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両国さくらのファッション・イン・ファッション(Fashion in Fashion)

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2005年12月21日
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カテゴリ:読書日記
本を読むのは好きだが、例外なく面白いのは経営者自らが書いた本である。文章が上手な方かどうかは関係なく、実体験に基づいた成功事例には強い説得力があるからだ。

前、「自由が丘スイーツフォレスト」の話題の中でもご紹介した、スイーツショップ、シリアルマミー代表の篠直余さんの著書『知識0の専業主婦が楽天・デパ地下で大成功した秘密』(ブックマン社刊、定価1,238円+税)も、そんな本であった。

楽天さんの人気店さんなのに、何故か楽天市場の中での取り扱いがないのが残念だが、これから起業されたい方、中小企業の経営者の皆様には、是非一読をお勧めしたい。シリアルマミーさんはリアルでもネットでもご商売なさっておられるので、どちらか一方しか手掛けていない方にとって非常に読みやすい本だという気がする。

専業主婦だった篠代表が、ご主人が経営する代官山のレストランで、インフルエンザで倒れたパティシエとフロアスタッフのピンチヒッターに立ち、周囲の反対を押し切ってフレンチトーストを販売、雑誌「Hanako」編集部の目に留まってから大ヒット商品に・・・というところから、ビジネスチャンスを掴み拡大していかれる様が、非常にドラマチックに描かれている。

私も仕事柄数多くの経営者の方にお会いする機会に恵まれているが、篠代表は、やはり、成功する人に共通する資質を持ち合わせておられるように感じた。

それは、次のような点である。

・素人の利点を最大限に活かすこと。

経験がある人が必ずしも起業に向くとは限らないが、仕入れルート、販売ルートを持っているとか、業務プロセスに精通しているとか、従業員のスカウトにも有利とか、全くの素人よりは相当に起業しやすい、というのは事実だろう。

しかし、「わからないことは素直に認め(中略)、お願いすることはお願いするという姿勢でいると、なぜか周囲のプロフェッショナルの人たちが手伝ってくれるようになるものです」(同書)と篠代表は記している。

後述するが、人一倍努力する、という一生懸命さと、素直さ、謙虚さ、それがあれば、道は開ける、ということだろう。

このことは、わが業界で工場の方がファクトリーブランドを立ち上げる際に、外部の企画のプロの方と組む場合にも言えることではないだろうか。

・タイミングを逃さない

新規事業の立ち上げにとって一番重要な点である。

タイミングには外部環境の問題と内部環境の問題があり、双方が良い、と思われる時でないと難しいと思う。

かなり優秀な経営者の場合、早すぎて失敗、というケースもあるが、2次起業しようとする中小企業さんの場合、いつまでも踏ん切りがつかず、結局踏み切れず年をとってしまう、というケースの方が圧倒的に多いようだ。非常にもったいないと思うんですけどね。

それこそ、「失敗したらやり直せばいい、それだけのことなんです」(同書)なのだ。早くチャレンジできる人は、撤退もスピーディーに出来るはず。これも、短距離走のスタートダッシュのように、イメージトレーニングと実戦経験で自分の能力を高めることは出来るようになるように私は思う。

・自分が納得するまで努力すること

このくだりには、「うん、うん」と思わず頷いてしまった。

私自身が大した努力もしていないのに書くのは僭越だが、篠代表はこう言い切っておられる。

「努力しても報われないことのほうが多いかもしれません。しかし、努力しなければ成功の可能性も無いということを知ることが肝心。(中略)私は努力している、と公言している人の中で、本当に努力している人が、何人いるのでしょうか。努力の度合は人の感覚によって千差万別かもしれませんが、私は極限まで自分を追い込んで、もう死ぬというところまでやらないと納得できないのです」。

激しい文面だが、具体的な場面場面を読むと篠代表が本当に言葉通り半端ではない努力を重ねてこられた方だということがおわかり頂けると思う。特に、ネットショップ立ち上げ後、当初売れなかった楽天のサイトを必死に研究して改良していかれるくだりには、私は強く感動した。

・商売には観察力が必要

メーカー、小売業を問わず、これは必須事項であろう。

篠代表の場合、起業される前に日本舞踊を真剣にやっておられた経験から、観察力が身についたのだそうだ。

観察力、言い換えると、「気づき」、そして、気付いたことをすぐに現場に落とし込み改善する、その繰り返しで、商品もサービスもお客様に喜ばれるものになっていく。

私が感心したのは、「行列の法則」である。行列を途切らせないようにするために、篠代表は、お客様の人数が少なめだな、と思ったら、接客の際ひと手間増やして(要するに、お包みしたりする工程を1、2増やす、ということである)丁寧な接客に務め、列の長さをキープするように心がけておられたそうである。

これ、私自身も、販売をやっていたときに先輩から教わって実行していたことに近い。店内にお客様の数が少ない時は、お客様を少し「遊ばせてあげる」=沢山試着して頂いたり、少し世間話を長めにして、売り場に活気を持たせる、ということである。

・地名の法則
新宿の伊勢丹さんでの催事販売の初日、「シリアルマミーです」と言っても誰も振り返ってくれなかったので、「代官山『シリアルマミー』です」と言い換えたところ、とたんにお客様が反応した、という話・・・。

これにはいろいろと考えさせられるところがあった。

地名って、その街の持つ歴史というか、時間をかけて形成されてきたイメージと分かちがたく結びついているところがある。更にその根っこには、その時が台地なのか沼地だったのか、というような、地質学とか、お城を建てるのに向いている立地なのか、逆に攻め込まれやすい立地なのか、といった地政学的な要因も絡んでいたりして、コトはそう単純ではない。

岡山に居た頃、大学の社会人向けゼミで一緒に勉強していた一級建築士の方が、「地霊」という言葉を使っておられた。その土地土地に棲む神様のようなものを無視して、地域開発、都市開発を行うと、うまくいかないのではないか、ということを話しておられ、そういう宿命論的な考え方には同意し難いところもあるのだが、しかし、その説には非常に説得力があるように思ったのである。

広い東京の中には、いろいろな街があり、それぞれの地質、立地、歴史を背負っている。その結果、オシャレな街・○○、とか、下町・△△、といったイメージが多くの人の間で共有されるようになっている。

篠代表のショップがある代官山は、ファッショナブルな街、というプラスのイメージがあり、ファッションビジネスや食のビジネスの発信地としては最適の場所であろう。

だが、わが愛する「両国」はどうか?「墨田」はどうか?背負っているモロモロのイメージの中には、ファッションの発信地としてそのままプラスに活かせるものもあれば、やや不利なのではないか、と思えるものもある。

この問題は、正直、うちの地元を始め、東京東部地区の企業さんが事業を立ち上げる際には自社のターゲット、ポジショニング、販路、ブランディングの問題と絡めて相当真剣に考える必要がある問題だと私は思っている。

ただ、どちらかというと「古い」とか「ものづくり」とかいうイメージがあるだけに、その対極にあるような若さ、斬新さ、感性、クリエイティブ力があればそれは突出した個性として評価される可能性も非常に高いのではないだろうか。

もしくは、歴史や伝統、ものづくり系企業の強みを素直に生かしてブランディングするか。

残念ながら、東京は山の手にクリエイティブな企業や人材、そして大学や専門学校などの教育機関が集積してしまっており、非常に東西格差が大きい地域である。面白いヒトと出会えない、出会う絶対回数が少ない、ということは、数年のスパンで考えると非常に大きな機会損出なのだ・・・。

このハンデを補うために外へ出て行くのか(リアルだけでなく、ネット上での活動も含めて)、あるいは、自分のリズムでじっくりと腰を据えたビジネスを行うのか、その辺も、熟考する必要があるでしょうね。

以上、この他にも、商売をなさっておられる方が読まれるとすぐに自社のビジネスに応用できるような記述が多々あり、面白く読ませて頂いた。それ以上に、同書の末尾の方で切々と綴られている、主婦業、家庭と仕事との両立に関するくだりは、本当に綺麗事ではない篠さんの生の声、心の叫びのような文章で、読んでいて涙がこぼれそうであった。

皆様も良かったら是非どうぞ!オススメです。

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最終更新日  2005年12月21日 23時59分31秒
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