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カテゴリ:ニュース解説ー川上(素材・商社)
何気なくネットサーフィンしていて見つけた、ケンコーコムさんのブログ「KC Cafe」さんのこのエントリ、非常に気になる内容である。
ネット薬局の会が、今年3月にも行われようとしている薬事法改正に対して、「医薬品のインターネット販売に関する要望書」を提出した、というものだ。 この問題については私の専門分野外なので理解不足な点があれば是非ご指摘頂きたいが、ネット薬局の会さんの言い分は非常に筋が通っていると私は思う。ネットで薬が買えれば、過疎地で近隣にリアルの薬局がない所に住む方々にとってどれだけ福音になるかと思うのだが・・・。 まちづくり3法の問題でも感じずにはいられないのだが、既得の権益を守るための法律が成立すれば、せっかく芽生えようとしている新しい業態が、小売業本来の発展の方向性からは大きく歪んだ形に育ってしまい、ひいては消費者のためにもならず、国際競争力をもなくしてしまう、ということになりかねない。行政当局、そして政治家の皆様には、消費者、生活者の立場に立った公平な判断をお願いしたいと思いますね。 さて、来週の日曜日の今頃の時間は、ヨーロッパに向かう飛行機の中、なので、余計に海外のニュースが気になって仕方ないさくらでありますが・・・。 昨日付けの繊研新聞さんに、2月14日から17日にイタリア・ミラノで開かれるテキスタイル見本市「ミラノ・ウニカ」に関する記事が出ていた。 同展示会は、半年前に、「モーダ・イン」、「イデア・コモ」、「イデア・ビエラ」、「シャツ・アベニュー」の4展示会が一緒になって初めて開催されたばかりなのだが、今回はそれに「プラート・エクスポ」が加わり、よりパワーアップする形となる。 昨年は「ミラノ・ウニカ」だけでなく、パリの「プルミエール・ヴィジョン」も幾つかの展示会を併合しスケールアップしたことが話題となっていた。その背景には、中国からの欧州への輸出の急増に対する、ヨーロッパの繊維業界の強い危機意識が存在する。 「ミラノ・ウニカ」第2回展に関する繊研さんの記事の中には、「交通手段を含むサービスや運営面の改善」「興味があれば、工場見学も申し出て欲しい」「『文化・経済の一角を担うイタリア・ファッション』をより強くアピールする」云々の文言が踊っているが、裏を返すと、それくらい必死になって売り上げを確保しようとしているということの表れなのだ。 ちなみに、同紙によると、出展社数は698社となる見込みらしい。ライバルのプルミエール・ヴィジョンが709社、参考までに、わが日本のジャパン・クリエーションは、出展社数が激減した直近の昨年12月ではなく、一昨年が651社だったので、相当に規模の大きな展示会であることがおわかり頂けると思う。 繊研さんの見出しの、「量より質」という意味は、昨年の繊維クォーター撤廃以降、安いコストで生産した大量の製品の輸出攻勢を強める中国に対抗するには、高付加価値型のものづくりしかない、という意味で言っておられるのだと思うが、実際のところ、どんな産業においても、「量は質に転化する」という法則が成り立つのではないか、ということを決して忘れてはならないと思う。 フランス、イタリアにおいては、先進国ながら繊維ファッション産業は国の主要産業の一つだという自負を業界人が持っているので、一定のレベル以上の企業を多数集積した見本市が開催できているのだと思う。対照的に、かつては繊維産業の隆盛を誇ったイギリスでは、1980年代に至っても業界の中から見本市開催の動きは起きず、繊維は完全に国の主要産業ではなくなった。 日本の繊維ファッション産業は、前者の道を歩むのか、それとも後者の道をたどるのか。先進国型の見本市の成功モデルの確立を目指すのか、それとも、大規模見本市は、上海か北京まで出向けば良し、とするのか。他産業の強いわが国は、繊維に対する産業振興の優先順位は低い。誰かが何とかしてくれる、ということは在り得ない。生き残りを決めるのは、当事者である我々業界人自身の強い意思と行動力如何なのではないかと私は思う。 人気blogランキングへ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年01月22日 21時38分24秒
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