 そして雨の中、車を海岸に向けて走らせる。 溶岩と海が出会う現場、 大地が出来ていく現場を見にいく。 30分ほどで海が見えてくる。 思いのほか遠いが、幸運にも雨は上がっていく。 大きく左にカーブ。 道が海岸と平行になる。 はるか前方に水蒸気が上がっている。 道の終点近くに車を止め、 海岸を歩く。 徐々に水蒸気が大きくなっていく。 なぜかプリミティヴな気分が高まってくる。 誰しもこんな気持ちになるのだろうか。 自分のDNAに刻み込まれた何かの記憶が呼び起こされるような気分だった。 できれば、まさにその現場まで行きたかったが、 少し距離があり、空からは今にも雨が降ってきそうだったので、 後ろ髪を引かれながらその場を後にすることにした。 できれば次回はボルケーノで1泊し、じっくりと堪能したいと思う。 <余談> ハレマウマウ・クレーターの溶岩の大地を歩きながら、 こんなところを走る大会があったら面白いだろうなあ、と思っていた。 ...調べてみると、なんとあった。 24TH ANNUAL KILAUEA VOLCANO WILDERNESS RUNS 今年は7月29日に開催されるようだ。 世の中には物好きが多いものだと感心するが、 機会があれば是非参加してみたい。 明日はいよいよBig Island International Marathon。 雨は降り続いていたが、 明日の朝には止むだろうと根拠の無い予想をしながら就寝。 19日へ続く |