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放浪の達人ブログ

山と犬

  【山と犬】

俺の家ではまだ1歳に満たない犬コロを飼っている。ミニチュア・シュナウザーという
おドイツの犬なのだがとにかくかわいい。わんわん動物園の専門学校に通っている娘が
しつけを上手くやったので、お座り、お手、待て、伏せなど一通りの事は出来るのだが、
彼の特技は「おまわり」である。おまわり、と命令しなくても室内のゲージの中で
自分の尻尾を追いかけて延々と回り続けているという秀才犬だ。部屋の中で放してやると
寝転んでいる息子や俺の上を巧みにジャンプして走り回っている。
昼間は俺のヨメと一緒に昼寝をするという任務もこなしている。
犬をよく見ていると尻尾や顔付きで感情がわかる。特に尻尾の振り加減は感情がよく表れ、
俺はそれを「感情のメトロノーム」と名付けている。

犬といえば海外で何度か怖い目に遭ったことがある。バリ島のウブドゥ村の裏通りでは
昼間から野良犬に囲まれて大変だったし、タイのアユタヤ遺跡の中で野宿しようとしてたら
これまた野良犬にさんざん吠えられて追い出された。タイの犬は昼間は大の字になって
無防備に道で寝ているのに、夜になるとまるで狼のように狂暴になるのだ。

でも仙人のような犬を見たこともある。ネパールでヒマラヤトレッキングに行った時、
標高4000mの聖地あたりで俺の後ろをトコトコと静かについて来る犬がいたのだ。
俺が立ち止まるとヤツも立ち止まり、また歩き出せば距離を保ってついて来る。
何を欲しがるわけでもなく尻尾を下に垂らして従順にすぐ後ろを歩くのだ。
そいつは俺がアンナプルナの雪煙を撮っているうちにどこかへ消えてしまった。

また、バリ島のアグン山に登っている時にも1匹の犬がいた。
夜中の2時から熱帯雨林を抜けた後、真っ暗で急な岩場をよじ登るのだが、
空がオレンジ色に染まる頃に俺は1匹の犬の姿を発見した。
その犬コロは俺より先に山頂に登り、眼下に広がる雲海を見下ろしていたのだ。
その後あの犬は自力で下山できたのかちょっぴり心配である。

ここでちょっと意地悪な考えが浮かんでしまった。うちの犬を山に連れて行き、
山頂で「待て!ずーっと待て!」と言い残して下山して帰って来ちゃったら
ヤツはずーっとその場から動かないのだろうか?
もしかしたらヒマラヤの犬もアグン山の犬も、飼い主がそんなイタズラをしたあげくに
その山に住みついてた犬だったりしてな。で、うちの犬をそうやって置き去りにしたら
後日有名な犬になるかもしれねえな。
「山頂で自分の尻尾を追いかけてグルグルずっと回ってるアホな犬を見た!」ってさ。(笑)

(今月のお便りのページに俺んちの犬【ルーク】が登場してます)

ルーク~リバ掲載画像


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