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両国さくらのファッション・イン・ファッション(Fashion in Fashion)

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2006年02月13日
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カテゴリ:読書日記
昨日買ってきたばかりの梅田望夫著『ウェブ進化論ー本当の大変化はこれから始まる』が非常に面白かったので一気に読んでしまった。

この本、知人である葛飾の若手IT社長さんも書いておられるが、ネットに詳しい方にとっては、「こんなことみんな知ってるよ」というような内容だろう。しかし、最近話題の用語、Web2.0とか、ロングテール現象とか、同書の中では「あちら側」と「こちら側」という表現で対比されているGoogleとマイクロソフトの違いが実はよくわからない、という方には、是非読んで頂きたい。難しい専門用語は使われていないので、何となくそうなのか、といったくらいのことはおわかり頂ける筈だ。

あとは同書の中に書いてある通り、アナロジーで理解するのではなく、ご自身がネットを仕事でもプライベートでも存分に活用されることで、これから起こるであろう変化を「体感」して頂くのが一番だろうと思う。

同書の感想については、既にアルファブロガーと呼ばれている方々を始めかなりネット上にアップされ始めているから、いろいろチェックして頂きたいと思うが(R30さんは、いつもながら鋭い突っ込みですねぇ~)、私が気になった点を3点ほど挙げたい。

第1は、第4章「ブログと総表現社会」の中で指摘されていた、Web2.0の時代は、これまではアマチュアだった人達が続々と表現者としてネット上での情報発信を始める総表現社会=消費者天国・供給者地獄の時代になるのではないか、という問題である。

この場合の、「供給者」サイドには、厳密に言うと2タイプの人達が存在するのではないかというのが私の考えだ。

1つは、純粋な意味での表現者。デザイナー、アーティスト、ミュージシャン、映像作家、小説家等々である。

こういう表現者の業界にも、制作物がネット上でコンテンツで流通する業界とそうでない業界(例えばファッションデザインや建築、プロダクトデザイン等)が存在する。

後者の業界は、実は、既に今までの時代においても、非常に競争が厳しく、大学や専門学校を卒業してから、まずは企業内デザイナーになれるか否か、というところで、その後業界内で大きく活躍できるか否かが事実上決まってしまうような状況下にあると思う。

前者の、コンテンツ系のデザイナーの世界は、ネットとGoogleが普及してから、将棋家の羽生義治氏が言う所の「高速道路が一気に敷かれたということです。でも高速道路を走り抜けた先では大渋滞が起きています」(同書P210)という状況になりつつあるのではないかという気がする。全体のレベルが一気に上がり、競争は激化している。

こうなると逆に、前者のアナログ系のデザイン分野の方が、今後ネットの活用等で「自ら高速道路を敷設して前に出る」ことで競争力を高めやすい部分が出てくると思う。

それともう一つ、梅田氏が懸念なさっておられるような、表現者への報酬が全体的に逓減するのではないか、という点については、私も恐らく漸次そうなってくるだろうとは思うが、超一流、一流レベルの人材については、デジタル系、アナログ系を問わず、やはり特別な報酬は維持できるのではないかと思っている。むしろ、二流以下との差が歴然とすることで、報酬はアップしてくるかもしれない。

私はファッションの世界にしか詳しくないが、突出した才能、というのは、その業界の内部の人間ならば誰しもすぐ峻別できるものだ。才能のある人材は、物事の本質からデザインに迫ることが出来る、ある一定レベル以上のデザインをコンスタントに量産できる、一つの領域に限らず、複数の分野でデザインワークを行える、といった特徴を持っている。

自分は二流以下だ、という人達にこの本は不安を与えるかもしれない。しかし、ネットの発達は、デザイナーの活躍の場を今後広げてくれるのではないかと私は思っている。

自分のオリジナルブランドを売るだけが能ではない。今までデザインということとは無縁だった中小企業、零細企業がウェブサイトを開設する、工場のビデオ画像を流す、メルマガを発行する等々の現象は、今後益々本格化するだろう。それを、自前でやれる企業さんもあるが、不得手な部分は外部デザイナーやライターの力を借りたい、と思っている企業さんもかなり存在する。働き口はマスコミや大企業だけではない。個人のデザイナーと中小企業が、n対nで直接どんどん結びついていけばよいのだ。

梅田氏は、発展途上国の表現者がネットで大きな果実を得ている、という貴重なご指摘をなさっておられるが、日本国内においてももっと中小企業さんの存在に目を向ければ、よりポジティブな視点になれるように私は思う。

むしろ深刻なのは、もう1つのタイプの供給者=既存のマスコミ(TV局、雑誌社、新聞社等)に勤務している人達の方であろう。

特に、オリジナルのコンテンツといいながら、実は外注の制作に依存しているTV局の多くの社員さんや、単にニュースリリースを右から左に流しているだけの新聞記者さんなんかは、相当にヤバイのではないだろうか。こういう人達は、何の価値も創造しておらず、いわゆる「情報の問屋業」みたいなものに過ぎないので。

とはいえ、既存のオールドマスコミ業界も、梅田氏がおっしゃっている通り、そこに依拠していた方が価値を保持しやすいと踏んだ人達が存在する限りは暫くの間存続していくだろう。

特に、次の3つは、ネットの中には単純に収斂していかないカテゴリーだと私は予想している。

1つは、外資系のラグジュアリーブランドからの広告収入で成り立っているファッション雑誌。まだまだ相当部数が落ちたとしてもやっていける。

そもそも、外資系のラグジュアリーブランドは、「差別化」が好きだ。ネットの中であまねく広くアピールするよりは、情報をコントロールしてイメージを高くしたいと思っている。

しかも、ラグジュアリーブランドというものは、この先も恐らくは絶対にネット上からは誕生しないものだ。「長い歴史と伝統」ーーそれは、事実に基づくものでお金で買うことは出来ないものだ。チープ革命に対して最も強い抵抗力を持つブランドの神話である。

次は、芸能人がらみのコンテンツ。こちらはネット上でも発信はされていくが、映画とTVの業界から落ちる利益が大きいため、既存の勢力はなかなかそこからは離れられないのではないか。アイドルの肖像権を守るため、ネット上での露出は今後も厳密にコントロールされるはず。あくまでも元ネタは既存メディア発なのだ。

従って、芸能人や芸能情報が出ている、載っているTV、ラジオ、雑誌、スポーツ新聞等は強い。

タレント、アイドルそのものも、純粋にネット上から草の根的に登場する、というのは、実はかなり難しいのではないかというのが私の考えだ。あるところまではそういう形で出てきたとしても、プロダクションにスカウトされる段階で厳しく吟味されると思う。何故なら、所詮は生身の人間なので、長時間労働、過酷なレッスンや収録に耐えられる体力、気力があるかどうかが問題視されるだろうからだ。

もう1つは、スポーツである。こちらも、芸能人と同様の理由だ。マイナーなスポーツにとってはネット配信は福音になろうが、半ばタレントに近いプロ野球選手やJリーガーの選手等にとってはやはり今のところはTVでの露出はやめられまい。

それから、芸能とスポーツに関しては、ケータイは持っていたとしてもパソコンは持っていないファン層がかなり存在するはずだ。

上記の3つのカテゴリーを含まない媒体は、若者どころか、今や40代くらいまでの活字離れも手伝って、かつて大手と言われたところでも徐々に、もしくは急激に衰退してきているのが現状ではなかろうか。

今や、セクシーグラビアすらネットやケータイでいくらでも見られるので、全くキラーコンテンツには成りえなくなってしまった時代なのだ。

今の時代はむしろ、地域の住民と顔が見えるお付き合いが出来ている地方紙や、特殊な情報なので固定読者がおり広告収入も得ている業界紙なんかの方が、「全国」とか「総合」を標榜している会社よりも安定している時代かもしれない。

しかし、それにしても、全体的な広告収入の低下は経営の圧迫要因となる。いずれは大手企業のどこかが倒産し、業界全体が恐怖に慄くーーというシナリオを語る全国紙の記者さんも存在するようだが・・・。

残念ながら私の予想も、それに近い。いつの時期にそうなるか、とまでは予想できないが、ひょっとしたら10年たたないうちに業界の激変が起こる可能性はあると思う。

但し、そういう時代が到来しても、プロのマスコミ社員、という職種は全てはなくならないと私は思っている。本物のプロフェッショナルは残るだろう。梅田氏も書いておられるように、健全な危機感が業界全体のレベルアップにつながって良い方向に行くかもしれない。

但し、これまでのような、他産業に比べ高すぎる給与は、これからどんどん下がっていくのではないだろうか。

とはいえ、前半の、純粋な意味での表現者について述べたくだりでも書いたけれど、これまで広告とか情報発信なんて考えてもおられなかった中小企業、零細企業さん向けのお仕事は、未開の荒野だ。私自身の今の仕事もまさにそうなのだが、ジャーナリストとしてニ流以下の筆力でも、やる気があれば新規市場は開拓できると思う。また、ベンチャー支援、ということもあるし、「マスコミをクビになったら仕事が全くないのでは」なんてことは、心配される必要は全くないように思う。

要するに、「大手マスコミへの再就職が難しい」のであって、「既存の仕事に変わる新しい仕事は存在する、開拓できる」のである。

長くなってきたので、(下)編は明日書き下ろします。

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最終更新日  2006年02月14日 00時04分06秒
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