致死量の毒

2008/11/05(水)12:57

袈裟懸け

「袈裟懸け」とは、大正時代、北海道三毛別にある開拓部落を襲った羆の名前である。「袈裟懸け」の起こした「三毛別事件」は北海道最大、日本最大、世界最大の熊害事件として有名である。 で、なんで突然「袈裟懸け」なのか?と言えば、大爆笑おぽんちビジネス漫画「大空者」を連載していたビジネスジャンプで現在好評連載中のB級ホラー(またはC級スプラッタ)漫画『シャトゥーン ~ヒグマの森~』(原作:増田俊成)で語られたからである。デタラメが。 Amazonの書評を読む限り原作は出来の悪いB級ホラー小説のようだが、漫画版はすぷらったらったらったうさぎのダンスなC級スプラッタ漫画で、手負い羆の怖さなんかこれっぽっちも伝わってこない駄作。で、漫画なモンだから、羆が人間を解体したり生きたまま喰らったり生首が転がっていたりと、気持ちの悪いスプラッタな状況を強調する事で出来の悪い話を何とか「怖い話」にしようとして必死に空回りしていたりする。で、今度は実際の事件を出してきた訳だ。 例えばこんなセリフがある。 『子供の頭を噛み砕き 妊婦の腹を裂いて動く胎児を貪った』(2008/11/19号より/以下同様) 嘘である。 子供の頭を噛み砕いたのは本当。ただし、喰われてはいない。 妊婦の腹を裂いたのも本当。ただし、喰われたのは妊婦だけで胎児はそのまま放置されていて「動いて」いた(後に死亡)。 例えばこんなセリフがある。 『ヒグマに埋められていた死体を掘り返し葬式をしていた場に現れて棺桶の中の半食いの死体を奪っていった』 嘘である。 「袈裟懸け」に保存食として埋められていた死体は当初そのままにされていたが、「盗られたモノは取り返しに来る」という羆の習性を利用して、「袈裟懸け」を仕留めるための罠として掘り返されたのであり、葬式の最中に羆が乱入して取り返していったなんて話は無い(*1)。 実際の事件を使って羆の怖さを伝えようとするのはいいのだが、その使われた事件の内容が誇張したデタラメってのは問題なんじゃないのけ? つーかそもそも、『6日間で8人を食い殺して3人に重傷を負わせた』って話自体、間違ってる(*2)んだがな(呆 あ、それとついで。 漫画作中に三毛別事件のイメージシーンが3コマ程あるんだが、これもデタラメ。当時の開拓部落は事件現場に再現されていて、ネットでも検索すりゃあすぐに出てくる(*3)んだから、ちゃんと調べて描けよな(けっ シャトゥーン 羆嵐 慟哭の谷 旭山動物園 お座りエゾヒグマ ぬいぐるみ *1)最初の犠牲者の通夜の場に姿を現したという事実はある。なので、後の「罠」の話と合わせて捏造したエピソードだと思われる。 *2)袈裟懸けの襲撃で死んだのは6人(後に死亡した胎児をれると7人)で、実際に喰われたのは4人。 *3)例えばコレ。

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