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両国さくらのファッション・イン・ファッション(Fashion in Fashion)

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2006年03月17日
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会社の仕事に追われ、すっかり頭の中から消えてしまっていたのだが、季節は巡り、再びジャパンファッションウィーク・イン東京(JFW in Tokyo)の時期がやってきた。

今日は、こけら落としのイベントとして、明治神宮外苑聖徳記念絵画館前特設テントKURENAIにて、シンポジウム「世界が見る日本」が開催された。主催はファッション戦略会議だが、私の母校(中退なんだけどね)であるIFIビジネススクールが企画運営を行っている。

テーマは、「世界が見る日本-Cool Japanのファッションと文化-」である。JFWの趣旨は、日本国内のマーケットのクリエーションによる活性化のみならず、世界市場へのファッション・コンテンツの輸出、ということを目的としているので、時宜に叶っていると言えよう。

2時間のセミナーは、2部構成で、3人の講師が登壇する形で行われた。

第1部は、インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙ファッション・エディターのスージー・メンケスさんによる『日本のファッション:西洋からの展望』。

いやはや、びっくり致しました。正直、講演そのものの内容は、ほぼ私が想像していた範囲を出るものではなかったのだが、スージーさん、前来日された時より若返られたんじゃないの。

大きな水玉模様の「マルニ」を身に纏い、大きなポンパドウル・ヘア(こんもりと前に盛り上がった前髪!)のスージーさんは、よどみない口調で滔々とファッションについて語り続ける。

マイクのせいもあるかもしれないが、声も大きく、非常に聞き取りやすい。彼女の記事に良く出てくる「powerful」(スージーさんって、若いデザイナーに対してはこの形容詞を連発されるクセがあるとさくらは思うんですよ)、という言葉をそっくりお返ししたくなるくらいである。

ネットの発達についてややネガティブな見方をされていたのは、予想通り、というか、著作権侵害を懸念するファッションデザイナー側の意向と、ご自身が寄って立つオールド・メディアの立場からの二重の意味でナーバスになっちゃうんだろうね。

手を挙げて発言するのは止めたが、私は全く反対の考え方である。ネット革命は、産業革命や活版印刷の発明と同じく、何百年に1度しかない大変革だ。この時代の流れに逆らうよりは、波に乗った方が絶対に良い。逆らっても無駄、といった方が良いかもしれない。70個のiPodを買い集めたカール・ラガーフェルドの嗅覚の方が的確に先を読んでいる。

たとえデザインをパクられたとしても、一番にそれを出した者の価値、というのは、世間では高く認知されるんですよ。おちまさとさんが最近しきりに言っておられる「時間を買う」という発想ですね。

彼女が「スポーツ観戦のよう」と揶揄したファッションショーの即時配信、ケーブルTVでの放映を、消費者へのダイレクトな販促だと考え、雑誌メディアや店頭からの上顧客への情報発信では、それに更なる価値を付加する方策を考えれば、逆に、相乗効果が上げられるはず。

「前にネットで見たことのある商品」であっても、それを記憶するくらいのファッションフリークであればあるほど、一流のスタイリストがコーディネートし直し、一流のカメラマンがストーリーづけした写真はより一層高く評価するはずだ。そして、商品そのものを買いに走る。モード誌に関して言えば、ネットの発達は感度の高い消費者の目を肥やし、益々ビジネスチャンスを拡大できるというのが私の考えだ。

話は戻るが、レジュメに書いてないことで少しスージーさんが強調しておられたのは、「素材革新(Fabric Innovation)が将来を良くするだろう」ということである。ひょっとしたら、同時開催されている素材展をご覧になられてそう思われたのかもしれないが。

あと、細かいことだが、「世界のファッション・キャピタルの役割」について述べられたところで、ミラノを「生産とファブリックのセンター」と位置づけておられたが、ここに来て急速に中国の影響でミラノのポジショニングは低下してきた、というのが私の見解だ。「ミュウミュウ」もパリに行っちゃったしね。

この辺も本当は質問したかったのだが。スンマセン、ちょっと辛口なコメントですが、スージーさんご自身が「ファッション評論は厳しく行った方がデザイナーのためである」とおっしゃっておられましたので(笑)、さくらもちょっとキツイこと書かせて頂きました。

あっ、英語で書いとけばもっと良かったですね(笑)。日本語じゃスージーさんご本人には読んでもらえないか。今日は眠いのでやめときますが。

第2部では、まず、フランス国立政治科学院付属CERI研究ディレクターのジャン・マリ・ブイスゥ氏が「海外が見る日本のイメージをどう活用するか」と題して講演した。

今日の3講師の中で、私は、プイスゥ氏のお話がファッション業界の人達にとっては一番新鮮味があって面白かったのではないかと思った。

いわゆる構造主義哲学者っぽい方で、奥様も日本人という、日本フリークの方。

構造主義、懐かしいっすねぇ~。さくらと同世代の皆さんは、昔大学生くらいの頃、浅田彰氏なんかにカブれた方も多いのでは?

しかし、インターネットの普及後(1995年以降)を、「ポストモダンが真の意味で実現されつつある時代」だと見るのか、それとも、新しい社会文化傾向が現れつつあるのか、については、より深く細かい考察が必要であるように私は思っている。

先日このブログでもご紹介した、梅田望夫氏の『ウェブ進化論ー本当の大変化はこれから始まるー』の中で触れられているWeb2.0というもの、Googleの自動秩序形成機能とか、ロングテール現象というものは、明らかにエントロピーに対してまた再び新たな直線的な秩序をもたらすもののように思われるからである。

しかし、全体的には、コミュニティの重要性についての指摘、相反するものが同居する日本文化の特徴など、ズバリ本質を突いておられる話が多かった。

最後に、クリエーションを行う上での心構えについてブイスゥ氏が話された7つの項目をご紹介しておこう。

1.過剰、風変わりを心配するな
2.クリエーションが止まる、ということを心配するな
3.ジャンルや文化、カテゴリー、興味をどんどん混ぜること
4.破壊する
5.伝統文化と大衆文化、両方を使うこと
6.華麗で、ダイナミックなもの
7.客層のコミュニティというテーマに基づいて考える

この内容、実はファッション系専門学校で教育を受け、ファッション系企業に就職してしまった人が実践するのはかなり難しいのではないかとさくらは思っている。硬直化した教育システム、そして、どうしても素材や過去のデザインアーカイブ、パターンなど勉強しなければならないことが多すぎるあまり、その前段階の、デザインの本質とか、革新的なビジネスモデルの考案にまで至らないという現実、また、一旦就職してしまったら、長時間会社に拘束され、社会常識が疎くなってしまいがちなファッション業界の実情を見ているからだ。

そういう生活をしていると、全く新しい発想で「服」ではなく、「何か」(それはモノかもしれないし、コトかもしれないし、単なるイメージかもしれない・・・)をゼロベースから考え出すことは、かなり難しいのではなかろうか。

このカベを打ち破るには、ユニットもしくはチームを組むしかないのでは、というのが私の考えだ。コンセプターもしくはプロダクトデザイナー、建築家、アニメクリエーター、歌手、アーティストなどと、ファッションデザイナーが組んで企画する、という方法である。

実は今の日本では、ファッション以外のデザイン分野の人材の層はかなり厚い。世界に誇れる知名度の高いクリエーターはゴロゴロ存在する。また、エンターテインメント分野もお笑いなども含めて非常に進んでいる。

パリコレ的な旧来型の秩序の中では邪道扱いされるかもしれないが、それこそ、ミラノ・サローネに出たっていいし、ネット上でデビューしたっていい。やりようはいろいろあるはずなんですよね、ホント。

先日開かれた東京ガールズコレクション(TGC)さんも、こういう発想に近い動きをこれからしていかれるんだと思います。

もうお一人、フランスのファッション系専門学校IFM教授のエレーヌ・カシマティスさんは、「欧州ファッション産業界が日本文化から学んだもの」ということで、コレクションの写真を幾つか投射しながら日本の有力デザイナーがヨーロッパでどのような評価を受けているかについて説明した。

ハナエモリ、ケンゾー、イッセイミヤケ、ヨウジヤマモト、コムデギャルソン、ツモリチサト等々の話である。

今日のシンポジウムの一番最後で、スージーさんが力説されたのは、「日本政府と日本のファッション業界の皆さんは、若いデザイナーを金銭的に支援すべきだ」ということ、また、エレーヌさんは、「若いデザイナーのためのブティックを作ることが重要ではないか」とおっしゃっておられたが、本当にご指摘の通りだと思う。

世界のコレクションの王道で勝負できるデザイナーを育てるには、有望な新人に対する大手中堅企業のバックアップが欠かせない。情けない話だが、もしファッション業界内でそれができないというのならば、儲かっている他産業の企業さんから資金を出してもらう、という形でも良いと思うんですよ。

少なくともこれまでは、中流の層が厚くヤマの頂点を高くする格別の努力はなくとも国内の市場だけで業界はやっていけたが、人口も減少し始め、日本国内の市場も2極化の兆しを見せている今、輸出と国内の高所得者向け市場を狙うためにも、日本発のデザイナーのクリエーションのレベルをもっと上げることは、ビジネス上の必要性が高まるだろう。

そうすれば、東コレのレベルも、間違いなく急激に上がってくるだろうね。今日のシンポジウムをご聴講された業界内の大手中堅企業の皆様、ご検討と実行の程宜しくお願い申し上げますm(__)m

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最終更新日  2006年03月18日 01時51分41秒
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