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2006年03月05日
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カテゴリ:ショップリサーチ
昨日のショップリサーチの話題の続きです。

3月4日(土)夕刻5時過ぎに、横浜から桜木町にJRで移動、ランドマークプラザ3階に3月3日(金)にオープンしたばかりだという「コントワー・デ・コトニエ」を見た。

このブランド、フランス発のものなのだが、昨年末にファーストリテイリング傘下に入ったばかりである(ご参考までに、同社のニュースリリースをご紹介しておこう)。ヨーロッパには既に約200店舗を有し、同社はこれから日本及びアジア地域での展開を進める意向らしい。

ランドマークプラザの3階には、「マックス・マーラ」や「コーチ」、「ベネトン」、そして昨秋には、以前このブログでもご紹介した「バナナ・リパブリック」などが入っている。徐々に外資系の人気ブランドの集積が出来てきており、海外ブランドに憧れ感を持っている客層の多い立地だ。ファーストリテイリングの匂いを出さず、あくまでも「外資」のイメージをキープしながら展開していこうとしているブランドが立ち上がる立地としては、悪くはない場所だろう。

ちなみに、今見ると日本語版のウェブサイトがまだオープンしていなかったので全貌はわからないが、今春は、この他にも既に銀座や恵比寿三越内などにもオープンしているようだ。

ランドマーク店は、ベネトンの隣。カラフルなカラー展開がウリの「ベネトン」と対照的に、綿素材に特化し、白が中心の「コントワー・デ・コトニエ」のVMDが、ちょうど引き立つような印象である。

ブランド全体としては、レディスとキッズがあるそうだが、このショップはレディスのみ。店舗面積も、10坪あるかないかの狭いお店である。

白を基調とした内装で、入り口は1間分の扉(実際にドアが取り付けられている)のみと狭い。その左右にマネキンが2体ずつ並んだショーウインドウが設けられている。店内には他にボディも置かれていない、というか、棚2つを置いたらそれ以上のスペースは取れない広さなので、このような設計は止むを得ないのだろう。

そういう状況だからかもしれないが、店内で紹介されている在庫量は少ない。競合が極めて厳しい日本のアパレルの常識からすると、期末まで毎週新商品の入荷がないとこのような坪数の狭いお店のMDの鮮度は持たないだろうなぁ、という感じである。

しかし、このブランド、商品企画はなかなかイイ線をついている。まず、素材と色に特徴がある。私は欧州でもまだこのブランドを見たことはないので、秋冬はどうなっているのかわからないが、今の時点では綿中心で、一部が麻、色は白中心(印象としては、半分くらいが白、の感じである)で、それにグレー、黒と茶系統、紺系統に絞り込んである。差し色は薄いピンクのみ、という状況で、むしろ、白プラスベーシックカラー1色の、差し色なしのコーディネートをウリにしている、といった感じだ。

そして、素材は、正直質はあまりよくない(この辺は、かなりギリギリの線で、価格の割には許容できない範囲だという見方も成り立つと思ったが・・・)が、薄手の洗いをかけたようなクタッとした雰囲気、白もグレーも茶も、ボケたような濁った色(これも、染色のレベルが低いのかも、という見方も成り立ち得る。さくら的には、ちょっとアウトかな、という感じだが、日本以外の国の消費者相手ならば十分OKでしょう)、こういう雰囲気を「味」として前面に打ち出している。

ショップの方に頂いたパンフレット、これと同じ画像が、フランス発の公式ホームページに掲載されているので是非ご覧頂きたいが、わざわざ雨の後、泥水の上で撮影されている。洋服の色が汚らしく見えるのだが、実際店頭で見てもこんな感じです。パキッとした綺麗な白が好きな方だとNG、という感じだろうか。だが、日本のカジュアル物はもっと厚手な素材を洗うケースが多く、薄いものをクタッとさせて雰囲気を出す、ということはあまりないので、確かに見たことのないような新鮮さは感じさせてくれる。

私が買ったハーフパンツの生産地はブルガリア、オープニング記念のノベルティTシャツは中国になっていた。恐らく現状では東欧生産が主体なのだろうが、物性面を上げようと思えばファーストリテイリングさんならユニクロさん用の工場さんを使えば良いだけのこと、造作もない話であろう。

同社にとって最もメリットになると思われるのは、デザインの問題だ。何着も試着させて頂いたのだが、色と素材が絞り込んであるのに対して、シルエットやディテールには非常に凝っていて、なかなか面白く、日本のアパレルとは一味違う味がある。

大きく開いたVネック、肩線の切り替えを前に持ってきている半袖ニット。半袖ニットに、七部袖のブラウスの袖部分のみをくっつけているユニークな商品とか、透ける白の綿素材で、ストリング使い、丈がコートのように長くさらりと羽織るデザインになっているブラウス。ボタンダウンのハーフパンツ。ウエスト下部分にゴムが通してあって、それをリボン結びして右太腿の前で見せるデザインになっているくるぶし丈のパンツ等々。

更に、サイズバリエーションがXSからXLまでの5サイズもある。特に、大きいサイズのノウハウを豊富に有している、ということは、海外発のブランドならではの強みであろう。私でもボトムスはLでも行けるサイズだったので、かなりの人口をカバーできる筈だ。

さくらの元後輩達、日本繊維新聞さんの若手記者がやっているブログ「ファッション記者は見た!」にも書いてある通り、「コントワー・デ・コトニエ」は、母と娘の双方をターゲットとする、という、これまでの日本では考えられなかったような斬新なブランド・コンセプトである。ショップスタッフの方のお話だと、先程ご紹介したホームページに出てくるモデルさんは、実際の母娘のペアらしい。

驚くのは、お母さんの方のかっこ良さ、ですね。皆さん綺麗で、凛とした貫禄がある。若いが勝ち、の日本のカルチャーとは違う文化的な成熟を感じさせてくれるMDだが、こういうメッセージは、これから急速に少子高齢化、成熟化が進む日本社会にはぴったりマッチしており、時宜を得たブランドデビューであると私は思います。

実際にお店に足を運んでみて一番印象に残ったのは、ショップスタッフの皆さんの販売力の高さである。私があれこれと難癖をつけても、粘り強く次の商品やコーディネートアイテムを持ってきて、非常にうまく説明して下さった。

恐らく、「セオリー」さん辺りから精鋭を集めておられるのだろうが、「セオリー」さんにしても「ユニクロ」さんにしても、売れているお店で数をこなしてきておられることによって、ショップスタッフの方々は売れないお店でボンヤリしている人達の数倍の実力を培ってきておられるように思う。そういう人材の層の厚み、しかも、「ユニクロ」さんも含めれば、地域の格差なく全国津々浦々に人材を抱えていることが、これから多店舗展開していかれる上で最大の強みになるように思う。

このブランドの弱点は、さっき書いた素材と染色の問題と、もう1つは価格である。綿のハーフパンツが14,000円弱、綿の半袖ニットが10,000円弱、Tシャツが6,000円弱と、「海外のブランド物を買っているのだ」と思わなければ、やはり割高感は否めない。

素材や色に関する問題は、業界のプロでなくても、日本国内においては、高い服を日頃からいつも買ってこられたような人達の目は、ごまかせないのではなかろうか。

この弱点をカバーする方法は2つ。広告宣伝(特に雑誌等とのタイアップ)によって、ブランドイメージを高めていくよう努力し、日本用のみ一部は生産面をコントロールしてより素材の質を向上させるか、もしくは、生産拠点を中国などアジアにシフトし、多店舗展開を狙って日本の同等ブランド並みに、価格をもう2~3割落とすか、である。

しかし、いずれにしても、ファーストリテイリングの総合力をもってすれば可能なことで、既に欧州で実績がありデザイン力のある「ブランド」を手に入れた、ということは、ゼロベースからブランドを立ち上げ世界進出していくことに比べて大きなショートカット(近道)である。

帰りに、桜木町駅横の「ユニクロ」で、2,990円が1,990円に値下がった白の綿ワッシャーブラウスと、同じく1,990円の綿のロールアップパンツを見ながら、「この価格でこのレベルのものづくりが出来、この場所に面取りできる資本力のある企業さんなんだから」と私は思った。

既に、「工」と「商」については十二分なノウハウを持っている巨人。足りないのは唯一、デザインだけなのだ。ファーストリテイリングは自社のその弱点には十二分に気付いている。これからも総力を挙げて世界中から「買い」に値するブランドの情報収集に励むことであろう。

日本国内においては、オンワード樫山、ワールドと並ぶファッション業界の3強だが、グローバルに通用するビジネスモデルが構築できているかについては、やはり、3強の中でも頭2つくらい抜けているという気が致しますね。

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最終更新日  2006年03月05日 23時05分55秒
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