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両国さくらのファッション・イン・ファッション(Fashion in Fashion)

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2006年05月03日
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5連休、東京はいいお天気で始まって良かったですね♪

という訳で、梶原由景さん始め、ファッション系雑誌もかなりレコメンドしていた写美の「GUY BOURDIN(ギィブルダン)」展を見て参りました。

期待に違わず、素晴らしかったです。ファッション業界の皆様、写真に関心のある皆様には特に見て頂きたいですね。

ギィブルダン氏(1928~1991)は、1970年代に『フレンチ・ヴィーグ』や靴のブランド「シャルル・ジョルダン」のコマーシャルフォトで辣腕を振るったことで知られる。今回の展示会でも、それらの写真が数多く集められていた。

年譜には、「エドワード・ウエストンマン・レイ、(画家の)マグリットなどの影響を受けた」ことが書かれていた。いわゆる、シュールレアリズムの大家達だが、ブルダン氏自身の作風も、ある意味で好き嫌いがはっきりと分かれるかもしれない、シュールな雰囲気を醸し出していた。

ひざから下だけ(つまりは、足先だけ)でトコトコと路上を歩いている足。人間とマネキンがガラスの中と外に並んでおり、どちらが人間かマネキンか、一瞬わからなくなるような写真とか…。

長く伸びた線路の上に、右足3本を綺麗な色のロープで束ねておいてある、まるで「轢いて下さい」と言わんばかりの写真やら、あるいは、交通事故の現場(轢かれた人の後がチョークで白く書かれている!)に投げ出されたシャルル・ジョルダンの靴2足とか、商業写真としてはギリギリの線を狙ったものもある。

私自身が展示された写真を見た感想は、ブランドの性格上確かに下半身や靴のアップは多いのだが、フェティッシュなセクシーさはあまり感じなかった(私が女性だからかもしれないが)。

上半身や顔が出てこない写真は、アノニマス(匿名性)な雰囲気が強く、モデルの個の女性としての魅力はうまく写真上からは消されている。

代わりに感じるのは、乾いたユーモアだったり、人間や社会の現実を深いところで見据えた写真家の目線である。モデル達の表情も、時にはファッション写真らしい綺麗におすましした雰囲気のものもあるにはあるが、多くのものは何もかもを見通しているかのような、ぼんやりと暗い表情をしていたり、エネルギッシュで強かったり、ポーズが苦しいからかちょっと苦しげな表情だったりと
紋切り型の美のイメージを超えた不思議な魅力に溢れている。

それにしても凄いと思ったのは、1点1点の構図や、写真としての完成度が極めて高いということ。技術的なことには私はかなり疎い方なのだが、それでも、ギィブルダン氏はその場のノリでどんどん写真を撮っていた訳でなく、コンセプトを練りこんで計算づくで写していたに違いないということが感じられた。

氏の実力の片鱗は、展示会場奥にあった初期の頃のモノクロ写真に早くも現れていた。後年のコマーシャルフォトと同様な構図や画面設定が、かなり見られたのである。

特に、写真中央に太く強い線を持ってくること(柱とか、道路の中央線なんかでわざと写真を2つに切っている。相当にインパクトのある表現手法だ)や、ガラス越しに手前と向こうの風景を両方写したもの(ガラスの向こうの人や景色の揺らぎが、シュールである)とか、写真の中に、もう1枚自分の写した写真を登場させたりとか。

これらの手法は、後年、電信柱の後ろを赤いトレンチコートを着て「シャルル・ジョルダン」の靴を履いた女性がまさに歩き過ぎようとしている写真であったり、人の乗った車の後ろに、車の窓越しに広がる青い空の写真とか、あまりにも有名な、大股を広げ屈み込んだ女性(もちろん、「シャルル・ジョルダンのピンヒールを履いている)がもう1枚本人が写った写真を持って前の方にズンと突き出した写真などになって、世の女性達を魅了したのだ。

「ブランドの商品を売る」という、商業写真の限界をわきまえた上で、その制約を逆に生かして商品の世界観を最大限に生き生きと表現したのだ。まさに、靴というモノが、人間という小さな存在を超えて、勢いよく画面の向こうから駆け出してくるかのような写真達。

同氏にとって、「シャルル・ジョルダン」という、靴のブランドと取り組めたことは、自身の資質を生かす上でこの上ない幸せだったのだろう。そして、写真家の力量を高く評価し、1967年から1981年までという長きに亘って自由な表現を許したシャルル・ジョルダン社の当時のトップの卓見も素晴らしいと私は思った。

今日はこの他にも、ディステニー・ディーゴン展(ギィブルダンとは別の意味でインパクト強いです。圧倒されます)や第34回社団法人日本広告写真家協会公募展も同時開催されており、久々に写真という表現方法の奥の深さを堪能致しました。

ギィブルダン展は、東京都写真美術館では5月27日(土)までの開催です。その後9月には大丸梅田ミュージアムに巡回するようなので、関西方面の方はそちらでもご覧になれますよ。お勧めです。











最終更新日  2006年05月03日 23時19分47秒
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