アジアの買い物交渉術 番外編同じ物だったら少しでも安く買いたい。これは俺のようなバイヤーだけじゃなくすべての人が思うこと。 その気持ちが異常を通り越し、狂気までいってしまっているのがアジアだ! アジアでの値段交渉は当り前である。 そしてアジアの店員は客の風貌・国籍・商品を手に取るタイミングによって、最初の言い値をうまく操る。 特にインド辺りでは100円で買える物を200円と言う店もあれば、3千円と言う店もある。 そこからの値下げ交渉は楽しいし、「この商品にいくら払えるか?」という価値観の問題だから、まぁいい。 俺は買い付けをして日本で売る職業なので色々な手を使う。 いきなり値段交渉に入らず「いい天気だねぇ」的な日常会話をひとしきりして、 「ところでこれっていくらぐらいなの?」みたいに切り出していく。 帰るそぶり作戦で更に安くする、というのは有効かつ定番だ。 相手に下げる余地があれば絶対引き止めに来る。 ちなみにアジアでは店によってタバコの値段が微妙に違う。 タイを例にとると、40バーツ(約120円)の店と39バーツの店(約117円)で売っている店とある。 問題は40バーツで買った後に39バーツの店を見ると「しまったぁ!」と異常にガッカリすることだ。 貧乏旅行者の中にはタバコに限らず、土産物屋などで1バーツの値引きを巡り、 ケンカごしにアツくなってる奴もいる。 俺はその1バーツを値切り勝ち取ったタバコを吸っているのだ。 けれど1泊200円の安宿に戻って冷静に考えてみると、1バーツ=3円弱なのである。 たった3円のことに一喜一憂していた自分がまったくアホらしくなる。 日本じゃ3円の違いに目くじら立てることはないのに。 しかしアジアはそれが当り前なのだ。 アジアへの旅は、自分をひとまわり成長させてくれると同時に究極のせこさ、 みみっちさを身につけてしまう旅なのである。 俺はそんなくだらないことにエネルギーの全てを使うアジアが大好きだ。 皆もツアーじゃなく、独りでアジアを歩いてみようよ。 アジアでいくら迷子になったって、地球の外に出ちゃうことねぇんだからさ。(終) ジャンル別一覧
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