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カテゴリ:ショップリサーチ
今月16日に行われたジャパンブロガーカンファレンスの主催者で、アリエルネットワーク(株)プロダクトマネジメントマネージャーの徳力基彦氏が個人でやっておられるFPNに参画することにしました。
徳力さんと名刺交換が出来る、という幸運に見舞われたのは、旧知の間柄である葛飾の若手IT社長さんのお陰であるm(__)m どこかでお見かけしたことがあるような、と思ったら、徳力さんはオールアバウトジャパンの人気ガイドさんの一人なのだ。 FPNは、ビジネスブログのコミュニティなので、自己宣伝系、というか、さくらの地元企業さんやら応援している若手のデザイナー、クリエーターさんなどのネタは避け、まずはファッション業界全体に影響力のあるような【ニュース解説】を行う日のみアップします。 いずれは、地元のファクトリーさんや起業家の皆さんの動きが、このブログオリジナルのニュースとして世間に認知されるようになって欲しいと思うのだが・・・。来年こそ両国発の元気なニュースをバンバン発信できるように頑張りますので、皆様応援ヨロシク、ですm(__)m さて、一昨日の話で恐縮だが、恵比寿のテクスタイルデポに出向いた帰り、代官山を散歩してきたので・・・。 ワールドさんが今年9月に立ち上げた新しいセレクトショップ「ファウンドフレス」について少し記してみたい。 同ショップは、同社の人気セレクトショップ「アクア・ガール」出身の女性の方をディレクターとし、「アクア・ガール」よりも大人のお客様をターゲットとしたセレクトショップである、という触れ込みである。 代官山の八幡通りを、鉢山中学校の手前辺りまで歩いていったところに「ファウンドフレス」の1号店はあった。東急の代官山駅からは徒歩10分強。幾つかの有力店を見て、更に先まで行かないとたどりつかない立地だから、その先にワールドさんの他のショップがあるとは言え、当然ファッションが相当好きで、買い回りを真剣に行っているような客層向けの、濃いMD、店作りで勝負する必要があるのだが・・・。 さすがワールドさん、期待に違わぬお店であった。 ビルの1Fを改装して作った物件で、天井は低く、売り場面積も恐らく100平方メートルくらいかな、という程度の小さな売り場なのだが、店内を確か5つの部屋(?というか、コーナー、と表現した方が正確かもしれない。壁はないので)に仕切り、それぞれにまとまりのあるVMD、商品構成で、大人の上質感を表現してあった。 物件全体では横長の売り場だが、一番奥の部屋には、非常に大判の写真がドーン、ドーンと飾ってある。その手前に、少しひとクセある個性的な商品を固めてあり・・・。 エントランスの部屋は、今一番売りたいコート、次の部屋はニット中心で、売り上げを取っていくメインの売り場とし・・・。 向かって左手は、アンティークのジュエリーや、スカーフなど、小物でインパクトを持たせ。 向かって右手は、価格帯の高い、インポートの洋服主体の売り場となっているように思った。 実際はもっと複雑な品揃えなのだが、一般的に長方形1つの売り場であっても、売り場を作る際に什器を幾つかの塊にグルーピングして、「ここは売れ筋のコーナー」「ここは見切り処分品」「ここはコートを打ち出す場」などということを決めてVMDを組む、というのは小売業の基本である。だが、インポートからオリジナルまで、重衣料から雑貨、小物まで、取り扱い商品の幅が広く、什器も個性的なセレクトショップならではの、非常に変化に富んだ売り場作りが出来ている。 コーナーがはっきりしているので、専門学校生の方や新人さんでも売り場作りの意図は理解しやすいと思うのだ。それでいて、全体が、大人の女性のリビングルーム、というイメージで統一されている綺麗なVMDである。自分ならこういう風に商品を並べ替える、ということを考えながらご覧になられると勉強になると思いますよ{こんなこと露骨に書くのはちょっと申し訳ないようですが。ワールドさん、ゴメンナサイ。でも、きっと皆さんも商品は買って下さると思いますので(^^;; } しかし、既に期末の12月。当然のことながら、インポートは品薄だ。「ソニア・リキエル」とか「ベロニク・ルロイ」とか、「ルエラ」のバッグ(?たぶん?)とか、幾つかはあるが、雑貨を含めても全体の7割強がオリジナルブランドの「ファウンドフレス」である。 しかし、だからこそこのショップは、しっかり利益が出る構造になっているのだ。セレクトショップさんの勝ち組と呼ばれているところ、UAさん、ビームスさん、ベイ・クルーズ系、トゥモローランドさん等は、皆オリジナル比率が高い。 見せ筋のインポートは、仕入れで読みをはずすと一気に収益を悪化させる危険性が高い。だから、シーズンのトレンドをマス向けに落とし込んだり、その店ならではのニューベーシックを打ち出したオリジナルを米の飯にして、しっかりと数を売っていく必要がある。 インポートは、もうたぶん売れてしまった後だから今回論評することは避けたいが、残っているオリジナルを見ると、一見目立たないようだが、その実、「大人向け」と謳っているだけの工夫が施されていた。 一番に感じるのがサイズ。36、38と、40もかなり多く作られており、どの商品もヤング向けブランドよりはちょっと大きめである。 それから色。パープル、グリーン、ピンクなど指し色もそこそこ残っていたが、皆落ち着いたトーンに抑えてある。ビビッドな原色ではない。 デザイン的にも、アウターはシーズントレンドのミリタリーベースのかっちりとしたつくりのものが大半だ。ニット、カットソーも、ハイネックやVネックなど、シンプルでベーシックである。 明らかにフェミニンなディテールが不足しているが、それは言い換えると、大人の落ち着き、ということになるのだろう。 価格的にも、カシミア混のウールのニットが30,000円強、ウールのロングコートが68,000円くらいで、ワールドさんの「コルディア」クラスの商品と同等かやや安いくらいだ。 百貨店さんの平場で、「アンタイトル」などを買っている層にとっては高い、ということになるのかもしれないが、この素材、このデザイン、この縫製ならば、「良い」とは言わないが、「ドンズバ」の価格(高からず、安からず)の線をきっちり出している。 既にMDは完成されており、いつでも多店舗化できる完成度だと思いますね。 しかし、ここからのワールドさんの戦略に実は大いに注目したいところなのだが・・・。 残念ながら、この代官山店には絶対的に欠けているものが一つあった。それは、大人の客層に見合った年齢のショップスタッフさんである。 あの場所では実際のところ、本来のターゲットよりも若いファッションフリークにもかなり売って数字を作れば済むことなのだろうが・・・。 本当に30代後半から40代を取りたいと思うのなら、ショップスタッフもそういうベテランを配置すべきだと私は思うんですよ。 若い子がオシャレなのはある意味当たり前だと思うのだが、自分と変わらない年齢に見えるのに断然垢抜けている販売員さんがいたら、絶対に親近感が沸くと思うんですよね。 それとこの業態、直営の路面店及び駅ビル内への出店、という形がイメージをコントロールしやすく、王道になるのだろうけど・・・。 ワールドさんの取引先である、地方の県庁所在地クラスの都市の有力専門店さんこそが、一番欲しがっておられるお店のように思うのだ。 商品もよくよく見るとかなりベーシックだし、イマドキの地方の人もこれくらいの感度の商品を、イメージの良い売り場で買いたいはずなのである。 もし有力専門店さんが抱えるエース級の人材達が店舗を任されたら、今の代官山のお店よりも面白い売り方をされるように思います。これくらいの価格帯の商品だったら、その上のプライスのインポートを噛ませながら数字も相当取る力はお持ちだと思う。 30代後半から40代、というと、地方にはそういうお客様の数は少ない、というのは真実だが、良いお店は限られた上顧客、例えば地方大学の助教授、看護婦の婦長さんクラス、大手企業のお局様層、水商売をやっておられる方、建設会社など中小企業の社長夫人等々の中で、本当に服が好きな方、ショップでの息抜きを楽しみにしておられるような方をきっちりと掴んでおられる。 だから、FCとか、販売代行、というのもアリかもしれない、と私は思うんだけど。「アクア・ガール」と変わり映えしないお店にしないためには、MDだけでなく、狙いたいターゲットに合わせた販路政策というのも必要だと思うのだが。もちろん、ベタなイメージに振れるかも、というリスクは承知の上で書いているのだが、地方の専門店さんと組んだセレクトショップの出店というのはワールドさんにしか取り得ない戦略だ。是非是非ご検討下さいませ。 人気blogランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005年12月27日 23時49分25秒
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