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両国さくらのファッション・イン・ファッション(Fashion in Fashion)

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2006年02月09日
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カテゴリ:読書日記
今日からいつも通り、日本国内の話題に戻ります。

昨日2月8日(水)付けの繊研新聞さんの5面に、三浦展氏のインタビュー記事が掲載されていた。三浦氏には私は面識はないが、元パルコの『アクロス』編集長を務めておられた方でファッション業界には明るい方である。最近作の『下流社会』は大ベストセラーになったので、さくらのブログの読者の皆様の多くもご一読されたのではないかと思う。

但し、同書を読まれた方はお感じになられたかと思うが、ファッションに関する話題は全体を通してパラパラと少しずつ述べられているだけである。私は数ヶ月前、ある所で三浦氏のセミナーを聴講させて頂く機会に恵まれたのだが、その時は本には出てこなかったブランドの話もかなり登場はしたものの、受講者が多様な業界の方だったので、もう少しファッションのことだけを深掘りして欲しいなとやや物足りなさを感じながら聞かせて頂いた。

繊研新聞さんの紙面で三浦氏のお名前をぱっと見て、非常に期待して記事を読んだのだが、残念ながらセミナーの時よりも反ってわかりにくい内容のように思えた。とにかく、文章が短すぎるのだ。まずは言葉の定義も必要だろうし、できれば1ページくらい割いて掲載して頂きたかったな、と思いましたよ(三浦氏のビジネスノウハウに関わることなので、お願いしても実現できなかったかもしれないけれど・・・)。

同氏独特の言葉使いとして押さえておかなければならないのは、1973~80年生まれの人達を「真正団塊ジュニア」と呼称しておられることである。私がよく使わせて頂いている伊藤忠ファッションシステム(IFS)さんの著書『おしゃれ消費トレンド』の「団塊ジュニア」の定義は、1971~76年生まれを指すので、それよりも全体的に若い。IFSさんの定義の方が世間一般の認識に近いように思うが、三浦氏は、「団塊の世代の両親の子供が本当の意味での団塊ジュニアと言えるのではないか」と主張しておられるのだ。これはなかなか的を射た指摘であろう。

上記の点を踏まえた上で、お手元に繊研新聞さんをお持ちの方は今一度記事を読み返してみて頂きたい。どうもすっきりしないな、と思われるのではないか。

その理由は、記事を書かれた方も、そして、ひょっとしたら一部分では三浦氏ご自身も、「上流」「中流」「下流」という階層軸と、もう一つ存在する世代軸がごっちゃになって整理できていないからではないか。

ファッションの話、特に、顧客サイドの話とブランドサイドの話をすり合わせる際には、階層軸だけでなく、やはり従来からしきりに言われてきていることではあるが世代軸の問題もきっちりと押さえておく必要があるように私は思う。いくら上流階層に支持されていたとしても、ブランドそのものが年をとることは阻止したい、というのが、まずは常道の政策だからだ。

記事文中で三浦氏は、「百貨店のブランドが特に着目すべきなのはディンクスです」と述べておられる。結婚して数年間、子供がいない状態を維持する層はその時期にモノを買うのでは、という推論は恐らく正しいだろう。

だが、その後に列挙されているブランド名のうち、「ナチュラルビューティ」「組曲」「ロペ」は、ホントはこれでいいの?というところも多分にあるのではないか。これらのブランドは、立ち上げの時期はもっと若い層を狙っていたのが、ブランドが顧客と共に年をとってしまった、というのが現実なのではないかと思う(特にロペなんて、大昔からあるもんね。お客様にも、かなりのオバサンもいたりする)。ただ、もうブランドもいい加減成熟してきているから、無理に若返らせず現状維持路線で行こう、というところだと思うんだよね。

同じ括りで挙げられているブランドでも、「UA」さんは全く位置づけは違うと思うし(そもそも、アパレルブランドじゃないから、ワンテイストではないし、客層も多様だがその中の一番良いお客様は本当の富裕層だろう)、「23区」と「バーバリー」は元々もっとミセス向けブランドだから、話はまた全く変わってくる。インタビューでは「好き」と答えていても、実際には25~32歳の人はほとんど買っていないんじゃないだろうか。

「イネドやインディヴィは27歳以下では差がない」というのは、ブランディングやMDはうまく若さをキープしているのだと思う。「28歳以上になると上流だけになります」とあるが、これは実は余計なお客様で、本当に取りたいヤング~ヤングアダルトをきっちり取り続けている。

記事の最後の方に、「結婚していない30歳、特にパラサイトシングルはお金を使う気力がなく、服を買わない、買う必要がないといってもいいかもしれません。この層には駅ビルが強い」とある。この行、短いまとめなので三浦氏の真意がうまく伝わっていないのかもしれないが、ちょっと疑問に感じるところがあった。調査対象が百貨店ブランド中心で、駅ビルにしか入っていないようなもっと安可愛いブランドやショップがそもそも含まれていなかったのではないかということである。

ここは逆に、駅ビルさんを褒めて差し上げるべきところなんじゃないだろうか。夕方8時過ぎに新宿辺りの駅ビルに行けば、必ずしも熱烈なファッション好きではないと見える客層がサクッと服を買っている姿に出くわす。いくら若い頃に買った服があったとしても、パラサイト族も会社に通わないといけないからやはり時々は服を買っているのだ。そういう客層を、今や有力セレクトショップを軒並み揃えた駅ビルさんはきっちりと取り込んでいますよね。

ひょっとしたら、このインタビューは、百貨店業界向けに三浦氏がどこかでご講演された内容なのかもしれないし、駅ビルさんはかつての勤務先・パルコさんのライバルになるような業態だから、ちょっと牽制心が働いておられるのかも、なんて思いながら読ませて頂いた。

ついでに書いておくが、『下流社会』の中でさくらが疑問に思った最大の点は、P245の「地方出身者は『上』になりにくい」という章だ。これには三浦氏自身も半分首をひねりながら書かれた様子も伺えるが、あくまでも自己診断だから、本当の所有資産の額と自己評価は正比例はしていないのだろうという気がする。地方出身の大学生はおろか、卒業してからも親御さんからおこづかいを仕送りしてもらっているようなリッチガールは昔から結構存在していましたよ。

この章は、出身地別階層意識についての調査結果のまとめなのだが、横浜と川崎を一つのくくりにしておられるなど、ちょっと解せない部分がありますね。

しかし、『下流社会』は、現在の日本に現れつつある危険な予兆を実証的な調査によって浮き彫りにして見せた名著だと思う。全体的には細かい部分まで実際のビジネスに非常に役立つような指摘が多いですね。この本の第2弾として、『下流社会ーファッション編ー』を是非三浦氏には執筆して頂きたいくらいです、お値段は少し高くなっても良いので。

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最終更新日  2006年02月10日 00時06分29秒
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