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放浪の達人ブログ

交差点の怪

【交差点の怪】

俺は霊感なんか持っていない。幽霊なんかも全く信じない。
「私、霊が見えるんです」なんて人がいたらその人の人格を疑うぐらいだ。
怪奇現象なんてものは徹底的に分析をすれば科学的に解明されると思っている。
地球外生物が存在するという可能性は生物学的にはアリだとは思うが、
UFOという未確認飛行物体は軍による最新鋭飛行物体とかドローンとか
結局は人間が作った試験的なものだと思っている。
それぐらい疑い深いのである。ましてや霊なんて問題外で否定する。

とはいうものの10年前の8月に岐阜の山奥にある避難小屋で独りで泊まっていたら
深夜に枕元を歩く音を聞いたり窓を揺らされたりの超常現象を体験し、
それから2年間は大好きな山歩きが怖くて出来なくなったこともある。
あの時の現象は科学的に分析しても理解出来ない体験だったし、
ネットで調べたら「いわくつきの無人避難小屋」だという書籍も見つけた。
かといって実際に霊の姿を見たわけではないので心霊現象に遭ったとは全肯定できず、
あの夜のことを思うと未だに悶々としてしまうのである。
そんな神も仏も霊も信じない俺が、この1年間で3回も変な場面に出くわした。
今回はそのことについて書こうと思う。

不思議な体験をした場所はズバリ我が岡崎市内である。
俺はほとんど毎週のように福岡町に住んでいるスリランカ人のアパートに遊びに行く。
ある冬の夕方5時頃、彼らのアパートからの帰路で上地町の小さな交差点で信号待ちをした。
俺の車はヘッドライトを点灯して右折待ちをしていた。
そして信号が青に変わり、交差点の中央を抜けて横断歩道に差し掛かった。
歩行者用信号も青だが歩行者はいなかったのでそのまま通り過ぎようとした時、
不意に黒い上下の服装をした痩せ型の中年男性が横断しているのに気付いた。
「しまった、見落としてたか」俺は慌てて横断歩道手前で急ブレーキ。
ヘッドライトに黒い男性の姿が浮かび上がった。
「危なかった、轢いちゃうとこだった」と心臓がドキドキしたぐらいのタイミングである。
黒い男はこちらを見るわけでもなく一瞬立ち止まるわけでもなく横断歩道を歩き続け、
俺の視界の右側へと消えて行った。もちろん霊的な雰囲気は一切ない。
俺は歩行者見落としという自分の不注意を反省しながら家へと帰った。

約半年後の夜8時頃、俺は同じスリランカ人のアパートから帰るため、
またしても同じ上地町の交差点で信号待ちをした。
その時は半年前の歩行者見落としのことなどすっかり忘れていた。
そして信号が青になり車を右折させたのだが、またしても黒い服の男が急に現れた。
半年前と同じ人物かどうかは分からない。しかし状況は全く同じ。
俺は急ブレーキを踏み男の前でギリギリで停止。
照明のない暗い交差点で男の姿だけがライトに浮かび上がる。
男はやはり俺の車の方など見ずに横断歩道をそのまま渡って行った。
その時も俺は「また見落とした。しかも同じ交差点で。この交差点は暗くていかんな」と
その程度しか考えなかったがそれ以降はその交差点ではいつも以上に注意するようになった。

それだけだったら怪奇現象でも何でもない、ただの俺の不注意で話が済む。
しかしそれから数ヶ月経った深夜1時前、俺はまたしても同じ交差点で同じ目に遭ったのだ。
2度のヒヤリとした事故未遂の後、俺はその交差点では他よりも慎重に運転していたのだが
黒い男と遭った3度目の時は「この交差点は見にくいから気を付けよう」という意識を忘れていた。
近くにコンビニや会社やアパートなどない照明のない小さな交差点、
まさかそんな交差点を深夜1時頃に歩行者が歩くなどとは想定外だったのだ。
3度目のその時も俺の車は横断中の男の前で急ブレーキで停まった。
男は車に轢かれそうになったことなど感じなかったように、やはり立ち止まりもせずこちらも見ず
黙々と横断歩道を渡って行った。俺は過去2度の事故未遂のことを瞬間的に思い出していた。
「なんで?なんでいつもあの男がいるんだ?しかも俺の車の直前を・・・」
黒い服の男の姿を目で追って見ても別に半分透けているわけでもない、至って普通の中年男性だ。
霊的な感覚すら全く感じられない。しかしこんな偶然が同じ場所で3回も起こるだろうか?
何か腑に落ちない感情を抱いたままだが、これって怪奇現象なのだろうか?


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