タンカ3私が、講師時代4年間で詠んだ歌、こっそり載せます。(でも、見なくていいです(笑))「選択肢の音」三十首 もう時効だからと言って何もかも許せるほどに優しくはない あの頃のイタさを武器にして隠し持った仮面を宙に投げ出す 「ひさしぶり」と言って笑う君がもう誰かのものになっていたとは リピートをかけてたはずのCDが止まってエンジン音だけ響く 太陽の見える空から降る雨の冷たさに触れた手で見送る 人生は後悔の連続だから おめおめ生きて君に会いたい 七階に上るエスカレーターが私の想いの深さを衝く 馬鹿みたい。高三から私何も変わっていない歌を詠むんだ。 白い空の下に浮かぶ白鷺の足元ばかり見つめていたり 同僚の別れ話を聞きながら知ったかぶりで相槌を打つ 台風をはさんで送り合うメール 警報なんて無視し続ける 夢じゃない安堵をくれる貴方との間に挿むカシスオレンジ 暗闇でパッと繋いでくれた手のぬくもりを今思い出してる 今ならば貴方との境界線が消える気がした 夢だったけど ハングリー精神なんて本当はいらなかったと苦笑いする 傷つけばいいじゃないかと麻痺してる38.5℃の平日 この世には死ぬより生きていることの怖さの方が多いと気付く 夢さえも出演拒否の貴方から届いたメールに保護をかける 考えることをやめようと考えることがやめられない脳内 あの立派そうに振る舞う同僚は果たして私より幸せか 差し迫る時間に無駄な抵抗をするがごとくに足裏を掻く まだ悟ることができずに一人また手帳を眺めてる昼休み ポジティブなフリをするのは簡単で自分自身をダマすのは下手 きっとまだ悩めるという選択肢があるだけマシだと思うべき 同僚に好かれることが正解か?この「か」の意味はたぶん反語で 曇り空の上に潜む日食を睨んで夢とシンクロさせる まだ行ける。まだ生きられる。私なら。開き直りも必要なんだ。 夢の中でそっと爪弾くレスポールと反響する私の心 舞い落ちる三十一の言の葉に接吻をして「ただいま」と言う こうやって秒針だけが私より早く進んで今日はおしまい |