092633 ランダム
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HP de るってんしゃん

タンカ2

私が、大学4年間で詠んだ歌、こっそり載せます!(そして誰も見ませんように(笑))


「カラッポの傘」三十首


思い出になれない過去は本日で捨ててしまおうなんてできない

カラッポになりそうだから怖くって疑問詞だけで自分を繋ぐ

春色の傘より空は何倍も白かったのに誰も見てない

リバースのカードが二枚続いてて私の意思は隠されたまま

もう一度片想いから始めればいいと分かったフリをしている

十冊の本が並んでいた頃を全て忘れてしまいましたか

水圧で浮かぶ指先が示した行くべき道は乾いた未来

絶望も言ってしまえば透明なフィルムを剥がすようなものです

つま先を揃えて眠るような夏 空を飛ばない紙ヒコーキと

透き通るオレンジ色の夢だから君は一体どこにいますか

バス停の明かりが傘の柄を照らす答えはここにないというのに

目を背け続けた先はカラッポで今日も私は水に絵を描く

クーラーの音でうるさい図書館に冷えた机と重たい手首

テレビ番組も人間関係もザッピングして安堵を保つ

いないのは分かりきってることだから遠く眺めるだけの黒板

ひどいことしましたなんて言う君を思い出すから眠れない秋

いや別に今のままでもいいのよと欲に見えない欲を飲み込む

「とまります」ピンクのランプ点々と夜に向かって主張するバス

シャーペンの芯は余りが出るように全てを捧ぐことはできない

ぽつぽつと雨音が鳴る傘の下ため息ひとつふたつみつよつ

句読点の無い君からの手紙を日記の後ろ表紙に挿む

本当に悲しんでいる人に歌なんて詠んではいけない掟

カラッポになればいいさと塗れた手で曇り鏡の自分に記す

真っ白なフリース生地をまとう君 師走の先に見つけた檸檬

「天使だ」と神も信じてないくせにまぶたに映る君に呟く

正解は強制されるものでなくここから見れば雲も五センチ

君との適当な距離がつかめずに机のズレを整えていく

夢の夢の夢の夢の夢の夢の夢で会える君も優しい

四時三分一〇四九ページ「馳せる」に赤で印を付ける

君という言葉を何度唱えても君が誰だか君は知らない



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